機動戦士Vガンダム 単語


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キドウセンシヴィクトリーガンダム

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『機動戦士Vガンダム』とは、1993年に放映されたサンライズ制作のテレビアニメである。
通称Vブイガン。宇宙世紀ガンダムシリーズの一つ。

総監督 富野由悠季
キャラクタ
デザイン
逢坂浩司
音楽 千住明
制作 サンライズ
製作 サンライズ
テレビ朝日
話数 51話

概要

1986年の『機動戦士ガンダムZZ』以来となる、TVアニメとしては4作目となるガンダムシリーズ。話数は51話だが、これはガンダムの連続TVシリーズとしては『SDガンダムフォース』の52話に次いで多く、SD作品を含まなければ最長である。

『ガンダムZZ』以来6年ぶりかつ、初の平成のTVシリーズとして、再び新規層・子供向きを意識して制作されており、時代的にも『F91』から再び一世代近い未来となり、作品内容も過去の宇宙世紀作品の知識がなくてもあまり問題ないようになっている。当時富野監督が 「キャラクターにしても何にしても、あらゆる意味でこれまでの「ガンダム」を断ち切ります。(ケイブンシャ別冊アニメミニアルバム機動戦士Vガンダムより)」と語っているように、『F91』同様ニュータイプの概念がほとんど登場しなかったり、TVシリーズのガンダムでは初めて「物語の始まりが宇宙ではなく、地球を舞台にして始まる」作品となっている(OVAでは1991年の『0083』が先行している)。

視聴層については、主人公の年齢が従来より若いことや(13歳)、多数の装備とパーツを持つ主役機ヴィクトリーガンダムは当時流行していたRPGの要素を意識したのものであることなど、放送開始当初は新規層の獲得を重視した玩具展開が見られていた。加えて『ガンダムZZ』以降のガンダムシリーズを支えていたもののこの時期にはやや勢いを落としていた『SDガンダム』の客層である低年齢層についても、『リアルガンダム』である本作へ吸い上げることを意図していたとされる。
実際、本作放送序盤の『SDガンダム』の商品展開におけるキャラモチーフには、Vガンダムをしばらく使用させないなどの処置を取っていた他、1/144スケールのプラモデルには「Vフレーム」という新機軸を組み込んだり、既成玩具であるMSinポケット等の販売、なりきり玩具の販売など、放送開始当初は低年齢層に配慮した販売戦略を特に重視していた。

が、蓋を開けてみると作品の内容にはギロチンによる処刑シーンがあるなど残酷な描写も多く、さらに後半に向けては、宗教戦争・民族紛争等の問題が色濃く反映されていったため、当初の対象である低年齢層には受けず過去の『Zガンダム』等の視聴者と同様に、従来通り一定以上の年齢層が中心客層となっていた。
評論家の宇野常寛によれば『Vガン』を中学生で視聴した世代というのは「小学校低学年で『Z』『ZZ』にぼんやりと触れた世代」にあたるといい、個々の趣味趣向が拡大する年齢であったという。この為同氏も「富野監督の最新作が見られるのが嬉しくて、生まれて初めてアニメ雑誌を購読したり、Vガンの小説を買ったりした」としている。

このように作品の結果自体は放送から10年程して「Vガンダムでガンダムを知った」とする当時の世代の論客も現れるなど中・高年齢層からの受けは決して悪いものではなく、映像媒体の売り上げは好調(後述)で、またバンダイ目論見通り『リアルガンダム』のガンプラの売り上げを倍増させ、当時のバンダイの模型部門の売り上げを伸ばした。しかし、大目標であった児童層へのセールスには失敗した。この為次回作は再び児童層獲得を狙うべくガンダムシリーズは脱宇宙世紀を決意。翌年にはあの『Gガンダム』が誕生することになる。

あらすじ

地球を汚染させてしまった人類が宇宙に移民をして、それに十分なじむ時代となっていた。

しかし人類は、この宇宙でも地球上と同じ様に戦争の歴史を繰り返していた。

それは、自らの愚かさを直して、新しい環境に適応しようとする、人の本能がさせていることなのだろう。

こんな人類でも、宇宙に暮らすことが出来ると信じなければ、人の歴史はあまりにも悲しい。

第1話 ナレーション

宇宙世紀0153年。地球連邦政府の衰退とともに地球支配を離れ、独立の道を歩み始めたコロニーの独立国家が地球圏の支配を競い合う宇宙戦国時代。地球支配を企むザンスカール帝国(サイド2)は、マリア主義を掲げ地球侵攻を開始する。その戦闘に巻き込まれ、抵抗組織リガ・ミリティアで闘うことになる主人公ウッソ・エヴィンの物語。

概要にある通り本作は「地球を舞台にして始まり、地球の自然の中で生まれ育った少年が主人公」であることや、上記の「こんな人類でも、宇宙に暮らすことが出来ると信じなければ」というやや否定的な下りにもある通り、宇宙世紀シリーズの作品でありながら、スペースコロニーやニュータイプといった宇宙・科学文明に対して否定的なスタンスを取っている異色の作品である。
実際本作の直前に富野監督が随筆した小説「ガイア・ギア」や、作中のザンスカール帝国女王マリア・ピァ・アーモニアの台詞からは「スペースコロニーは人を甘やかす人工物であり、発展し過ぎた科学文明はエゴそのものである」といったニュアンスが散見され、むしろ人間の営みは自然に立ち返ってこそ逞しくなるという視点が多々見られる。
これらはシリーズ作品であるが故の方向性とも見られるが、その一方で、放送当時の平成初頭における「環境問題とそれに関する国際的な取り組み」「1stガンダム放送当時の冷戦時代の宇宙開発競争がソ連崩壊によって一旦終焉を迎える」事等が背景にあるという見方もある。

