エポカドーロとは、日本の競走馬である。馬名の意味はイタリア語で「黄金の時代」。
父はクラシック三冠を含むGⅠ6勝を挙げ、凱旋門賞でも2年連続2着に入った金色の暴君オルフェーヴル。母は2005年ヨシトミシネーで有名なフェアリーS(GⅢ)とフィリーズレビュー(GⅡ)の勝ち馬ダイワパッション。母父はアメリカでリーディングサイアーに輝いた事もあり日本でも多くの活躍馬を送り出したフォーティナイナー。と血統を見れば良血の部類に入るのだろうが如何せん父オルフェーヴルが現役の時キチガイ大変な気性難だったことが警戒されてか、血統の割にそれほど高値では取引されずセレクトセールでは比較的お手頃価格の3400万円で落札された。
栗東の藤原英昭厩舎に入厩し10月京都競馬場の新馬戦(芝1800m)でデビューするも3着に敗れる、2歳時はこの一戦で終わり、この時はまだ特に話題になる馬でもなかった。
新馬戦から3ヶ月後の1月新馬戦と同じ京都競馬場の未勝利戦(芝1600m)に出走。スタートからハナを切ると最後まで勢い衰えず2馬身半差の快勝、このレースぶりを見て調教師の藤原英昭氏は「この馬は皐月賞向き」と判断し、以降はダービーではなく皐月賞に照準を合わせた。
そして次のレースは皐月賞と同じ距離、芝2000mのあすなろ賞。以後主戦となる戸崎騎手と組み、ここもスタートからハナを切って直線に向くと後続をさらに突き放すという強い競馬で3馬身半差の快勝。2勝目を挙げる。
その後エポカドーロはスプリングSに出走、あすなろ賞の勝ちっぷりを評価されてか3番人気に押され、最後の直線先頭に立つも、ゴールの直前1番人気ステルヴィオにギリギリ交わされハナ差の2着。しかしエポカドーロも並ばれてからなかなか抜かせない優れた勝負根性を見せた。
スプリングSで皐月賞の優先出走権を得たエポカドーロは当然、大目標である皐月賞に向かう。しかし皐月賞には同世代の中でも抜けた存在と言われていたダノンプレミアムが出走予定であり、競馬関係者やマスコミの間では完全に「ダノン1強」という雰囲気になっていた。
しかし、そんな中ダノンプレミアムが挫石により皐月賞を回避することが発表されると雰囲気が一変、皐月賞は本命馬不在の混戦模様の様相を呈していた。
そんな中でもエポカドーロは重賞勝ちがない事や他馬に比べ厳しいローテーションなどが嫌われ7番人気という低評価に落ち着く。
しかし、実際にレースが始まってみると道中は大きく逃げる前3頭とは間を置いた4番手の好位に位置し、直線に入ると人気馬が馬群の中で伸びあぐねている中、鮮やかに前3頭を抜き去り2馬身差の快勝、本命馬が居ない稍重馬場の牽制ムードを上手く利用し見事クラシック一冠目を手にした。
大目標であった皐月賞を獲ったエポカドーロは二冠目を目指して日本ダービーに向かう。
日本ダービーにはエポカドーロの他、皐月賞を回避したものの世代最強と思われていたダノンプレミアムや、ダービーに照準を合わせ東京2400m経験済みのブラストワンピース等といった、まだ戦ったことのない同世代の有力馬が出走予定だった。そんな中エポカドーロは4番人気。あれ?なんで皐月賞馬が4番人気なの?
