京急の車両とは、京浜急行電鉄(京急)が保有する鉄道車両の総称である。京急車も同じ意。
この項では京急車全般にみられる特徴をまとめる。
なお京急の事情に明るくない者にも理解しやすいよう、JR(国鉄)式の用語をなるべく併記した。
呼称のガイドライン
京急車を呼ぶ際に知っておくとよい語の使い分けを示す。
これを知っておけば京急に関する会話で語弊が少なく済むことだろう。
- 「○○形」は系列(○○系)の意を持つ
各車両形式「デハ(クモハ/モハ)2100形」「サハ2100形」の総称として「2100形」と呼ぶ - 「××編成」は車両番号××を先頭とする編成(××F)を指す
デハ2101を先頭とする編成は「2101編成」と呼び、鉄道ファンの間で多く用いられている「2101F」は使わない。
京急ファンの中には世話を焼きたがる者もおり、則していない呼び方をすると注意を受けるかもしれない。そんなときは可能なものは修正したり、掲示板などでは次回の書き込みから気をつけてみよう。きっとあなたのことを京急好きだと皆が認めてくれ、議論の輪に入りやすくなることだろう。
京急車の特徴
京急は併用軌道(路面電車)を発祥とし、専用軌道(一般の鉄道)化・地下鉄乗入れ・長編成化・高速化と様々な歴史を経て現在の姿となった。その間には様々な京急流の哲学「京急スピリッツ」(ネット流にはKQクオリティ)が生まれ、車両の設計にも多大な影響を与えてきている。
合理化で設計の一般化が進む近年でも色濃く残る京急車の伝統を代表的なものの中から挙げる。
- 赤い塗装
車両はどれも鮮やかで深みのある赤色に塗られている(例外もある)。近年ステンレス車が登場したが、他に例を見ない広いフィルムで無塗装部を赤く覆っており京急らしさは失われていない。 - 高性能
地下鉄規格への対応と普通車(普通列車)の所要時間短縮、そして優等列車の高速運転を両立させるため、加速性能が異常なほど優れている。現在最強の車両では60km/hまで毎秒3.5km/hの加速度を保ち、最高速度の120km/hに到達するまでの時間は60秒を要しない。これほどのモンスターマシン、他社にも存在するだろうか。 - 全ての先頭車が電動車(クモハ)
電動車が持つ床下機器の重量に注目。踏切事故や脱輪・脱線事故に遭う危険がある先頭車の低重心化で、転覆など更なる大事故へ発展することを防ぐ狙いがある。また編成後尾となった場合、列車の位置を検知し信号を切り替える軌道回路の動作を確実にする事もできるという。
ちなみに京急では乗り入れてくる他社の車両にも先頭車輪(車軸)の電動化を義務付けている。 - 自動連解装置つき密着連結器
引き通し回路接続と回路切断・ロック解錠の動作をスイッチひとつで行える優れた連結器。1974年12月以来、京急は私鉄最長となる12両での運転を行っている。これは8連と4連(又は4連を3本)の連結によって組成され、日常的に行われる連結・開放作業はこの装置の助けによって瞬時に完了する。 - 大きな窓
快適な車内環境の実現にも力を入れており、どの車両の窓も大きく設計され良好な視界が得られる。これは側面のみにとどまらず、運転室背面の仕切りの窓も同様に大きい。これは前面展望を楽しみたい鉄道ファンにとっても嬉しい心遣いである。 - 運転台のマイク
運転士手元のコンソール左側から大門マイクが伸びており、頻繁に行われる車掌との連絡が楽な姿勢で行えるようになっている。奥に倒してしまえば不要時も邪魔にならず好都合。
以下は現在の新車に引き継がれていないものの、活躍中の車両で見ることができる。
- 張り上げ屋根
車両を見上げても雨どいが目立たないような車体肩部の形状がこれ。すっきりとした外観が艶のある赤い塗装をより引き立たせている。ステンレス車では採用することができない。 - アンチクライマー
1500形以前の車両の顔に付いている裾部分の鰭がそれである。車両同士が衝突した際に乗客や乗務員の安全を確保する役目を持つ。 - 1灯のみの前部標識灯
丸っこいおデコに1灯の前部標識灯が長きに渡り京急のスタイルとされてきた。800形を最後に後述の片開き扉とともに受け継がれなくなった。ちなみに角形で淡い2灯のランプは急行灯で、普通車以外の種別で運行する際点灯される。 - 片開き扉
全ての新造車で両開きが一般的となった時代でも京急は片開きの乗降扉を堅持し続けていた。「乗降時間短縮は扉幅ではなく扉数が鍵である」との哲学かららしい。現代の関東での多扉車隆盛が証明しているかもしれない。
各形式の個性
現在京急は多彩な車種を保有・運行しており、それぞれが個性的で乗る(見る)者を飽きさせない。現役の形式は全てニコニコ大百科に項目があるので、ぜひ見比べて関連動画から魅力を感じ取っていただきたい。
京急保有の現役車両 |
1000形 ─ 800形 ─ 2000形 ─ 1500形 ─ 600形 ─ 2100形 ─ 新1000形 |
関連項目
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