1. の意味に関する議論はゼノンのパラドックスの記事でお願いいたします。 掲示板に書き込まれる方は、末尾の注意事項もご一読ください。 (このお知らせ表示は当掲示板レスが>>493まで伸びた時に改訂されました) |
アキレスと亀とは、
本記事では2.について説明する。1. については扱わないのでゼノンのパラドックス参照のこと。
アキレスと亀とは、「アキレスがどんなに速く走ったとしても、前を行く亀に追いつくことはできない」という命題及びその解説である。パラドックスの世界でおそらく最も有名な話の1つ。
俊足に定評のあるギリシャ神話の英雄アキレスが、のろまな亀を追いかける事になった。
さて、アキレスが亀に追いつくためにはまずアキレスが亀の出発点まで到達しなければならないのだが、アキレスが亀の出発点に着いた時には亀はもっと先の地点にいる。そしてアキレスがその亀のいた地点に到達した時には、亀はまた先に進んでさらに先の地点にいる。(以下、無限ループ)
従ってアキレスはどれだけ速く走っても亀には永久に追いつけないし、亀はどれだけ遅くても休まずに進み続ける事で永久に追いつかれない。
このパラドックスを提唱したゼノンは、「時間と空間の実在性」を肯定する一派に対し、その一派の主張をつきつめるとこのアキレスと亀を肯定せざるを得なくなるので、「時間と空間の実在性」を肯定する一派の主張は誤りであると否定したかったのだが、その点についてはこの記事では扱わないのでゼノンのパラドックスを参照のこと。大事なことなので二回言いました。
このパラドックスがゼノン自身やゼノンのパラドックスを差し置いて有名になった背景には、「時間と空間の実在性」に関心がない一般人に対しても一瞬納得しかけてしまうような説得力があり、さらに少し考えればその(非哲学的な)理由を説明したり理解したすることが容易であるということがある。
従って、一般人向けの文章において、ゼノンのパラドックスから切り離されてアキレスと亀の話だけが取り上げられた時には、ゼノンの語りたかった哲学上の議論ではなく、人間の思い込みなどを諭す(さとす)ための題材として用いられている場合が多い。
現実にあるわけがないとわかっていても、その理由を言葉で証明できないという方もいると思うので、一応、上記論理の(非哲学的な観点からの)誤りについての解説の一例を後述しておくのでタネがわからない人はジャンプして頂きたい。
この項目は、ネタバレ成分を多く含んでいます。 ここから下は自己責任で突っ走ってください。 |
アキレスが亀よりも速い速度で走っているのは明白であるため、砕いて要約するなら、アキレスが亀にいつまで経っても追いつけないように見えるが、これは追いつく少し前 →ほんの少しだけ前 →ごくごくわずか前…(以下、無限ループ)に追いつけないという話を示しているに過ぎない。時間で現すなら、亀に追いつく1秒前 →0.1秒前 →0.01秒前 →0.0001秒前…を繰り返していけば、追いつくまでの時間差が0秒に到達しない以上アキレスは亀に追いつけない。ように見える。
横軸:t(時間)、縦軸:x(距離)、青:アキレス、赤:亀
亀とアキレスの詭弁は図の緑線の議論をしてるだけに過ぎない。
アキレスの速度を2、亀の速度を1、アキレスと亀の最初の距離を1とすると、
亀の移動距離(説明2のグラフでいうと緑線の縦成分)は
1/2 + 1/4 + 1/8 + ... + 1/2^n + ...
となり、一般項1/2^nの極限(n→∞)は0、総和1-1/2^nの極限は1に収束する。
つまり、nが無限大の時に図の交点に至ることになる。
ここでnは概要にある亀とアキレスのやりとりの回数を表す。
しかし、例えばそのやりとりを1億回繰り返したとしても、両者の間にはなお1/2^100000000の距離があり、交わることは決してない。
緑線だけで考えれば、無限大という机上の空論を持ち出さない限り両者が交わることはない。
しかし実際には交点(t,x)=(1,2)は存在する。
これを考えるにはx軸(距離)だけでなくt軸(時間)も考える必要がある。
概要に「アキレスは永久に亀を追いつくことができない」とあるが、この『永久』がくせ者。
緑線の横成分の総和の極限は、
lim (1/2 + 1/4 + 1/8 + ...) = 1
であるが、これもn=無限大の場合であり、実際に1を超えることはない。
1億回も概要のやりとりが続けば永久の時が流れたような錯覚を覚えるが、1-1/2^100000000しか経っていないのである。
実際は時間は2,3,4...と続いていくものであるのに、t<1と限定し、しかもそれを「永遠」という言葉でカモフラージュしている。
これが「アキレスと亀」の詭弁の正体です。
亀の速度を1とし、時刻tにおけるアキレスの速度を 1 + e-t (eはネイピア数)とし、t = 0におけるアキレスと亀の距離を1とすると、時刻tにおけるアキレスと亀の距離は、
1 + ∫0t (1 - (1 + e-t))dt = 1 + [ e-t ]0t = 1 + e-t - 1 = e-t > 0
1 < 1 + e-t なのでアキレスは亀より速く走ってはいるが、いつまで経っても亀に追いつけない。
亀が1の距離を進む間に、アキレスはxの距離を進み、亀がアキレスに対して1の距離を先行しているとする。ただし、x > 1とする。
アキレスが1進んで亀がいた位置についたとき、亀はそこから1/xだけ進んでいる。
アキレスが1/x進んで先ほど亀がいた位置についたとき、亀はそこから1/x^2だけ進んでいる。
アキレスが1/x^2進んで先ほど亀がいた位置についたとき、亀はそこから1/x^3だけ進んでいる。
...
