SCP-701 単語

14件

ツラレタオウノヒゲキ

5.7千文字の記事
  • twitter
  • facebook
  • はてな
  • LINE

了却 灿然 所谓缢王 凄凄
座有荆 冠如锁链 异 环伺其间
舞宴盛然 裙裾招展 若是面 笑乎悲哉
高低楼阁 若虚若 迷墙回环 去不复返
群氓列王 惊其辉煌 诸魔 怖其伟
庶民之血 缢王享之 愚者之血 尽献堂前
纷然 黯淡 所谓缢王 呜呼哀哉


そしてそれ故烏ら笑ひけり - SCP財団exitより,2022/10/17閲覧

SCP-701とは、シェアード・ワールドSCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。

名は『The Hanged King's Tragedy (吊られた王の悲劇)』。

概要

SCP-701
基本情報
OC Euclid
収容場所 貯蔵サイト██
著者 tinwatchman
作成日 2009年3月27日
タグ アラガッ
ミーム
人間
られた王

芸能
リンク SCP-701exit
SCPテンプレート

SCP-701、『吊られた王の悲劇 (The Hanged King's Tragedy) 』はチャールズI世時代に書かれた復讐悲劇である。現時点で財団は

を回収している。このSCP-701の上演が行われた時、36.78%確率で1-2週間前のリハーサル時点から台本から内容が逸脱し始める (アドリブ的なものではなく、新たな台本に入れ替わったように) 。このときキャストも裏方もこの変に気付いていないか、あるいはそういう台本であったと納得する。そしてオープニング・ナイトか出席者の多い演で、第一幕の最後のシーンに、包帯でぐるぐる巻きにされたの人物 (SCP-701-1) が舞台背景に出現する。この人物は舞台に上り下りする際に舞台裏を通過せず、役者たちも気付いていない。そして第五幕で晩餐会の最中に全に出現し、役者たちは殺し合いや自殺を開始。観客も暴動を開始し、それまでの人間関係に関わらず眼の前の人間を攻撃しはじめる。生き残った観客たちは劇場を出るが、その後外で暴力行為に関与しつづけ、24時間後にようやく落ち着きを取り戻す。落ち着いた後はトラウマになるようだ。


この劇が上演されないよう、財団は絶えず監視を続けているが、その監視から漏れた台本がオンラインで入手できたり、大学高校図書館に出現し、それによって悲劇は開幕する。これを問題視した研究者は本オブジェクトEuclidからKeterにクラス変更することを提起したが、O5評議会はこれを棄却した。く、「10年おきに100人程度失うだけならKeterではない」とのこと。ええ……?

情報が伝染しを及ぼすという意味合いからミーマチックオブジェクトでもあるが、本がある日出現したりオンラインで配布されるという方法による伝染はミーム伝染手段としては非常に特異であろう。

劇台本にかかれている物語

以下はあくまで台本通りに演じられた場合の物語を記載します。実際には上述の通り、3-4割の確率で台本から内容が逸脱します。

物語舞台はTrinculo王首都Serko。おそらくはシチリアを意味するトリナクリアり間違いで、その都市シラクサのことをさすのであろう。ただし、本来シチリアの都はパレルモであり、シラクサではない。また、イタリア歴史上、シチリアの歴史にこの劇に相当する王を見出すこともできていないため、おそらくは地名だけを借用したファンタジーであろうと考えられている。物語において重要な役割を果たすアラガッダも歴史上存在していない [3]

基本的に物語の流れはシェイクスピアの『ハムレット』や『タイタス・アンドロニカス』に近いことが摘されており、それゆえにこの2作品の『非暴力的な代替品』としてSCP-701が選ばれているということを財団は突き止めている。SCP-701における殺人はいずれも舞台裏で起きるうえ、第三幕ではカニバリズムを示唆する場面があるものの容易に劇内容からカットできる。

第一幕

Trinculo王では前王スフォルツァが崩御し、変わってそのであったゴンサーロの即位式が執り行われていた。ゴンサーロは杯を終えると舞台を去るが、その王妃にして前王妃でもあったイザベラは、ワインで酔った勢いで廷臣たちにスフォルツァ睡眠中に死んだというのはであり、実際はゴンサーロがスフォルツァを弑したことを告白する。更に続けて、その即位式ではじめて宮廷を訪れていた下級貴族アントニオが、スフォルツァとイザベラの息子であり、王座の正統後継者であることも明かした。そしてイザベラは倒れ、舞台裏に連れて行かれる。

