単語記事: 巡音ルカV4X

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巡音ルカ V4X
言葉一つひとつの表情付けをしながら、
力加減を滑らかに操作可能。
甘い吐息から、ガナリ声まで実現するバイリンガル・シンガー。


巡音ルカV4Xとは

2015年3月19日にクリプトン・フューチャー・メディアより発売されたVOCALOID4製品である。
クリプトン・フューチャー・メディアからリリースされたVOCALOID2キャラクター・ボーカル・シリーズ「巡音ルカ」の アップグレード版であり、 キャラクターイメージはクリプトン社のほかの VOCALOID3と同じくiXima氏による。


概要

2009年1月30日にVOCALOID2での巡音ルカリリースから、6年の歳月を経てついにアップグレード迎えることとなる。 クリプトン社よりリリースされる初のVOCALOID4製品であり、従来のVOCALOIDにはなかったさまざまな機能を備える。

歌声ライブラリの元となるボイスマテリアルはV2版巡音ルカから引き続き声優の浅川悠が担当する。予約が2014年11月20日より公式サイトにて開始された。販売形態としてはパッケージ版(DVD-ROM3枚組)とダウンロード版、どちらも用意されている。 対応OSとしては、ボーカルエディターである「piapro studio」にてWindows、Mac OS Xのどちらにも対応するハイブリッド仕様。なお、Mac OS Xにはダウンロード販売のみ対応している。優待販売も行われている(後述)。

収録ライブラリは

  • 日本語ライブラリ:「Hard/「Soft」及びクロスシンセシス向けサブDB2種
  • 英語ライブラリ:「Straight」/「Soft」

の二つ、クリプトン社のほかのV3製品に比べて控えめに思えるかもしれない。しかし、後述するE.V.E.C. (Enhanced Voice Expression Control)と呼ばれる機能により、Appendのように多くの歌声ライブラリを搭載するという手段とは別の方法で、 25GB(インストール時には30GB以上)の容量を擁するほどのさまざまな歌声を実現することが可能なVOCALOIDとなっている。

また、同梱ソフトとして、

  • 巡音ルカV4Xのために刷新されたボーカルエディター「piapro studio」
  • 音楽制作ワークステーション(DAW)の「Studio One Artist Piapro Edition」
  • PreSonusソフト音源
  • サウンド素材の管理ソフト「MUTANT VSTi版」(Windows版のみ)
  • SONICWIREボーナスサンプル

が付属し、巡音ルカV4Xを購入すれば、それのみで基本的な音楽制作ができるような構成となっている。


「V4X」の由来

今回アップグレードにあたり、名前に「V4X」の銘が付された。その由来は「V4」はもちろんVOCALOID4からであるが、一方、「X」の由来の方は公開されたこのデモムービーにて明かされた。


巡音ルカ V4X
  • X:eXpressionの略=表情豊かなこと
  • X:eXtendedの略=拡張されていること
  • X:未知 である場合にとりあえず付けられる名前

このように、更に表現の可能性を大きく広げる巡音ルカを、端的に表すに相応しい文字として「X」の1文字が選ばれることとなった 。


音声ライブラリ

巡音ルカV4Xは複数の歌声ライブラリ、VOCALOID4での新機能に加えて、上述したクリプトン社独自の機能 「E.V.E.C.」により非常に豊かな表現が可能となる。日本語歌声ライブラリ、英語歌声ライブラリともに2つずつ存在し 、 それぞれ対になる形。一つのライブラリで幅広い歌声を実現できるようになり、まさに「Appendとの決別」とも言うべき形になっている。

V4Xの機能解説は公式ページに加えて、こちらも参考にされたし。
ボーカルエディター Piapro Studio(ピアプロ・スタジオ) | クリプトン

以下に述べるE.V.E.C.及びVOCALOID4としての機能はクリプトン社製のボーカルエディタ「piapro studio」にて操作可能となる。ただし、通常のエディタ上でも対応した音素を入力することでE.V.E.C.機能も活用できる。