理由は距離不安、ここまでの使い詰め、追い切りのタイムの悪さ、他の陣営に比べ弱気なコメント、同父のロックディスタウンのバク転など色々あると思うが、おそらく多くのマスコミが「エポカが皐月賞を勝てたのは展開が味方したから」とか「ダノンが出てたら勝てなかった」等と考えていた傾向が強かったからかもしれない。実際、エポカドーロに重い印を付けた予想はそこまで多くなかった。実際ダノンプレミアムとか戦う前に勝ってるみたいな雰囲気だったし。
なお、パドックに向かう途中の地下馬道では硬直してしまうアクシデントもあり、誘導馬であったシュガーヒルと共にパドックを回ることとなった。ちなみにこのシュガーヒルは三冠牝馬アパパネの半弟である。
上記のような雰囲気に奮い立ったのか、エポカドーロはダービーではスタート直後にハナに立つ積極策に出る。その日の馬場は条件戦である青嵐賞で2分22秒9というタイムが出るほどの高速馬場。平均~スローペースを維持できるのなら逃げ馬有利の馬場であるため、そのような作戦を取ったのだろう。道中落鉄というアクシデントに見舞われながらも作戦は上手く行き、高速馬場ながら1000m通過1分00秒8というスローペースで走り、理想的な展開に持ち込んで行った。最後の直線でも持ち前の根性を発揮し、残り200mまでは他馬を近寄らせなかったが、残り100m付近で5番人気ワグネリアンが急加速。ゴール寸前で交わされ半馬身差の2着となり、惜しくも二冠達成はならなかった。
ダービーの後、夏を休養にあてたエポカドーロは菊花賞トライアルである神戸新聞杯へ向かう。
神戸新聞杯には皐月賞では下したもののダービーでは敗れたワグネリアン、ダービー4着ながらも凄まじい末脚で能力の高さを見せたエタリオウ、夏の名物3歳重賞ラジオNIKKEI賞を制したメイショウテッコン、2歳GⅠホープフルステークス勝ち馬タイムフライヤーと近年稀にみる豪華なメンバーが揃っていた。タイムフライヤーは春いいところなかったけど
そんな豪華メンバーの中、エポカドーロはまだ一度も複勝圏を外したことのない安定感やダービーで2着に敗れながらも最後までワグネリアンに食らいついた勝負根性を買われ、重賞では初めての1番人気に押される。
しかしレース開始直後、エポカドーロは突然つまずき体勢を崩してしまう。これによりいつものような前目の競馬ができずに苦戦を強いられ、最後はなかなかいい脚を使って追い上げるも4着に敗れた。
初めて重賞で1番人気を背負い緊張したか、騎手との折り合いがつかなかったか、はたまた金色の暴君と呼ばれた父オルフェーヴルの血からくる悪癖が出たか。理由は分からないが、ともかくエポカドーロは初の複勝圏外の着順となる残念なレースとなってしまった。
神戸新聞杯の敗戦後、エポカドーロが次に選んだレースは菊花賞だった。
菊花賞にはエポカドーロが春に下した(と言っても着順的にだが)エタリオウ、ブラストワンピース、ジェネラーレウーノ、また夏の名物重賞であるラジオNIKKEI賞で好走したメイショウテッコン、フィエールマンなどの有力どころが参戦していた。
気合が入った調教をかけた藤原英師はレース前に「ダービーでも神戸新聞杯でも『戸崎ぃ!』と叫んでしまいました」「今回は菊花賞を取る!という気持ちでスタッフ一同頑張っています。後は戸崎次第です」と戸崎騎手に託す思いを語った。2人は信頼関係が強いと言われるけどかなりプレッシャーかけてませんか藤原英師。
そんな中迎えたレース当日。エポカドーロは前走アクシデントがあったものの4着であったことが嫌われブラストワンピース、エタリオウに次ぐ3番人気まで人気を落とす。
エポカドーロはスタートと同時に内位置を確保しつつ三番手で競馬を進める。道中はスローペースで推移し逃げ馬有利の展開かと思われたが、結果的にそれが仇となった。
レースが余りのスロー展開で推移しすぎた為に前方の馬と後方の馬との差が予想以上につかず、無駄な体力をほとんど使わずにゆったりと道中を進んだ中団の馬が有利な上がり勝負に持ち込まれてしまたのである。こうなってしまうと先行馬であるエポカドーロはもうお手上げ。最後の直線一瞬先頭に立つもその後は鋭い差し足を持つ馬たちにみるみるうちに抜かされ8着と惨敗、これが初の着外となった。
流れをうまく掴み切れず、菊の舞台で惨敗を喫してしまったエポカドーロ、次走は有馬記念を予定していたが回避が決定、次走は未定である。
神戸新聞杯、菊花賞こそ惨敗したものの、この世代のクラシックホースとしては唯一、三冠レース全てに出走し、三歳馬でありながら7戦もしたことは十分評価に値する。また、今年の三歳世代は皐月賞で完封したステルヴィオが古馬を抑えてマイルチャンピオンシップを制覇、三冠牝馬アーモンドアイが驚愕のワールドレコードでジャパンカップを完勝、ダートの新生ルヴァンスレーヴがチャンピオンカップを制しダート界の頂点に君臨し、菊花賞では先着を許すもダービーでは先着したブラストワンピースが現役最強馬レイデオロを抑えて有馬記念を制覇するなど、既に三歳馬が各路線を席巻し世代レベルの高さを証明している。そんな世代の中でも実力上位と目されるエポカドーロ。しっかりと疲労を回復して、翌年の走りに期待したい。
そうファンは願っていたのだが……
しかし、その後のエポカドーロに待っていたのは、あまりにも苦しい道のりであった。