また放送当時の「冷戦終結」「ビロード革命」「湾岸戦争」等世界情勢の影響を受けてか、宗教戦争や民族紛争の面が色濃く作品に反映されている。物語開始の舞台「ウーイッグ」も、富野監督によれば1989年にビロード革命によって、当時共産主義体制が崩壊したばかりで民族紛争が勃発した旧チェコスロバキアのプラハという街がモデルになっている。現在でも現地では劇中同様の街並みを見ることができるほか、当時のチェコの人物名や地名にも「ヴァーツラフ」「マサリク」等、元になったとみられる名称が存在する。
また本作はかつてのジオン公国が姿を消して50年余り経過した時代背景もあり、前述の通り地球圏の人類が共通の敵を失ったことによる地球連邦軍の形骸化が進み、スペースノイド同士の紛争も激化し「宇宙戦国時代」が勃発したとされるが、これも冷戦の終結によって東西ヨーロッパ諸国での団結が崩壊していった、当時の世界情勢と時を同じくしたものであった。

主な登場人物

  • ウッソ・エヴィン - 声:阪口大助。主人公。モビルスーツ(MS)操縦に天性の才を発揮する。名前の由来は「嘘(うそ)」から。
  • シャクティ・カリン - 声:黒田由美。ヒロイン。ウッソの幼馴染。実はザンスカール帝国女王の娘。次回予告の「見てください!」は有名。
  • カテジナ・ルース - 声:渡辺久美子。もう一人のヒロイン。愛称はカテジナさん、カテ公。宇宙世紀3大悪女の一角と名高い。
  • クロノクル・アシャー - 声:檀臣幸。ザンスカール帝国女王の弟。伝統の仮面敵役(単なる防塵マスクだが)。名前もマスクもシャアを逆さにしたもの。
  • マーベット・フィンガーハット - 声:白石文子。初期からウッソを支える女性パイロット。物語中に結婚式を挙げる。
  • オデロ・ヘンリーク - 声:中田雅之。戦災孤児たちの兄貴分で中盤以降はMSパイロットになる。ウッソ以外で作品全話に登場した唯一の人物。
  • トマーシュ・マサリク - 声:関智一。発電衛星ハイランドの子供達のリーダー格。オデロ同様、後半はパイロットになってウッソをサポートする。
  • オリファー・イノエ - 声:園部啓一。マーベットの恋人でシュラク隊の隊長を務める眼鏡のパイロット。少年たちの指導役でもある。
  • ジン・ジャハナム(影武者) - 声:松尾銀三。狸の置物と揶揄される役立たずだが、終盤で覚醒。
  • アルベオ・ピピニーデン - 声:北島淳司。ザンスカールの士官でクロノクルの先輩。椅子を尻で磨くだけの男。
  • ファラ・グリフォン - 声:折笠愛。黒カトル。死刑執行人。通称、ギロチンのファラ。序盤の敵司令官。後半、強化人間となり高性能試作MSを駆る。

代表的なメカ・戦艦

  • ヴィクトリーガンダム - →Vガンダム
  • V2ガンダム
  • ガンイージ
  • ガンブラスター
  • リーンホース
  • ジャンヌ・ダルク
  • ゾロ
  • コンティオ
  • シャッコー
  • ゲドラフ
  • ザンネック
  • アドラステア級戦艦

前作ガンダムF91から更に数十年進んだ頃の物語の為、ヘビーガンやスペースアーク級、アレキサンドリア級がわずかに登場するのみで宇宙世紀シリーズではあるがメカニック的な繋がりも薄く、本作独自のメカが多数登場する。

が、そのデザインも(主にザンスカール帝国・ベスパの機体ではあるが)かなり独特であり、胸にデカデカとVの字が刻まれ光の翼を出すV2ガンダム、特徴的な土偶のようなネコ目のようなメインカメラ(複合複眼式マルチセンサー)に始まるベスパのMS、ビームシールドでヘリのように空を飛ぶ「ビームローター」、空も宇宙も飛べる上にビームを弾くタイヤ型サポートメカ「アインラッド」、前期オープニングで突如登場し視聴者を仰天させたクモのようなモビルワーカー「サンドージュ」、雲型のダミーを発射し宇宙や海を泳ぐ『まんが日本むかしばなし』の竜のようなモビルアーマー(MA)「ドッゴーラ」やバイク戦艦「アドラステア/リシテア」、どう見ても男性のアレにしか見えない宇宙要塞「カイラスギリー」、睡眠状態で格納した2万人のマリア主義者と女王を使って地球上にサイコウェーブを照射し、地球上の生物を幼児退行化させる巨大サイコミュ兵器「エンジェル・ハイロゥ」

・・・などの奇抜さが際立っており、こういったケレン味さ嫌いで敬遠するガンダムファンも多いが、逆に斬新で秀逸と評価するファンも存在する。 
また劇中での戦闘描写も独特であり、ヴィクトリーの分離戦法に始まり、ウッソの奇怪な戦法やザンスカールモビルスーツの奇抜な武装(ビームローターを投げる、ショックバイト、ビームメイス、没になった設定には実体ブーメランまであったそうな・・・)は一定の評価を得ていて、本作の特徴の一つとして挙げられる。

リガ・ミリティア側も、序盤はVパーツをトラック(カミオン)で運んでいたり、鹵獲した敵のゾロアットやシノーペ(小型艇)を使用したり、リーンホースJr.はこれまた鹵獲したスクイード級のパーツを使用していたり(カタパルトや内部構造も実はスクイードのまま)、前期エンディングの最後にヴィクトリーの持っているビームスマートガンも遺棄されたものを修理したものだったり、非正規軍であることが強調されているのも特徴。

メカニックデザインはカトキハジメ、石垣純哉、大河原邦男が担当。
基本的にVガンダム系列をカトキが、ザンスカール系のデザインを石垣が、ゾロアット、ガンイージなどの初期のMSデザインの一部とバイク戦艦を大河原が担当している。が、カイラスギリーはカトキハジメのデザインであるし、リーンホース(ただしリーンホースJr.はスクイードをデザインしたカトキが手掛ける)やホワイトアークは石垣のデザインなど、MS以外に関しては一概に担当メカが統一されている訳ではないので注意。