日本語データベースセット

得意なテンポ:50〜170BPM / 得意な音域:E2〜F4

日本語のデータベースとしては4つのデータベース(以下DB)が搭載される。なお、E.V.E.C.機能が実際に搭載されるのは日本語データベースセットのみ。

  • DB1 HARD
    ”高音に行くほど声を張り上げる、パワー系データベース。E.V.E.C.機能のVoice Colorと組み合わせて、シャープでディティールのハッキリした表現に最適です。所々、可愛らしい声や口の閉じ気味の声をアクセントに置いたり、声の張りを段階的にコントロールすることが可能です。"( 公式サイトより引用)
  • DB2 SOFT
    "柔らかく優しげな発声で作られたソフト系データベース。E.V.E.C.機能のVoice Colorと組み合わせて、儚げな息遣いで、バラードを歌い上げるのに最適です。また、強めのVoice Colorをアクセントに置くことで、従来の
    ソフト/ウィスパー音源にはないダイナミックな表情付けが可能です 。"(公式サイトより引用)

また、この2つのDBのほかに後述のクロスシンセシス向けの日本語DBがさらに2つ搭載される。この2つのサブDBは上記のDBと違い、E.V.E.C.が最小限(=Voice Releaseのみ)拡張されたものであるとのこと。こちらもそれぞれHardとSoftが存在する。これらのDBが追加されることの利点を後述のVOCALOID4の機能と合わせて述べる。

 

E.V.E.C.機能

日本語ライブラリには更にE.V.E.C.と呼ばれるクリプトン社独自の機能が搭載される。E.V.E.C.とは"Enhanced Voice Expression Control"の略であり、そのまま訳すと「強化された音声表現の制御」となる。このE.V.E.C.により上記の2つの日本語ライブラリは更に多彩な表現が可能となる。

具体的にはE.V.E.C.とは歌声を拡張するためのいくつかの機能群のことであり、この機能により今までの VOCALOIDでは難しかった細かい歌声の表情づけ(=Voice Color)、吐息の抜き方の調整(=Voice Release)、子音の補強(=子音拡張機能)が可能となる。主にpiapro studioのエディタ上にて各ノート(音符)に対して設定する機能になるが、通常のVOCALOID4エディタ上でも発音記号の指定によって操作は可能。

今までの複数歌声ライブラリを搭載するのみのVOCALOIDでは、歌声ライブラリを切り替えることで表情づけなどを行おうとしても、やはりそこは異なる歌声ライブラリなので違和感が出てくる部分もあった。しかしこの機能では、 一つの歌声ライブラリ内でも歌声の調整ができ、シームレスでより自然な表現が実現できる。さらに、後述のVOCALOID4の機能のクロスシンセシスとも組み合わせることも可能となっている。なお、Voice Color, Voice Releaseは直接設定ウィンドウを開かずともAltキー(MacではCommandキー)を押しながらそのアイコンをクリックすることで、スムーズに変更可能。複数のノートを同時に選択して一括で設定を変更することもできる。

一見複雑そうに思えるかもしれないが、piapro studioのGUIには様々な工夫が施されており、従来のVOCALOIDに近い感覚で、簡単に楽しく操作できるそうだ。

この紹介記事によってE.V.E.C.の適用の仕方、そしてどの機能をどう適用するとどのような歌い方になるのかがデモフレーズとともに解説されている。⇒巡音ルカV4X紹介 第1回 : 「E.V.E.C.」の基本操作 - SONICWIREブログ

Voice Color

Voice Colorでは歌の中の音符の一つ一つに対して声の表情づけができるようになっている。以下に記す複数の声色を音符に指定することにより、1つのライブラリの中でより幅広い歌声が実現することができる。同じ歌声ライブラリ上の歌声なので、異なる声色を指定しても自然な歌声になる。実際にはこの機能においては、母音の音素をそれぞれの声色に対応するものに変更し音声合成することで表情づけを行っている。実質、複数の日本語ライブラリのそれぞれに以下の声色が存在するので、その組み合わせは実に多種多様となる。さらに、後述のサブDBとクロスシンセシスの併用により、その表情づけの程度が自由に調整することが可能。