以下無限ループとなるので、アキレスは永久に亀に追いつくことができない。
ニコニコ大百科読者の方々は賢明なのですでにお気づきのことと思うが、アキレスはx/(x-1)だけ進んだ時点で亀に追いつくことができる。ではどこが間違っているのだろうか?
アキレスが亀のいた場所に到達するという動作自体は無限回行われており、その時常に亀はアキレスより前にいる。しかしそれらの時刻はすべて、実はある時刻よ りも前になっている。そのため、その「ある時刻」より後に何が起こるかはこの論法だけではわからないため、「永久に」追いつけないと断定することはできな いのである。この論法には、「無限の時刻において成り立つことは、全ての時刻において成り立つ。」という誤った前提が隠されていたのである。
ちなみにその「ある時刻」こそが、アキレスが亀に追いつく時刻である。つまりこれはアキレスが亀に追いつく前の出来事なのである。
当記事掲示板のレス400番あたりまでは、上述のような数学的観点から「アキレスと亀」を詭弁と扱う側と、それをギリシャ哲学の観点から誤りであるという側で意見のすれ違いがありました。
この項の記述者は後者の側ではないため、正確性に保証はありませんが、後者の主張を要約すると「ゼノンのパラドックス(アキレスと亀はゼノンのパラドックスの一部)は世界の実在性の議論であり、そのことを織り込まずに詭弁として処理することは誤りである」ということのようでした。
ゼノンのパラドックスの記事の掲示板でも似たような議論があったため、当記事では「アキレスと亀」として現代に流通している内容に限定して、ギリシャ哲学の観点からの意見は「ゼノンのパラドックス」の記事に住み分けするように誘導するようにしてからは、その点に関する対立は解消されているように思えます。前提の違いによる平行線の議論を避けるためにも住み分けにご協力をお願い申し上げます。
上記以降も、上述の前者と、後者のうち自らの主張はゼノンの思想とは無関係に成立するとする者との間では意見の対立が続きました。
やはり正確性を保証しませんが、その主張を要約すると、「アキレスが亀のいた位置に進んだら亀はわずかに前にいる。しかし現実にはアキレスが亀に追いついている。これではアキレスは亀に追いつく瞬間に起きていることが説明できないのでパラドックスである。」ということのようです。
>>474の指摘にあるように、現実に起きていることを説明できていない以上、後者の主張の前提について現実と一致しない点が「存在すること」は、「どこが現実と一致しないのかを指摘しなくても」論理学的に保証されているわけですが、後者の前提について究明が進まないまま堂々巡りの議論が続きました。
最終的に、後者は回答する保証をしないことを宣言し、前者側は後者を対話不可能な相手であると判断したため、議論としては事実上終了しています。
一見まともなやりとりに見えても、前提が明らかにできる保証がない以上、対話の論理性を担保できないため、>>493以前に行われていた議論には関わらないことを、前者側の立場からお勧めいたします。
参考レス番号として、>>452、>>490-493を挙げておきます。
それでも上記議論に参加されるというのはもちろん個人の自由ではありますが、その際でも、お手数ですが>>1から順に議論内容を吟味し、対話可能な相手かどうか今一度ご検討した上で、自己責任でお願いいたします。
掲示板
536 ななしのよっしん
2023/03/05(日) 14:40:24 ID: HCwa44ThHp
勢いで描いたので関係あるかは知らないです
こういうことを言いたいわけじゃないんだとは思います
アキレスと亀〜無限級数編〜
ルールは簡単!アキレスの先に亀がいてお互いに進んでいく!しかし移動ごとに進むことのできる距離が半々になっていくぞ!果たしてアキレスは亀に追いつけるのか?
https://
537 ななしのよっしん
2023/03/05(日) 16:49:47 ID: HCwa44ThHp
補足
数学詳しくないので疑問
等比数列の和にそれぞれa,bをかけてましたけど、Bnにaだけ加えたほうがいいのか?
An=1-1/2^n,Bn=a+2-2/2^n となり
Bn-An=101-1/2^n
この場合アキレスと亀の距離の差が101に収束
しかしかけた結果は数直線で示した値と合致するので間違っているわけではないのか?
:参考
アキレスを秒速100m 亀秒速0.1mとして
0.5→50m 10→1m
0.75→75m 100→10m
(省略しています。全て読むにはこのリンクをクリック!)
538 ななしのよっしん
2023/03/05(日) 18:14:53 ID: HCwa44ThHp
連投申し訳ないです
掛け算であってそうですabの長さを割るわけですからね
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最終更新:2024/05/08(水) 04:00
最終更新:2024/05/08(水) 04:00
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