特に、ほとんどのザンスカールMSのデザインを手がけた石垣純哉は思い入れが強いらしく、彼の画集「ROBOの石」は帯のコメントが富野監督だったり、石垣も冒頭のコメントでVガンダムの頃の富野監督との思い出を語ったり、最初のページが本人いわく「初めてデザインしたMS」である本作のシャッコー(の描きおろし新作Ver.)であったりと、影響が強いことがうかがい知れる。石垣はその後「ガンダムAGE」でも、ザンスカールMSに似たような目にスリットの入った非モノアイの敵MSデザインを多数手掛けているが、その中でもガンダムレギルスを見た視聴者の中にはザンスカールMSやシャッコーを髣髴とさせると感じた視聴者も多かったのではないだろうか。

主な楽曲

  • STAND UP TO THE VICTORY - 前期オープニングテーマ。歌:川添智久
  • WINNERS FOREVER ~勝利者よ~ - 前期エンディングテーマ。元々は『Vガン』放送開始と同時期に劇場公開された『仮面ライダーZO』用の楽曲となる予定だったが没になり、本作に使用された経緯があるという。歌:INFIX
  • Don't Stop! Carry On! - 後期オープニングテーマ。歌:RD
  • もう一度TENDERNESS - 後期エンディングテーマ。歌:KIX・S
  • いくつもの愛をかさねて - 50話の老人たちの特攻のシーンの挿入歌。歌:岩崎元是
  • いつか生まれた時のために - 32話でオリファーの遺灰を撒いた時の挿入歌。歌:karak
  • ひなげしの旅のむこうに - 劇中ではシャクティ自身が歌う描写もあるため、シャクティ役の黒田由美Ver.も存在する。通常の物とシャクティVer.共に挿入歌では最多の6回に渡り使用されているが、中でも最も有名なのはドゥカー・イクとレンダがオートバイで山小屋に向かって昇天するシーンであろうか。歌:小峰公子/黒田由美
  • 野辺の花 - 次回予告の曲

劇中のBGMは千住明のフルオーケストラで占められており、評価が高い。
富野監督が本作を評価している数少ない要素のひとつでもある。

制作の経緯と監督の評価

本作はまずガンダムシリーズとしてだけでなく、富野由悠季の監督作としても、『逆襲のシャア』『F91』を挟んで、6年ぶりにTVアニメの監督業に復帰した作品となった。日本サンライズの設立時にその処女作である『ザンボット3』から『ガンダムZZ』まで、足かけ10年間連続でサンライズ制作のTVアニメをこなしてきた同監督としても、久しぶりのTVアニメであることも留意しておきたい。

放送前の監督評

こういった経緯もあったのか、当時の富野監督は本作に関しては放送開始前からかなりのアイデアを練っており、『F91』のTV版が没になったため披露出来なかった内容の一部や、これまでの宇宙世紀ガンダムシリーズの代表的世界観であるSF思考を捨てて自然や宗教など、現代人が身近に抱える社会問題をテーマにするなどの作品構想を、放送開始前の月刊ニュータイプ等のアニメ誌で発表するなどしていて、その段階では「企画書の量は普段の倍近くになりました」と語っていた。

後年の著書「それがVガンダムだ」によれば、監督曰くギロチン、マリア主義、エンジェル・ハィロウなど一部の要素は、既に企画書の段階からあったものだったという。またウッソが13歳である事についても、『F91』の後のインタビューの時点で「今回失敗したのは主人公の年齢で、次はもっと若い世代を描いてみたい(月刊ニュータイプ92年10月号)」と発言していた。

また「F91以降のガンダムが別にあって、ひょっとしたら来年2本立てができるかもしれません(1993年2月/ニュータイプ93年4月号掲載)」と語るなど、放送開始前には『Vガン』を制作しつつ、『F91』の正統な続編企画を立ち上げて発表しようとさえ考えていたという。

しかしいざ製作が始まると、後述の様々な要因によって苦労に見舞われ、結果としてこの構想は頓挫したという。

世代交代したスタッフ

まず本作にて監督が苦労した要因の一つが、今まで富野監督が携わってきたスタッフが少なく、若手のスタッフが中心となって制作が始まったことが挙げられる。

富野監督は『Vガン』を当初エポックメイキングな作品に構想する一方で、かつて『ZZ』の後半制作中に『逆襲のシャア』の作業のために行った「途中からスタッフに実行権を与え、製作から抜ける」という方針を考えていたといい、前述のような『F91の続編』といった新企画を並行したいと考えていた。

しかしスタッフのスキル不足もあり「考える時間が長かったので内容(構想)が多くなってしまった。それをみんなに書かせて抜けたいと思ったが結局それがまるで化けなかったので、2クール目の中頃から、言っちゃえば腹立てて全部の仕切りを僕がしちゃった(Vガンダム大辞典より)」と、当初の考えを改めたという。
「個別で話すと悪口になるがそれくらいみなさん基礎学力がなかった。個々の才能を取り上げようと思って、酷い目にあったんです(同上)」とも述べており、この時の失敗があったからかは不明だが、富野氏はこの作品以降役者の発掘は見られるものの、かつて永野護を起用した時のような表立った新人クリエイターの起用には消極的になり(あきまん等も既に多方面で実績のある人物である)、若者への講演でも「自分に個性があると思うな」「実は固有の才能なんてものはありません」という言葉を、後年度々発言している。

『Vガン』制作当初のこれら過剰になった作品構想と、本人曰く「長く離れたことでテレビシリーズのお作法を忘れていた自身の指揮権の問題」は、富野監督自身も自らのミスとして挙げている(Vガンダム大辞典より)が、それに加えてサンライズの用意した若いスタッフのスキルの問題も手伝ったために、結果「途中で抜ける」などの当初の目論見は頓挫し『Vガン』に集中せざるを得なくなってしまう。