以下の9種のVoice Colorがあり、それぞれ【弱音】、【通常音】、【強音】、【特殊音】とカテゴライズされている。

Whisper 【弱音】ささやき声 Soft 【弱音】ソフトで優しい声
Husky 【通常音】息の多いハスキーな声 Native 【通常音】ルカV2の音成分による声
Power 1 【強音】大きい声 Power 2 【強音】張りの有る力強い声
Cute 【特殊音】可愛らしい声 Dark 【特殊音】口を閉じ気味の暗い声
Falsetto 【特殊音】裏声

Voice Release

Voice Releaseとは語尾の吐息の抜け方を指定することができる。それにより従来のコントロールパラメータを調整するのとはまた異なるニュアンスを添えられ、言葉のあとに吐息を含むような温かみのある表現が可能となる。

語尾の吐息だけ?と思うかもしれないが、実際にVoice Releaseが適用された歌声を聴いてみれば、この吐息が歌声の印象に大きく影響を与えることは分かってもらえるだろう。関連リンクにある「巡音ルカV4X」機能紹介記事の第3回によれば、ステーショナリー音素(発音が一定に保たれている部分の音素)が関わる歌声の音色よりも、息を抜くときの一瞬のリリースの音色の方が生の声に近い雰囲気となるという。これを体現するVoice Releaseは、ある意味では巡音ルカの中で最もボイスアクターの浅川氏らしい声色になっているそうだ。

上記の各Voice Colorに対して以下の2種類のVoice Releaseあるので、Voice Colorが「なし」に対するものも含めてVoice Color10種×2=20種類のVoice Releaseが存在する。また後述のクロスシンセシスと併用することで独特なサウンド調整が可能。

  • »» Breath-Long
    その名の通り、語尾に長めの吐息成分を加える。長いフレーズの最後などに用いられ、アンニュイな雰囲気を与えるという。
  • » Breath-Short
    こちらは語尾に短めの吐息成分を加える。ある程度短いフレーズの中にも自然に組み込むことが可能。

子音拡張機能

この機能は子音を重複させることでその補強が可能となり、従来のベロシティの調整に比べてより効果的に子音について調整できるようになる。例えば、滑舌を良くすること、強調したい発音を調整すること、発音にタメをつくることなども簡単にできるようになり、わかりやすい発音をより追求できるようになる。子音反復回数を「なし」、「x2」、「x3」、「x4」の4段階から選択できる。


英語データベースセット

得意なテンポ:50〜170BPM / 得意な音域:G#2〜C4

英語データベースとしては以下の2つが搭載される。初の複数の英語データベースをもつVOCALOIDとなり、元祖バイリンガルVOCALOIDとしてのアイデンティティも引き継がれていると言える。

  • DB1 STRAIGHT
    "ナチュラルな発音と声質で、滑舌よく歌うデータベース。クロスシンセシスによって声の張りもコントロール可能です。"(公式サイトより引用)
  • DB2 SOFT
    "柔らかく優しげな声質で歌うデータベース。クロスシンセシスによって声の張りもコントロール可能です。"(公式サイトより引用)

VOCALOID4としての機能

また、上述以外の機能にもVOCALOID4が本来持つ機能ももちろん巡音ルカV4Xにも適用可能。それらの機能 とE.V.E.C.、複数のライブラリを組み合わせることで、 表現の幅は更に拡大していく。例えば、日本語ライブラリは HardとSoft及びサブDBが存在するが、クロスシンセシス機能を用いればE.V.E.C.のVoice Colorによる変化に加えて、さらにクロ スシンセによりHardやSoft、サブDBの各DBの中間の歌声も実現でき、より深く歌声を追求していくことが可能となる。