しかしその話を聞いていた当のアントニオ女王の話をまともに取り合うことはなかった。しかし下宿に戻ったアントニオはその後舞台に戻ると観客に驚いた様子で、「私は前王スフォルツァ幽霊を見た!私は確かに前王スフォルツァ王妃イザベラの息子であったのだ!前王はそのゴンサーロに弑されたのだ!」と説明するのである。

第二幕

一方ゴンサーロはイザベラの告発を知り、イザベラが狂乱したというていで修院に監禁することを決め、更に真実を隠蔽するために撃者を殺することを決める。

イザベラの監禁アントニオにも召使を通じて知らせがもたらされ、彼は召使と共に簒奪者への復讐を企図する。

第三幕

ゴンサーロは撃者の一人、公爵を殺してバラバラにした後、宮廷の料理人に人シチューを作るように命じた。さらにその公爵アリンダを修院に収監する。

アントニオ狂気を装い修院に入ると、自身を殺しようとを用意した王妃イザベラに対して、逆にそのを飲むことを強要し殺する。また、そのときに召使がアリンダを発見して解放する。

第四幕

ゴンサーロはアラガッダの大使から秘密の協と引き換えに味で強を手に入れたことを自身の召使に報告する。そしてそれをもって公爵シチューを盛り、真実を隠蔽するダメ押しにしようとする。召使が舞台を去ると、ゴンサーロは一時良心に覚め行いを悔いるものの、彼はその後もをそれることはない。

アントニオアリンダと知り合い、修院を抜け出す。アントニオアリンダと結婚することを約束し、ゴンサーロを殺すためのを探すことにする。

幕間で職者と王宮警護兵の喜劇が行われる。この職者をゴンサーロの召使が尾行している。職者は二度とこのあと舞台には現れない。職者も撃者の一人であった。

第五幕

ゴンサーロの晩餐会が行われ、各大使杯をしているなか、アントニオが突如乱入する。アントニオゴンサーロの同盟者ペトルッチオの供述書を突きつけてゴンサーロがスフォルツァを殺したこと、アントニオがスフォルツァの嫡流であることを示すと、廷臣たちはゴンサーロを追放する。アントニオゴンサーロを弑することをやめ、代わりに修院に入れたのち、アリンダとの結婚の計画をたてる。このあと廷臣たちがダンスをしながら劇は閉幕する。

改変例

さて実際に変された事例を確認しよう。以下は高校で行われた劇のケースである。

第一幕

第一幕でイザベラが酔って告白するシーン。ここででもない何者かのようなにそって現れる。ここから劇は本来の形から逸脱していく。まず本来アントニオが下宿に戻るシーンでは、召使が高級婦と交渉を行うシーンが挿入されるのだが、代わりにカーテンが落ち、何もないステージアントニオが入ってきて、舞台右手から現れる人に驚きながらも長い独白をはじめる。要するに彼はイザベラの話を信じていることを独白しているのだが、このときの文法は正確なキャロライン時代の文法に基づいている。要はラテン語かシチリということになろうか?そして何よりこの独白は台本に存在していない。その後、カーテンが登ると召使は高級婦とともに現れる。アントニオ舞台を去ると通常通りの流れに戻る。

第二幕

ゴンサーロが召使と会話する場面で、いよいよの正体が明らかとなる。そう、全身を包帯でぐるぐる巻きにされた、SCP-701-1実体である。この実体は基本的に舞台裏を通過する様子を見せず、以後舞台に現れる際も退出する際もふっと現れ、ふっと消える。ゴンサーロが会話を終えて退場する場面で、実体はゴンサーロを追いかけていく。

第三幕

第三幕では例の公爵シチューが登場するが、この場面は本来劇台本から削除されていたようだ (まあ高校の劇でカニバリズムはやってはいけないだろう)。 しかしこの場面は本番で挿入され、舞台左端にはSCP-701-1実体がいる。SCP-701-1実体はアントニオがイザベラを殺するシーンでもそばに出現する。