作品作りで思うようにいかない場面は多々あったといい、番組制作の終了後、若手のスタッフに富野監督は謝られる(「それがVガンダムだ」より)ほどだったという。ただ富野監督は末端のスタッフ達についてはよく頑張ってくれたと様々な媒体で評価している。
また前作『F91』では『1st』ガンダムのスタッフを呼び戻した後だった為、一転して若手ばかりをあてがうサンライズに対しては「何なんだろうな?この体制は?」と不思議に思っていたともされる。

ただし前述のように想定以上の苦労が多く経験不足なスタッフが多かったものの、当時の対外的な圧力(後述)に酷くストレスを感じていた監督にとって「スタジオは聖域のようだった」ようで、作品の制作意欲自体はとても高かったと「富野由悠季全仕事」には記述されている。また近年では第3クールから演出に参加していた山本祐介がインタビューにおいて「富野監督が厳しいとか演出の自由がないなど(サンライズスタジオ内でも)当時怖い現場と恐れられていたが、いざ参加すると(前述の通り監督主導の制作体制に切り替わった後だったためか)こなれていて監督を中心に士気が上がっていた」と同様の見解を述べている。
その為本作でデビュー、もとい若手だったスタッフの中には後々著名になった人物も多い。後のガンダムシリーズのほとんどに携わる石垣純哉、カトキハジメを始め、逢坂浩司、新保卓郎(現:しんぼたくろう)、声優陣も新人の阪口大助をはじめ、渡辺久美子も「少年役以外のレギュラーは初めてだった」と話すなど、役者としての幅を広げた人物もいる。その事から本作品では若手スタッフや出演者の育成についてはそれなりの成果を収めているとも考えられている。

スポンサーの介入

そしてもう一つが、スポンサーであるバンダイ役員の介入である。

本作の中で最も個性的な特徴としてあげられるバイク戦艦については有名な逸話があり、放送開始直前のある時、富野監督は曰く「生まれて初めてバンダイ本社に呼びつけられ」、著名なデザイナーである某バンダイの重役村上克司に呼び出され「ガンダムを5体揃えて戦隊的なものをやって欲しい」戦艦を出せ」と注文をつけられた。富野監督は「(その人物が)デザイナーとして実績のある人物である」と認め、「(恐らく直近の『F91』などのリアルガンダムの事だと思われる)結果を残せていれば、彼だってそんな要求をしてこない」と当時から理解してはいたものの、その注文の中の一つである「戦艦に対する要求」に対し「戦艦が地上で飛ぶならば、バイクだって空を飛んでもいいでしょう」と重役に返したところ、「飛ばしてよ」、更に本当にバイク戦艦でいいのかと確認すると「かっこいいじゃないですか」と予想外の反応を示されてしまい、バイク戦艦を登場させたという経緯がある。
(なお、この経緯は後にリーンの翼のスタッフブログである裏トミノブログでも「B社のM役員」として回顧されていたりする)

富野監督曰くこの事があったのは「コンテを4、5本切った1月(「それがVガンダムだ」より)」と回顧しており、またこれを受けた富野監督が当時描き上げたタイヤメカのイメージラフボードには1993年2月・3月の日付が記してあることから、放送開始の直前とはいえ、現場では既に1クール目の準備が相当進んでいる頃であり、そういった経緯でバイク要素が序盤はドゥカー・イクらの戦闘バイク部隊の登場などに留まっていたことを裏付けている。(同じくバイク兵器が作品内で登場しガンダムZZの後番組でもある『機甲戦記ドラグナー』にも、没案としてバイク戦艦が既に存在し、バイク戦艦はそのリベンジ的な意味合いがあるのではという説もある(デザイナーは同じ大河原邦男)
前述のニュータイプ誌に掲載されたインタビューでも「つい最近までスタジオ全体が試行錯誤の連続だったんです。それが2週間前になって、ガラッと変わりました。(中略)ですから少し前に受けたインタビューのときとはかなり考え方が違ってきてます。」と後年のインタビューを示唆する発言をしており、これもこのバンダイ役員との打ち合わせによるものとすれば、放送前に書かれたラフボードの日付とも一致する。

そしてこの事件は現在、本作が当時サンライズがバンダイに買収される過渡期の作品であると同時に、その為の企画でもあったという説を裏付ける上で最も有名な逸話となっており、富野監督曰く「ZZの頃よりもバックがなかった」と言わしめるほど、これまで以上にスポンサーの権限が強かったという(「それがVガンダムだ」より)。事実、放送開始から翌年の1994年1月にサンライズはバンダイ傘下となり、富野監督曰くサンライズ上層部もバンダイ側から送り込まれた人間に一新された(「それがVガンダムだ」より)という。実際、この時にサンライズの取締役に就任したのはバンダイグループで設計部門のトップだった松本悟氏であり、翌年の『Gガンダム』にも携わっている。

放送後の監督評

こうして、当初あるという話だった『F91』の直系の企画がなくなって本作の制作が始まったこと(ただしこれについては『F91』の興行があまり振るわなかったことも一因だとしている)、スポンサーからの介入が企画に影響を及ぼしたこと、そして若手のスタッフばかりをあてがわれたこと等が、総じてこの制作会社の買収案件に起因する交渉の材料の為であったこと、そしてそのことを、会社設立から長年携わったサンライズの元経営陣が、番組終了間際まで富野監督にひた隠しにしていたという。
このことを知った当時の富野監督は、曰く「人身売買されたような気持になりました(「それがVガンダムだ」より)」と語るほど相当ショッキングな出来事だったようで、Vガンダム放送前から兆候があった鬱病を、より悪化させた原因であるとしている。