グロウル機能
今までのVOCALOIDではエフェクタなどを使用しなければできなかったいわゆる"がなり声"が可能。コントロールパラメータとして操作でき、単純なグロウルのみではなく歌声の表情づけとしても用いることができる。なお、指定したVoice Colorに応じてグロウルの印象が変化するらしい。
クロスシンセシス機能
2つの異なるライブラリの歌声を設定して、それらをなめらかに混ぜることができる機能。グロウルと同様に、コントロールパラメータとしてその混ざり具合を操作。厳密には、元として設定した歌声ライブラリ(プライマリシンガー)を、もう一方のライブラリ(セカンダリシンガー)の歌声に近づけていく形となる。E.V.E.C.で設定された音色にも有効とのこと。なお、選べる組合せは同じ言語のライブラリ同士のみとなる。
ピッチレンダリング機能
ピッチやビブラートの掛かり具合を実際に視認できるグラフがエディタ上に描画される。グラフのカーブを確認しながらピッチ、ビブラートが調整できる。piapro studio上では、独自機能『リアルタイム・ピッチレンダリング機能』として、ピッチやノートの変更を行ったときに自動的にそのグラフを更新する機能が搭載される。耳だけなく、視覚においても歌唱について確認できるようになった。
ピッチスナップモード
従来ではVOCALOIDの合成エンジンが自動で制御していたピッチカーブをオフにすることで、音程が瞬時に切り替わることとなり、VOCALOID曲でもよく見られるロボットっぽいケロケロボイスのような声を実現できる。任意の時間でこの機能のon/offを切り替えることが可能で、部分的に機械的なケロケロボイスに設定することもできる。

※VOCALOID4としてのこれらの機能もpiapro studioからの操作が可能となっている。

E.V.E.C.なしのDBとクロスシンセシスについて

巡音ルカV4XにはE.V.E.C.フル対応のHardとSoftのDBに加えて、標準声色にVoice Releaseが追加されたのみのDBがHardとSoftにそれぞれ存在する。この4つのDBにより何が可能かというと、クロスシンセシスと組み合わせることで「Voice Colorの段階的な調整」が可能になる。

つまりは、本来onかoffの切り替えが出来るのみであったVoice Colorであるが、「E.V.E.C.フル対応のDBの各Voice Colorを適用した声」と「Voice ColorなしDBの標準の声」をクロスシンセシスにより混ぜることで、Voice Colorの声と標準の声の割合を変更、すなわちVoice Colorによる声の表情付具合がクロスシンセシスのコントロールパラメータを通して自由に調整することが可能となる。

詳細はこちらの記事を参照→「巡音ルカV4X」紹介 第4回:全6種類のデータベース構成について - SONICWIREブログ

キャラクターイメージ

キャラクターイメージはクリプトン社の他のVOCALOID3のキャラクターイメージも担当しているiXima氏が担当した。

全体のイメージが公式サイト[2]で公開されており、またクリプトン社によるニュース記事[3]ではそのキャラクターイメージやロゴもダウンロード可能。そして、背面のスケッチが巡音ルカV4X制作プロデューサーのwat氏のTwitter[4]にて公開されている。 なお、この背面のスケッチは正式な設定資料画像が準備中のこと(2014年11月24日現在)。

巡音ルカV4Xは、他のクリプトン社のVOCALOID3のように従来のイメージを概ね踏襲したものではなく、VOCALOID2の巡音ルカのイメージから大きく異なるキャラクターイメージとなった。これは単純にVOCALOID4への対応のためのバージョンアップではなく、名前に付された「X」のごとく、より表現豊かに、そして更なる拡張を目指したことに対応するものだろう。

大きなデザインの変更点

  • ヘッドホンの形状の変化
  • デコルテの露出
  • 心臓を模したと推測される胸部のハート状のブローチや茶色の装飾
  • 両腕のアームカバ
  • 白っぽい色のコルセット
  • ブーツの色や形状
  • 首筋の襟状の装飾