第四幕

ここからさらに事態は悪化する。SCP-701-1実体はゴンサーロとともに出現し、ゴンサーロがアラガッダの大使と会話するシーンで、SCP-701-1実体に頷いているような仕を見せる (=ここで出演者はSCP-701-1実体を認識する) 。ゴンサーロがこのあと道徳をするシーンは、代わりにアラガッダへの秘密の協が十分か悩むシーンになる。

そしてアントニオ復讐のためを探す場面でまた劇台本から逸脱する。アントニオは本来探すと言ってただ舞台から去るだけなのだが、ここでSCP-701-1から長めの短を手渡される。上述の台本通りであるなら必ずしもは必要なく、またこの上映の小リストにもはなかったにも関わらずである。

第五幕

ここでついに話がおかしくなる。ゴンサーロにアントニオが突きつけるは、ゴンサーロの罪とアントニオの正統を示す内容ではなく、代わりにアラガッダがゴンサーロの秘密の協を不足であるとしてより多くの銭を請する内容であった。

そしてSCP-701-1が出現する。ゴンサーロは観客に向かって呪詛を述べると舞台左手逃げるが、アリンダや召使、他の出演者がゴンサーロを引きずり戻す。SCP-701-1はゴンサーロの玉座に立つと、舞台上から絞首刑のための紐の輪が降りてくる。ゴンサーロがラテン語混じりのイタリア語で罵るも、他の出演者はゴンサーロの首を輪に通してるす。当然、彼は窒息する。

アントニオは「そして、これで"秘密の協"は済される」と述べると短ゴンサーロのを切り裂き、腸をステージの向こうへとばらまく。更に、そのを渡されたアリンダも「そして、この愚者の血によって王はるされる」とゴンサーロの喉を掻っ切る。

やがてそこに出演者の人数分の輪が降りてくる。

そして、私たちの血こそが"られた王達"となる

吊られた王の悲劇

SCP-701「釣られた王の悲劇」 / hata ikeda さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)より,2023/01/07閲覧

そして観客たちは、互いに争いあい混迷を深めていく。

SCP-701-1は何者なのか

SCP-701-1実体には正体は与えられていない。このため、読者はおのおの想像することになる。多く考えられるのは以下の2説か。

前王スフォルツァ説

単純に考えてゴンサーロを殺したいと望むのは、ゴンサーロに殺されたスフォルツァが有といえよう。もっとも、なぜスフォルツァがアラガッダの請を代行するのかは想像しづらいが。

アラガッダの使い説

アラガッダがゴンサーロの協を不足と見てより多くの支払いを請するために使わされた説。銭を提供せよと言っていたはずなのにるしたことから、アラガッダがめていたのは実際には「血」であった可性も高い。

この説を押し広げ、SCP-701をサーキック・カルトと紐づける作品群が後年産まれており、アラガッダも物語上の不思議国家という組みから外れつつある。

このオブジェクトの読み方

このオブジェクトはしばしば難解とされている事が多い。これは、いわゆる「」を解くヒントが少ないからであろう。しかしこれは、「SCPに出てくる考察しよう」という後年のオブジェクトにより、SCP-701もそうであろうと読んでしまうという点があげられる。ありていにいえばこのオブジェクトは初期に書かれた「のまま楽しむオブジェクト」であり、想像を膨らませながら怖がるのが正しい読み方なのだ。

作者は当然当時のクロスオーバー全盛期にこれを送り出したのだから、クロスオーバーを積極的にはかってほしかったのだろうが、実際にクロスオーバーがなされるようになったのはサーキック・カルト確立してくる2010年代後半を待つことになる。

関連動画

関連コミュニティ・チャンネル

関連項目

脚注

  1. *四折本と訳される。大きいを4つ折りにして印刷し製本する本のことで、時々ページが上でくっついていることがあった。当時の人はそこをペーパーナイフで切って読んでいたようだ。かの著名な劇作家ウィリアム・シェイクスピアの戯曲も生前はほとんどクォート版で印刷されていた。戯曲は二折本 (フォリオ) で印刷する価値などないと考えられていたからである。
  2. *の表を用いない安価な製本。
  3. *このオブジェクトの執筆された時期はそうだったのだが、後のオブジェクトではアラガッダの正体を探るものが登場する。
この記事を編集する

掲示板

掲示板に書き込みがありません。

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2024/05/26(日) 22:00

ほめられた記事

最終更新:2024/05/26(日) 22:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP