お前の料理なんかだ〜れも食っちゃくれねぇよ!とは、マンガ「鉄鍋のジャン」の主人公とは全く思えない悪童・秋山 醤(あきやま ジャン。以下ジャンと呼称)のセリフである。
概要
文庫版2巻「白い魔法」。第1回中華料理人選手権大会編 準決勝第三試合で登場。
悪辣な振る舞いで勝ち進んできた中華の名店「五番町飯店」の代表・ジャンの相手は小さい町中華「麒麟飯店」で常連たちに慕われ本人も周りの期待に応えようとひた向きに頑張る青年・大前 孝太(おおまえ こうた。以下孝太と呼称)。
この二人が対決するにあたり与えられた課題は「蓮根料理」。作中ではその汎用性の高さ故、最高の味を引き出す料理方法を選ぶのが難しいとされる蓮根。当然、孝太も悩むが応援に駆け付けた常連たちの檄により地元・浜松の名産で絶対の自信を持つウナギ、更に常連に買ってもらった本から香港で流行の最新料理に使われていたことからココナッツミルクを蓮根に組み合わせることに決めた。そして孝太は時間いっぱいをかけて腕を振るい会心の出来を確信した。
しかし、ほぼ同時に料理を仕上げたジャンから例のセリフが投げられた。
お前の料理なんかだ〜れも食っちゃくれねぇよ!
ハハハ―――ッ!
挑発を受けて孝太は憤るも直後、時間切れの銅鑼が鳴り響く。慌てて盛り付けをする孝太だったが時間がかかってしまい先にジャンの試食が始まってしまった。審査員たちは意表を突くジャンの料理に夢中になり、満足した挙句、本試合の審査を終了しようとしていた。堪らず孝太は抗議、何とか試食をしてくれるものの孝太の料理を見て渋々といった様子。それでも審査員たちが料理を一口食べるももう食べられないと一蹴されてしまった。
この先、ネタバレにより気になる方は先に本作「鉄鍋のジャン」文庫版2巻を読むことをお勧めする。
真相
なぜこんなことになってしまったのか。それはジャンがある魔法をかけたのである。
そもジャンが出した料理は蓮根に龍眼、ナツメをザラメのスープで蒸したシンプルなものだった。ここで思い出して欲しいのはこの料理が出されたのは第三試合。審査員たちはこの審査に臨む前に正味4食も料理を食べて満腹気味である。そこにジャンの甘くもサラサラと飲み易いスープを飲むことで完全に満足してしまった。しかし、ただ孝太に対する嫌がらせをしただけでない。本大会の発起人で「神の舌を持つ男」の定評がある大谷 日堂がハチミツ、ザラメを敷き詰めた品鍋(蓋つきスープを盛る器)に上記3つの食材を制限時間いっぱいをかけて蒸すことで食材本来の持ち味を引き出したと見抜いた上で
と認めるほど美味だったようである。
対して、孝太の料理は脂ののったウナギにココナッツミルクの濃厚な甘み、それに加えてジャンの料理の試食にかかった時間で料理が冷めたことによりココナッツミルクの脂が分離。結果、この状況における最悪の味を示してしまった。これがジャンの魔法の正体である。
上記の点を審査員から指摘されるや否や孝太は料理を口に運ぶがあまりの不味さに意気消沈してしまう。
そんな落ち込む孝太にジャンは励ますどころか次の言葉を吐き捨てた。
バカだな おまえは!
ウナギと蓮根のココナッツミルク炒めは熱いうちに食べてこそ極上の料理なんだ
冷めていくほど味が落ちていく料理なのさ
ハハハハハ―――ッ
お おまえが先に甘いスープを出したからじゃないか
そのスープを飲んでいる間に冷めてしまったんだ
その通り
ハハハ――ッ
だからオレは先に出したんだ
事の始末
試合後、ジャンは敗退したにもかかわらず悔しがる様子もなく応援してくれた常連たちと笑い合い慰めてもらってる孝太を目の当たりにし、苛立ちから孝太にさらなる侮辱の言葉を掛けようとしてしまう。が、一連の流れを見てついに堪忍袋の緒が切れた本作のヒロイン・五番町 霧子が手を出して喧嘩になりそうなところ、仲裁に割って入った小此木 タカオ諸共3人は階段脇の水路に落ちてしまうというオチが付いた。
余談だが、孝太は後の第二回大会でも自身のミスにより実力を発揮出来ずに敗退する結末を迎えている。料理の腕は良くとも、料理勝負にはとことん向いていない料理人だったようだ。
脚注
親記事
子記事
- なし
兄弟記事
- なし
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- 0pt