など

V2の巡音ルカの衣装を彷彿させる装飾

  • 左胸の管楽器のモチーフ
  • 首筋の青く丸い装飾
  • 形状はフレアスカートに似たように変化したがスリットの入ったロングスカート
  • ブーツの波状の模様
  • 腰のベルト
  • など。

なお間違い易いかもしれないがコルセットは透けていない(→参照 )。 その自慢の胸も相変わらないご様子。

公式サイトの下部にある「その他」の項目にて、2つのイラスト、ロゴ、衣装の設定資料をまとめたzipファイルがダウンロードできる。


経緯

この項目では巡音ルカV4Xをとりまくこれまでの流れを記す。VOCALOID2の巡音ルカがリリースされてから巡音ルカV4Xまでの約6年間のうち、新バージョンの巡音ルカに関することを追って述べていく。


幻の「巡音ルカAppend」

まずは「巡音ルカ」リリースの翌年、2010年にまで遡る。その年の4月に「初音ミクAppend」、12月に「鏡音リン・レンAppend」が相次いでリリースされ、同じCVシリーズである巡音ルカのAppendへの期待も自然と高まっていった。当時はwat氏のTwitterにおける巡音ルカAppendについての情報も散見されており、また、翌2011年9月下旬リリースのコンピアルバム「VOCALOID民族調曲集」では2曲のボーカルに、及び翌2012年1月中旬リリースのコンピアルバム「VOCALO APPEND feat. 初音ミク」では1曲のボーカルに「巡音ルカ 新Appendβ」が使用されていた。

しかし11年10月にヤマハから次期VOCALOIDエンジンである「VOCALOID3」がリリースされてから「VOCALOID2」での新DB発売は全くなく、V2で開発中だったとみられるルカAppendの先行きも心配されるようになった。さらに翌2012年5月にはwat氏より、ルカの新バージョンが英語の費用対効果面で難航している旨の発言もあり、様々な憶測が流れた。

鏡音リン・レンAprend発売以後の2年間、巡音ルカを含むクリプトン社のVOCALOID音源に目立った動きがないまま、2012年12月に「KAITO V3」と「piapro studio」が発表、翌2013年2月に発売となる。同じV1でサポート切れまで1年余りのMEIKOもV3化待ったなしの状況に加えて、初音ミク英語版の話も出てきていた中、当時は巡音ルカ新バージョンについての前向きな情報は見当たらなくなっており、いつリリースされるのか、どころか、そもそも実現するのかという不安さえ広がっていった状態であった。


巡音ルカのV3化に対する言及

巡音ルカ新バージョンにおける重要な転機の1つとして2013年07月24日に催されたVOCALOID新製品発表会が挙げられる。

このような状況において、この発表会はまさに吉報そのものであった。ヤマハからVOCALOIDのMac対応、そしてクリプトンから初音ミクやMEIKOのV3化などが発表される中、伊藤社長から「クリプトン社のキャラクターは全てMac対応及びV3化を行う」とのアナウンスがなされた(→生放送当該時間へ)。V3リリース以降では初めての、公式によるルカ新バージョンへの前向きで明確な言及であった。

同年の11月上旬には開発担当のwat氏よりルカの新DBの話題が出始め、下旬にはルカの新バージョン調整が進んでいるという内容のツイートがあり、以後「新型ルカ」に対するユーザーやファンの期待がついに現実味を帯びていく形となった。


巡音ルカ新バージョン開発の本格化とAppendとの決別

そして更に2014年1月30日、VOCALOID2の巡音ルカがリリースされてから5周年の節目を迎えたその日、巡音ルカ新バージョンのティザーサイトが公開され、従来のVOCALOID2 巡音ルカの公式ページにも「巡音ルカV3(仮)開発中!」の文字が現れた(現在はV4Xのサイトへリダイレクトされるため閲覧不可)。

サイトには「巡音ルカ」のロゴ、「巡音ルカV3(仮)開発中」の文字と、いくつかの予定される特徴が短文で綴られているのみで、ライブラリの詳細な情報やビジュアルの情報などもなく、依然として多くが謎に包まれたままであった。しかし長らく、来年こそは、来年こそはと、巡音ルカ新バージョンを待ち望んできたユーザーやファンにとっては、このニュースは福音とも言えるべきニュースであった。その日が巡音ルカ5回目の誕生日であったこともあり、各所では大いに沸いた。

翌2月の「MEIKO V3」発売直後、2010年のミクAppend以降の多DB展開はMEIKOで最後とする方針が明らかとなった。wat氏の開発状況ツイートなどから、当初Appendとして開発されたルカの新バージョンがAppend(的なもの)ではなく、新たな機能を実装し、新たなDB構成、そして新たな衣装で、クリプトンVOCALOIDの未来を切り開く使命を負うことが徐々に明らかになった。10月にwat氏はルカの新バージョンのテーマにAppendとの決別があったことを明らかにしている。

開発は長期化の様相を見せたが、これだけの情報公開を前に巡音ルカ新バージョンリリースへの疑いの余地はもはや存在せず、これまで長く巡音ルカ新バージョンを待ったユーザーやファンなどはwat氏による地道な開発のツイートに期待の眼差しを向けながら見守ることとなる。

ちなみに公式のコメントにおいて、ルカの新バージョンは「新型ルカ」、「V3(仮)」などのように呼ばれており、常にV3と明確に発言することは避けられていた。そのことから一部では巡音ルカ新バージョンV3ではない可能性への小さな憶測も存在していた。

大々的な情報公開

さらに大きな動きがあったのは同年11月7日のことであった。

この日、ティザーサイトが同年1月30日以来初めて更新され、それまで曖昧な言及に留まっていた「新しい機能」が、初めて「E.V.E.C.」として具体的に公開された。巡音ルカ新バージョンの音声サンプル(→sound cloudへ)や、現在公式ページにあるキャラクターイメージもシルエットの状態ではあるが、この時初めて公開された。

翌日発売のDTMマガジン2014年12月号では「巡音ルカV3(仮)」と題された特集が組まれた。内容としてはE.V.E.C.の解説とそのβ版を使用したレビュー、開発についてのインタビューやwat氏とYAMAHAの剣持秀紀氏による対談など盛りだくさんの内容であった。

なお、それに先立つ10月9日には、アメリカのニューヨークで行なわれたイベント「NY Comic con」内のクリプトン社のパネルで、巡音ルカ新バージョンによる英語歌唱のJust Be Friendsと、キャラクターイメージの立ち絵のシルエットが公開され、10月10日にはそのシルエットがwat氏のTwitter(→twitterへ)でも公開されていた。


「V3(仮)」から「V4X」へ

そして、2014年11月20日に行われたVOCALOID新製品発表会にて、更なる衝撃が訪れる。

まず、YAMAHAの剣持秀紀氏によって初めてVOCALOID4の存在が明らかとなったその直後、wat氏が→twitterにて「VOCALOID4のルカ」と明かし、その時までV3(仮)とされてきた巡音ルカ新バージョンが、VOCALOID4でのリリースとなることが初めて明かされることとなった。

更にwat氏によるプレゼンテーションではこのデモムービーが初めて公開され、ムービー内では巡音ルカの新バージョンの正式名称が「巡音ルカV4X」であること、イメージビジュアル、搭載DB、2015年2月下旬の発売、価格などが公開された。このデモムービー内のイメージソングは宮沢もよよ氏が担当している。またティザーサイトも更新され、そこではキャラクターイメージや日本語、英語ライブラリの詳細、VOCALOID4とも絡めた解説も新たに加えられた。

この新製品発表会におけるwat氏のプレゼンテーションでは途中から浅川悠氏も出演し、他にも開発に関する様々な話も明かされた。例えばこの発表会の時点でV2での音声収録の10倍(!)もの収録を行ってたことや、巡音ルカへの浅川氏の思いなどが打ち明けられていた。

また、巡音ルカAppendが実現できなかった理由も語られており、それは浅川氏の声の特徴が原因だったとのこと。といってもまるっきりネガティブな理由ではなく、浅川氏の声は息の成分や抑揚が豊かであり、それに加えて表情が多彩であったため、Appendのような単一の表情を持つ歌声データベースのバリエーションを増やすやり方ではその魅力をカバーしきれないとのことであり、そのような浅川氏の声の魅力を、合成音声としての魅力と加えて、新しい巡音ルカに盛り込んで更に進化させていきたいというような思いが語られた。もちろんwat氏はそのtwitterにて以前から「ルカらしさ」という言葉を何度も用いており、それについても十分考慮されているであろう。

リリースに向けて

2015年1月14日にはデータベース制作も終了し期待も高まる中、2015年1月30日、巡音ルカリリースからの6周年の日を迎える。

この日、スペックの向上のためということで、リリースの3月への延期も告知もあったが、同時に新しい立ち絵や製品パッケージの公開、そして英語DB、グロウル、及びクロスシンセシスを用い、流星Pの楽曲RIP=RELEASEを用いたCircus-Pによる調声のデモが公開がなされた。

2月8日には札幌にて行われたイベントSNOW MIKU 2015にて、「『巡音ルカ V4X』完成記念トークイベント」が行われ、ニコ生でも中継が行われた。このイベントの2日前には巡音ルカV4Xの制作がすべて完了していた模様。

そして2月13日には、ついに発売日が2015年3月19日であると公開された。予約済みのユーザーのもとに発売日決定のメールが送られ、また公式サイトでも3月19日リリースという情報が載せられた。この動画では、みろんPによる「残酷な天使のテーゼ」のカバーでの日本語DBのデモが初めて公開された。

2月27日には上記のトークイベントで公開されたものよりもう少し手が加えられたみろんPによる「残酷な天使のテーゼ」のデモソングがDTMマガジンのYouTubeのチャンネルにて公開された。

ついにリリースとなる3月に入ると流れは加速していく。3月5日には、日本語DBのHARDのDB二種(Voice color有り/無し)とV4Xに対応した新バージョンのpiapro studioの無料体験版デモがダウンロード可能となり、インストールしてから14日間無料で歌ってもらうことができ、その当日にはニコニコ動画にも、いくつかのV4X歌唱の動画が投稿された。このデモ版の狙いとして、新しい試みである「V4X」をユーザー実際に体感してもらいたいという。

また3月7日に発売される雑誌「DTMマガジン」の2015年4月号では「巡音ルカV4X 解体新書」と題され、大きく特集が行われる。


関連動画


関連生放送

※これら2つのVOCALOID新製品発表会は視聴期限未定であり、いつでも見られるようになっている。またタイムシフトが見られない場合は以下に示す関連リンクにて発表会の内容が記事になっている。

この放送は、巡音ルカ新バージョン開発が本格化して以来、初めてウェブサイト及びtwitter以外の映像媒体にて情報公開がされた放送。該当する話は1:35:20あたりから。その話の内容はこちら(⇒外部サイトへ)。

2015年2月15日23:59分までタイムシフト試聴可能。

関連静画


MMDモデル


関連商品

ダウンロード版はこちらのサイトにて案内がされている。⇒VOCALOID | SONICWIRE

現在「巡音ルカ V4X」(HARD)とPiapro Studioの特別体験版が利用可能。⇒クリプトン | MEGURINE LUKA V4X DEMO(音楽ソフトウエア)