ただし、ここで誤解を招かないように補足すると、この数年前から富野監督は既にガンダムシリーズの権利関係でサンライズやバンダイに反発していたことがそもそもの遠因である。
元々ガンダムを手掛けた日本サンライズは、東北新社の子会社である創映社が独立して出来たアニメ製作会社であった。しかし、かつての創映社は規模の小さな子会社にすぎず、『勇者ライディーン』も当時のテレビ朝日側のプロデューサーの要望により放送開始早々路線変更に転じ、富野監督を途中降板させたという事件があった。その為サンライズを創業したメンバーの一人である山浦栄二氏は「初期の視聴率は上々だっただけに、会社の意見を通せなかったり富野を守ってやれなかったのは悔しかった。だから自主性を出せる会社を作った(「ザンボット3・ダイターン3大全」より)」「ライディーンの頃から高く評価していた。監督を降板させたのも僕。故に何の悩みもなく『ザンボット3』を任せたし、富野監督を映像作家として売り出したかった。『機動戦士ガンダム』の頃にそれが軌道に乗ると、小説の随筆も勧めました(「富野由悠季全仕事」より)」と語っているなど、設立当初のサンライズは富野監督の自主性を守る作品を作るスタンスだった。
一方、創業メンバーの多くは富野監督をはじめ、手塚治虫原作の作品制作を手掛ける虫プロダクションに所属したメンバーが多く、旧虫プロ末期における経営破綻を経たスタッフが多く在籍していた。これらの経緯から、「クリエイターに原作権を与えると資金が切迫するので経営陣に介入させない」という企業方針を取っていた。その為サンライズは、作品作りの自由さはあるが、経営権は現場と分離しており、当初から良くも悪くも一枚岩の集団ではなかった事が分かる。
その為、発端としては富野監督も虫プロ出身で作家性のあるクリエイターであり、元々サンライズの方針に反してワンマン体質な旧虫プロの経営を目の当たりにした経験があったことや、高畑勲に師事しキャリアを積み上げ、1985年にスタジオジブリを設立し自由な経営手腕を振るっていた宮崎駿監督に、少なからず影響を受けていたとされる。その上サンライズは次第に「プロダクションは新しい作品を提案するべき」と言っていた方針を変えていき、(『ガンダム』以降それに並ぶ作品が出てこなかった事情もあるが)ガンダムの続編を立て続けに富野監督に依頼するようになるが、当時の本人曰く名ばかりの原作者として仕事を引き受ける事に対するサンライズへの不満や不信感が、そういった事情もあり次第に増していったとされている。
それでも富野監督は『Zガンダム』の際には安彦良和に「これであと10年はガンダムで食べていけるよね」と発言したが、後の著書「ターンエーの癒し」によれば次第に「だいたいガンダムはおれがつくったものだ。(C)権があろうがなかろうが」「ゲームが出たんだったらその印税をまわしてくれてもいいじゃないか」と、1980年代後半から発言し、徐々にジャンルとして確立し始めたガンダムシリーズのロイヤリティが自分にないことを不服であったと述べている。

そのように原作権について葛藤し、キャリア的にもベテラン域になった頃に『Vガン』という、横やりや苦労がありながらも難産した作品を生み終えた頃になって、よりにもよって自分と同じく原作者としてクレジットされているサンライズに「スポンサーの傘下に入る」という告白を後出しでされたために、ショックを受けてしまい、騙し討ちのように受け取ってしまったものと思われる。
ただし、この頃のバンダイによるサンライズ買収に合わせた経営方針の大転換はタカラと制作してきたアニメシリーズが終了の危機に晒されるなど、当時のシリーズ作品に与えた影響は『Vガン』に限った話ではない。

こういった苦悩もあったことから、現在の富野監督は本作に関して関わったスタッフらの長所などは認めつつも、基本的に否定的な意見を述べることが多い。DVDメモリアルBOX発売の際は購入した人間しか見れないライナーノーツに「買ってはいけません」という見出しをつけ(ただし、これは「そういうと売れてしまうんですよね」という発言が後に続く)、2015年のBlu-rayBOX発売に際しては「この作品は全否定したいと思っているものです」「何がダメなのか探してください」と発言している。

但しその反面、
「ぼくは一本一本の話をおもしろくする努力はした」「Vガンの制作はまがりなりにもまっとうできたはずなのだが」(「∀の癒し」より)
「Vガンダム」はロボットアニメとしては失敗してしまいました。しかしそのおかげで、この物語はこれまで僕が手がけてきたガンダムシリーズをなぞったものではない作品になりましたし、小説や普通の映画のストーリーテラーとしては、貴重な経験を積ませてもらえたと感じています」「(ラストシーンは)十分に満足のいくものであった」(「ニュータイプ100%コレクション 機動戦士Vガンダム VOL.2」より)
「決してほめられたものじゃないんですが、そんなわけで、決して淡白にやっていたわけじゃありません(笑)。」(「戦争と平和」より)
「僕が本気を出した時にはZガンダムやVガンダムのような作品になる」(ニュータイプ2015年4月号 Gのレコンギスタインタビューより)

と、実は当時から現在に至るまでこのようにも述べており、極めつけは「それがVガンダムだ」において
「作品というのはその人の経歴で見るものではないですから。面白い面白くないで見るものですから(中略)作家や監督によって評価が落ちる作品が、決してその人にとって決定的な汚名になるとは思えないのです。」
「作品論としての評価ではないんですよ。そういった誤解はしないで貰いたい」
「このシリーズで、僕自身がこういう立ち居様になった結果というのは、作品論的なものではありませんでした。もちろん、そこには僕自身の問題もありはしますが、経営論が優先した作品だったのです。」

とまで語っており、本作に富野監督が否定的なのは当時の制作事情に対するものであって、作品の内容についてはバイク戦艦を除けば否定的な見解は一切なく、間違いだった、失敗だった、といった類の発言さえしていないのである。(誤解を生みやすい複雑な事情があるにせよ)センセーショナルな見出しだけを見た人によって、あたかも「作品として監督に否定された」という誤った解釈による風説が、一部のファンに対して過剰に伝わってしまい、現在も様々な場で「暗く出来の悪い作品になり監督が鬱になった」といったような、誤解を生む誤った作品紹介をしている所も結構あるが、作品として納得できなかったという意味とは異なるという事は理解すべきである。誤った風聞や偏見にとらわれず一視聴者として「見てください!」という事なのだろう。

また近年、富野監督自身は内容で言及していたバイク戦艦についてですら「今になっては一番気に入っている戦艦」だという発言もしており(【機動戦士ガンダムUC公式アカウントの広報いぬツイートより】)放送終了直後の特集でも「もっと早く登場させるべきであった」というコメントを残している。
実際2010年代以降、富野監督は一転して「そういったスポンサーを含めてガンダムシリーズは大きくなることができたという事を認められるようになった」とも発言するなど、ガンダムブランドが軌道に乗った現在においては、『Vガン』の放送当時からは考えられない程ガンダムシリーズは世界的にも知られるコンテンツ産業として成長し、結果的に富野監督自身も文化功労者に選出されるなどしている為か、過去の発言からやや主張を変えておりバンダイ・サンライズとも現在は良好な関係であると話している。
その為サンライズやバンダイの当時の判断は結果的にはポジティブに捉える事はできるものの、富野監督個人にとっては仕事に対する葛藤や嫌な思い出が残る為現在でも評価が低くなってしまうのは仕方のない事とも言える。

本作は放送中の人気はそこそこ程度ではあったが、ビデオ等ソフト販売はかなり好調で平均1万5千毎という当時の基準以上のLD/VT売上を達成したと放送終了後バンダイビジュアルがインタビューで答えていることから、当時の既存のガンダムファンからのVガンダムやガンダム市場の評価については依然高かったことも伺える。
そして富野監督は『Vガン』の放送中に次回作のガンダムの企画会議に参加するが、バンダイ側からの"戦隊ガンダム"等のトンデモ要望を具体的に聞く内に「それは僕がやっちゃいけない」と次回作の監督を引き受けるのを固辞し、今川泰宏をGガンダムの監督に推薦し、TVアニメからは暫く姿を消す。(その間の様子はエッセイ「ターンエーの癒し」に詳しい)。

30周年を受けての監督評

以上のように、富野監督は本作に対して基本的に厳しい評価を下しており、2004年のDVDBOXや「それがVガンダムだ」を皮切りに代表される「見られたものではないので…」といった発言をラジオ出演やインタビュー等において一貫して行っていた。その為ファンはおろか本作主演の阪口大助らにもこうした作品評が伝わり、それが共通の認識になりつつあった。
しかし時代が令和になった2023年、本作が放送開始30周年の節目を迎えるにあたり、季刊誌「グレートメカニックG2023年夏号」において富野監督が改めて本作を視聴した上でインタビューに応じた。

ところが、これまで同様の意見が述べられると思いきや、その内容は意外なものであった。

大きなガンダムシリーズの流れが落ち込んでいるところで、何とかしなくちゃいけないと思ったんだけど、僕の中では外圧を感じすぎていて、イライラして「『Vガン』なんて決して好きになるもんか!」と思っていた時期があったんです。それでも、見直せる部分もあったわけです。


あれだけの世界観と、あれだけの物量を、1年やり続けたら、そりゃ気も抜けますよ。そのあと立て続けに作品をやるなんて、無理です。本当に精気を吸い取られましたから。


『Gレコ』はここから始まっているとわかったという意味では「『Vガンダム』を作ったのは間違いではなかった」と思えます。また、今回のプーチンの戦争があったおかげで、むしろ『Vガンダム』は『機動戦士ガンダム』よりも、リアルなものがあったと感じられました。

『グレートメカニックG2023summer』富野由悠季インタビューより

このように、放送10周年の節目に恨み節を暴露した「それがVガンダムだ」の頃などとは、驚くほど打って変わった印象を述べている。
こういった背景には、やはり前述したようにガンダムコンテンツのロイヤリティにおけるサンライズ側との和解(このインタビューでも「それはもう口にするのはやめました」と水に流したかのような節がある)や、後年になって作品を評価する声を聞いてきた事(ラジオの生番組内等)、そして本人曰く、近年のロシアによるウクライナ侵攻といった常識を覆す世界情勢が『Vガン』における価値観(型破り的な世界観や古典的な戦争への回帰)と符合し再評価ができる、と発言している事が挙げられる。

また、「タイヤ付きの戦艦なんて出したってしょうがねぇじゃねえか」とやけっぱちで発案したものが、いざ劇に出してみると「ひどいどころかギロチン共々意外と悪くなかった」といった発言もあり、前述した近年の取材と一致するような発言も見られる。そして最後は「皆さんちゃんと「見てください!」」と締めくくるなど、現在ではそれなりに肯定的な発言も見られるようになっている。

スタッフ 

プロデューサー 小泉美明(テレビ朝日)、植田益朗(サンライズ)、村上克司(バンダイ役員/影のプロデューサー)
原作 矢立肇、富野由悠季
総監督 富野由悠季
美術監督 池田繁美
撮影監督 奥井敦、大神洋一
音響監督 浦上靖夫
文芸設定 井上幸一
設定制作 河口佳高
企画室 堀口滋
キャラクターデザイン 逢坂浩司
メカニックデザイン 大河原邦男、カトキハジメ、石垣純哉
脚本 桶谷顕、富田祐弘、園田英樹、神戸一彦
代表的な作画監督 村瀬修功、瀬尾康博、新保卓郎、西村誠芳
代表的な原画 逢坂浩司、重田敦司、西村誠芳、榎本勝紀
代表的な作画スタジオ スタジオダブ、中村プロ、アニメアール、ガイナックス
音楽 千住明
演奏 キングレコード・フィルハーモニック・オーケストラ、篠崎正嗣ストリングス
制作協力 創通エージェンシー、電通
製作 テレビ朝日、サンライズ