古馬となってからの復帰戦は中山記念。
ここでは前走香港カップ2着のディアドラ、マイルCSを制覇したステルヴィオに次ぐ3番人気に支持されるが、先行3番手から積極策を挑むものの最後は伸びを欠き5着に敗れる。
そして、GⅠ大阪杯。
同期のワグネリアン、ステルヴィオ、ブラストワンピースに加え、5歳世代のキセキ、ペルシアンナイト、アルアイン、さらにマカヒキと本馬含めGⅠ馬が8頭とメンバーが出揃ったこともあり、ここまで不振が続いたエポカドーロの単勝オッズは14.3倍の8番人気。
ならばと選んだのは人気薄ならではの逃げの一手。前半1000mを61秒3の超スローペースに持ち込んだが、なんと最後の直線半ばで脚が止まって後退、10着に大敗。
得意の策を打ったにもかかわらず惨敗してしまったが、レース後になんと鼻出血を発症していたことが判明。休養に入ることになる。
そして、エポカドーロがこのあと、ターフに戻ってくることはなかった。
夏の休養の最中に腸捻転を発症、開腹手術でなんとか事なきを得るものの、4歳シーズンは終了。
5歳となり、金鯱賞での復帰を目指すものの、直前になってスクミ(筋肉痛)を発症し、回避、放牧。
その後は札幌記念での復帰を目指したものの、『仮に復帰できても全盛期の力には程遠い』と陣営が判断、無念の引退となった。
引退後はアロースタッドにて種牡馬入りの予定。
しかし、当初はシンジケートを組む予定だったのだが、まさかの買い取り手が見つからず無償譲渡となったという経緯が……
確かに黄金の時は訪れた。しかしそれは一瞬で過ぎ去ってしまった。競馬にはいろんな種類の名馬がいる。圧倒的な実力で勝利を勝ち取る馬、人々の記憶に残る走りをする馬、中々勝てなくても常に上位を取り続ける馬……しかしそんな馬達も、怪我や体調不良に悩まされる事は少なくない。中にはそこから復活を果たしターフに戻ってくる馬もいるが、エポカドーロはその馬にはなれなかった。
しかし年間7000頭あまりが誕生するこの競馬界で、確かに輝き、皐月賞を獲った馬がいたということ。エポカドーロは未完の大器として、完成の日を見ることなく終わってしまったが、間違いなく人々に夢と可能性を見せた馬だった。そうした意味では、エポカドーロもれっきとした名馬であったと言えるのではないだろうか。彼の今後が安泰であることを祈るばかりである。
オルフェーヴル 2008 栗毛 |
ステイゴールド 1994 黒鹿毛 |
サンデーサイレンス | Halo |
Wishing Well | |||
ゴールデンサッシュ | ディクタス | ||
ダイナサッシュ | |||
オリエンタルアート 1997 栗毛 |
メジロマックイーン | メジロティターン | |
メジロオーロラ | |||
エレクトロアート | ノーザンテースト | ||
グランマスティーヴンズ | |||
ダイワパッション 2003 鹿毛 FNo.1-n |
フォーティナイナー 1985 栗毛 |
Mr. Prospector | Raise a Native |
Gold Digger | |||
File | Tom Rolfe | ||
Continue | |||
サンルージュ 1992 鹿毛 |
シェイデイハイツ | Shirley Heights | |
Veguely | |||
チカノヴァ | Northern Dancer | ||
Crain Rouge |
祖父 ステイゴールド スティーヴィー・ワンダーの楽曲 「Stay "Gold"」から
母父 フォーティナイナー 1848年アメリカでの金発見に伴い49年に渡米し入植した人たちの俗称から
母父父 ミスタープロスペクター 探鉱者(母のゴールドディガーに由来する)
母父父の母 ゴールドディガー 男から金を搾取する女”金”鉱夫
このように血統表には金または金に関係する馬名の馬が多数名を連ねており、尚且つ父は日本競馬の結晶といっても過言ではない血統で、母の血統にもにもフォーティナイナーを通じて、アメリカを代表する歴史的名種牡馬ミスタープロスペクターの血が入っている。
そんな黄金の系譜を連ねた上で生まれた馬に名付けられた名は”エポカドーロ”
掲示板
76ななしのよっしん
2022/08/26(金) 08:38:00 ID: v6uRSHP3WV
>>69
タニノタビトの存在考えると地方向けでは残りそうではある>>オルフェーヴルのサイアーライン
ただ芝は厳しいだろうな。母父ボリクリ勢二頭が揃ってパッとしないし
77ななしのよっしん
2023/01/03(火) 08:48:11 ID: 1xProp1CdR
今なら思うけどエポカもダート行けただろうなあ
78ななしのよっしん
2023/02/25(土) 17:47:29 ID: uXNGsrf6Lp
オルフェ後継に突如としてウシュバテソーロが生えてきたしダート中距離路線含め最近オルフェ産駒が元気になってきたからまだ後継候補は増えそう
それはそうとエポカも安くつけられてサンデーのクロス作れる存在として需要はあるみたいなのは安心した
初年度産駒のデビューが楽しみ
急上昇ワード改
最終更新:2023/03/28(火) 12:00
最終更新:2023/03/28(火) 12:00
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