紙媒体で最初に情報が公開された「DTMマガジン」2014年12月号。

巡音ルカV4Xが大きく特集された3月7日発売のDTMマガジン


幻となった「巡音ルカAppend β」の歌声が聴けるCD

優待販売

巡音ルカV4Xは公式サイトにて通常価格での販売に加えて優待販売も行われており、指定のVOCALOID製品[1] をライセンス登録しているユーザーはパッケージ版、ダウンロード版のどちらでも優待価格にて購入出来る。優待販売は2014年11月20日から2016年1月19日まで(当初優待販売期間は2015年8月31日までだったが延長された)

詳細はクリプトン社による⇒こちらのニュース記事参照。

関連コミュニティ


関連項目

  • 巡音ルカ
  • VOCALOID
  • VOCALOID4
  • クリプトン・フューチャー・メディア
  • 浅川悠
  • ルカオリジナル曲
  • iXima

関連リンク

SONICWIREブログの巡音ルカ『巡音ルカV4X』機能紹介

『巡音ルカ V4X』機能紹介 – SONICWIREブログ:巡音ルカV4Xについての機能紹介が随時更新されていく。

2014.11.20のVOCALOID新製品発表会についての記事

注釈

  1. *巡音ルカ / 初音ミク V3 / 初音ミク V3 バンドル / KAITO V3 / MEIKO V3
  2. *巡音ルカ V4X | クリプトン
  3. *クリプトン|バイリンガル・シンガー『巡音ルカ V4X』発売決定!11月20日より予約受付を開始!(クリプトン社によるニュース記事)
  4. *ルカV4Xの背面スケッチ

【スポンサーリンク】

携帯版URL:
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初版作成日: 14/11/24 12:42 ◆ 最終更新日: 15/09/08 09:44
編集内容についての説明/コメント: 概要を更新しました(優待販売期間)
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巡音ルカV4

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巡音ルカV4Xについて語るスレ

28 : りねら :2015/04/12(日) 22:10:35 ID: PoHPWXmUSe
巡音ルカV4、とても美しいです。

タイトル:巡音ルカV4
画像をクリックして再生!!
この絵を基にしています!
Twitterで紹介する

29 : りねら :2015/04/12(日) 22:12:11 ID: PoHPWXmUSe
>>28 ごめんなさい。巡音ルカV4ではなく、『巡音ルカV4X』でした。
30 : ななしのよっしん :2015/04/27(月) 08:37:35 ID: whf2OySedd
>>sm26097274
31 : ななしのよっしん :2015/07/05(日) 13:23:24 ID: LJsZ2PWjK1
巡音ルカV4X*奏音69「ミリオンダラードリーマー」
>>sm26630880

32 : ななしのよっしん :2015/09/01(火) 09:46:41 ID: ajzQ/vJOfP
http://blog.sonicwire.com/2015/08/v4x-v4x.html
優待延長だって
33 : ななしのよっしん :2015/09/02(水) 14:26:24 ID: PZhaWVrarq
結局なんだったのこれ
今後ルカ救済あるの?もうない?

栗って本当商才ないよなあ
34 : ななしのよっしん :2015/09/08(火) 13:21:28 ID: rzsR+PYlRU
下手に商才あった方が嫌だけどね
逆に商才がそこそこだったからこそここまで盛り上げられたわけだしね
35 : ななしのよっしん :2015/09/08(火) 13:29:45 ID: 08iT4wroN+
>>33
こう言ってはなんだけど、音屋さんが集まって作った会社だからね。 
儲けの為の作戦や効率化に専念する人がいないのは仕方ない。
むしろ何が不満なのか。
36 : ななしのよっしん :2015/09/08(火) 13:32:56 ID: LRCLngf71x
>>34
ぼかろが盛り上がったのは色々な要素と運がうまく組み合わさったのが原因であって、クリ自体の功績は思われてるほどじゃないよ
37 : ななしのよっしん :2015/09/22(火) 02:42:06 ID: jcyM7lpKHW
>>18
SAMさん本人のセルフカバー&セルフバカーは果たしてくるのだろうか…
  JASRAC許諾番号: 9011622001Y31015