スタッフにはこれまでの富野監督作品に携った人物は非常に少なく、特に「重戦機エルガイム」以前のスタッフは、「1st」でのみ関わりのある植田益朗プロデューサーや作画スタッフも富田祐弘くらいしかおらず、中堅スタッフも『Z』『ZZ』に僅かに携わった人物が数名(重田敦司、瀬尾康博、池田繁美など)であったり、業界経歴はあるがガンダムシリーズ自体には関わっていなかった人物が名を連ねた。そしてそれ以外の制作の中心となった多くは、まだ経歴が浅くガンダムにもほぼ携わった事のない当時のサンライズやその下請けの若手スタッフ達であった。

富野監督自身はこの布陣について後年、書籍「それがVガンダムだ」の中で「意気込みの感じられる体制ではない」「薄い現場」など不満を述べているものの、スタッフの頑張りに関しては「打ち上げで謝られたが、よく頑張ってくれた」「逢坂君の柔らかいタッチに救われた」など認める発言もしている。また千住明の楽曲については、当時からサウンドトラック同封のインタビュー内で絶賛するなどしていた。

またこの若手の中には、後のガンダムシリーズを歴任するスタッフも数多く含まれている。カトキハジメ、石垣純哉、村瀬修功、新保卓郎、榎本勝紀、大神洋一など、多数のガンダムシリーズスタッフが本作から輩出されており、村瀬修功(W)や西村誠芳(X)のように数年後にキャラクターデザインに抜擢された人物も名を連ねている。
またガンダムシリーズには関わらずとも、後にアニメ「ポケットモンスター」シリーズを歴任してブレイクする脚本の園田英樹や、後に「TIGER&BUNNY」監督や「THE・ビッグオー」のキャラデザインで著名となるさいとうけいいち、「ケロロ軍曹」シリーズや「ヤマノススメ」監督を務める山本祐介等が、若手として参加していた。山本に至っては前述の通り後半からの参加だったにもかかわらず「この半年でちゃんとやれば、20年は食っていけるはずだ」と富野監督から激励されたと語っている。

またサンライズ側プロデューサーの植田は本作の制作経緯もあり、放送終了後の富野監督にはやや同情的で、後に『∀ガンダム』となる新しいガンダムシリーズの監督を富野監督に依頼するサンライズからのお達しを告げた際、最初は「もうガンダムはいいだろう」と拒否された事もあって、「スポンサーのプレッシャーがないところで一度監督をさせてみたい」として、リハビリの意味を込めて『ブレンパワード』の企画立ち上げに尽力したとされている(「富野由悠季全仕事」より)。
その他、中盤の名シーンである「ルペ・シノの恐ろしい拷問」は、当時設定制作に初挑戦した河口佳高が、無我夢中で富野監督に放ったアイデアの内の一つであるとされている(裏トミノブログより)。

作画や効果音について

音響面では、音響効果にフィズサウンドクリエイションの松田昭彦氏が、OVA作品「ガンダム0083」に続いてガンダムシリーズに復帰している。TVシリーズとしては「1stガンダム」以来となっている。
その為、ガンダムの足音やビームライフルの効果音が「Z」~「0080」(SDガンダムを含む)まで使用していた効果音から、「Vガン」では「1st」で使われていた効果音が復活している。この為劇中のみならず「Vガン」の放送当時発売されたビームライフルのなりきり玩具の効果音にも、おなじみのビームライフルの効果音が使用されている。
松田氏はその後の平成ガンダム3作(ブッピガンもこの人が担当)や「第08MS小隊」、近年では「UC」の効果音も担当している。この為、ガンダムXやユニコーンガンダムのビームライフル音も同様に「1st」の効果音が使用されているという共通点がある。

作画面では影を用いない作画が序盤多用されたものの(品質の良い原画制作に時間を割くため)、後半になるにつれ作画に影が増加したのは、瀬尾康博の率先した試みによるものであるという(書籍「ニュータイプ100%コレクション」スタッフインタビューより)。

ガイナックスが制作に携わった数少ないガンダムシリーズとしても有名である。サンライズは以前『逆襲のシャア』のメカデザインをガイナックスに依頼した経緯があるものの、作画に直接携わった作品は後にも先にも本作のみである。このことが有名ゆえ、ニコニコ動画では本作の良作画シーンの場面で「ガイナ担当した作画は…」と真偽もなしにコメントされることも多いが、具体的には
・第7話、第15話の動画
・第35話、第39話、第44話、第51話の原画
が担当回である。これらの回はいずれも作画の品質が高いものの、それ以外の回でも逢坂浩司や瀬尾康博の担当回など、作画品質の高い回自体はガイナックス担当以外にもたくさん存在するので誤解なきよう。
後半のガイナックスの原画については、後に「新世紀エヴァンゲリオン」の監督を務める庵野秀明も参加していたといい、庵野は放送前後のアニメ誌で度々本作をテーマにした発言を行うなど造詣が深かった。
また本作以降のガンダムシリーズを企画していた際、一時ガイナックスにも制作のオファーが来ていたという。(どの程度のレベルでの話なのかはわからないし、なんやかんやで話は立ち消えになったものと思われるが。)[1]

ボンボン版は電子レンジに入れられたダイナマイトだ!!

アニメの放映に併せて、当時コロコロコミックと人気を競ったコミックボンボンにおいて漫画が掲載された。

しかしこのコミックボンボン版、コミカライズを担当した岩村俊哉によって富野監督もビックリの凄まじいアレンジが施されている。

  • 第一話でいきなり読者にむかって自己紹介する主人公ウッソ。一人称はオレ
  • 第一話でいきなりウッソに殴られてコックピットから叩き落されるクロノクル
  • ニュータイプの苦悩など微塵も感じられない能天気な性格のウッソ
  • 狂言回しというよりは狂気を感じる言動をするマーベット
  • あまりの展開にすっかり影が薄くなったシャクティ
  • やはり全滅するシュラク隊
  • ウッソくんの大発明!
  • ヴィクトリー斬りビームシールドアタック真・V字斬(でも見た目は一文字斬り)
    イデオンソード七本たばにしたビームサーベルなどのオリジナリティ溢れる必殺技の数々
  • 何の説明もなくVガンダムがVダッシュガンダムになっている
  • その次の回では何の説明もなく騎士Vガンダムになっている、そしてコスプレをするロメロじいさん
  • あまりにもやりすぎたため単行本にも収録されず黒歴史化したMS格闘王ギンザエフの存在
    そして原理不明な必殺技「バーニングソニック」を放つMS、あまつさえそれを見ただけで真似「フルバーニアンソニック」したウッソのVガンダム
  • 侍風キャラにされてるゴッドワルド、乗ってるアビゴルの武器名はザンテツブレード
  • MSグランプリトップドライバー(???)セナ・プロスト・シューマッハの3名で構成されたサンダーインパルス(搭乗機はリグ・コンティオ)
  • カテジナ・ルースは登場しない
  • 最終形態はV2アサルトガンダム、バスターパーツ…ナニソレ?
  • ごめん、もう説明やめていいですか?

…と、例を挙げればキリがないほど、すがすがしいまでの原作無視っぷりである。

作者の名誉のために補足しておくが、コミカライズを担当した岩村俊哉は他にもゲーム版ガンダムF91の良質なコミカライズ等を担当しており、決して作者の力量が足りなかった訳ではない。

本編の陰鬱さを吹っ飛ばす勢いで爽快な活躍を見せるウッソや、TV版とは対照的にまともな活躍をみせるウッソの父親、カテジナがいないおかげで最後までライバルであり続けるクロノクルなど、ある意味TV版に対して挑戦的なまでのアレンジが施されている。

「ガンダム神話ゼータ―ガンダム新世代の鼓動」に載っている当時の編集長のインタビューによると、「TV作品のストーリーそのままでは、読者に対して難解だと思ったので、コミック版はオリジナルのものを変更した」との事。

ただのネタ漫画と思われがちではあるが意外と見所は多く、派手でわかりやすい必殺技を駆使しつつも戦争の悲惨さもきっちり描いており、展開の支離滅裂さに目をつぶれば、そこそこ見れる作品にはなっている。

ゲームでの扱い

かつては放映終了後にSFCにて作品単独でゲームが発売されたり、Gジェネを含むSDガンダムシリーズやザ・グレイトバトルシリーズそしてスパロボシリーズにも参戦していたりと(後のG、W程ではないにしろ)割と良い扱いを受けていた。その後もPSやSSの時代にも、当時のスパロボやGジェネシリーズ各作品に参戦している。
特にPSソフトGジェネFにおけるシナリオは9ステージと、同作最大の10ステージに次ぐボリュームを誇り、ザンスカール帝国のMSも全て収録されるのみならず、ザンスパインのようなif設定に基づくオリジナル機体が登場するなど、かなり良い扱いを受けていた。

2000年代以降、GジェネシリーズではPS2における初のGジェネであるNEOでは大幅に機体が削除され、シュラク隊も全員削除されるなどしたものの、ルート分岐によってはVメインのシナリオがありV2ガンダム(特にアサルト、アサルトバスター)が破格の強さを誇る機体に化け、更には専用のMAP兵器デモとフロスト兄弟と死闘を演じるムービーが用意されてるなど、かなりの優遇を受けていたことをはじめ、NEOの直系作品であるSEEDではシナリオは一つしかないが、V2は弱体化の調整を怠ったのか相変わらずの強さを誇り、更には換装システムのおかげで簡単にアサルトバスターになれるというサービスまで受けていた。
その後はポータブルでシナリオ数5、スピリッツではTVシリーズにもかかわらずクロスボーンガンダム以下のシナリオ数4と、やや冷遇が進んだが、一方でザンスカール系の機体やキャラクターの復活は徐々に進み、オーバーワールドにおいてはMAドッゴーラがF以来の復活を遂げている。

なお「SDガンダムフォース 大決戦! 次元海賊デ・スカール!!」に登場する敵キャラクターのデザインもVガンダムのザンスカール帝国のMSが採用されている。

スーパーロボット大戦シリーズでは、2003年のスーパーロボット大戦D以降長らく出演がなかったが、2021年のスーパーロボット大戦30で18年ぶりに参戦を果たした。

またVSシリーズや無双シリーズにおいては、レギュラーで参戦している。VSシリーズではザンスカール帝国のゲドラフといったタイヤメカがプレイアブル化するなど、そこそこの存在感を発揮している。

関連動画

関連静画

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関連項目

  • 富野由悠季
  • 機動戦士ガンダムF91
  • ロボットアニメ
  • ガンダムシリーズ一覧
  • ガンダムシリーズの関連項目一覧
  • ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
  • ガンダムシリーズの登場人物一覧
  • ザンスカール帝国
  • STAND UP TO THE VICTORY
  • いくつもの愛をかさねて
  • 母さんです
  • 宇宙戦国時代
  • マリア主義
ガンダムシリーズ(映像作品)
1st - Z - ZZ - V - G - W - X - - - 種運命 - 00 - AGE - BF - Gレコ - BFT - 鉄血 - BD - BDR
CCA - F91 - 0080 - 0083 - 08 - G-SAVIOUR - EVOLVE - IGLOO - STARGAZER -
UC - GPB - ORIGIN - サンダーボルト - Twilight AXIS - NT - 閃ハサ - ククルス・ドアンの島

外部リンク

脚注

  1. *岡田斗司夫の発言より。
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