乌声了却 黑星灿然 所谓缢王 凄凄艾艾
座有荆棘 冠如锁链 异鬼幽冥 环伺其间
舞宴盛然 裙裾招展 若是假面 笑乎悲哉
高低楼阁 若虚若幻 迷墙回环 去不复返
群氓列王 惊其辉煌 诸魔众神 怖其伟岸
庶民之血 缢王享之 愚者之血 尽献堂前
乌声纷然 黑星黯淡 所谓缢王 呜呼哀哉
そしてそれ故烏ら笑ひけり - SCP財団より,2022/10/17閲覧
SCP-701とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
SCP-701 | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Euclid |
収容場所 | 貯蔵サイト██ |
著者 | tinwatchman |
作成日 | 2009年3月27日 |
タグ | アラガッダ ミーム 人間型 吊られた王 精神影響 芸能 |
リンク | SCP-701 |
SCPテンプレート |
SCP-701、『吊られた王の悲劇 (The Hanged King's Tragedy) 』はチャールズI世時代に書かれた復讐悲劇である。現時点で財団は
を回収している。このSCP-701の上演が行われた時、36.78%の確率で1-2週間前のリハーサル時点から台本から内容が逸脱し始める (アドリブ的なものではなく、新たな台本に入れ替わったように) 。このときキャストも裏方もこの改変に気付いていないか、あるいはそういう台本であったと納得する。そしてオープニング・ナイトか出席者の多い公演で、第一幕の最後のシーンに、包帯でぐるぐる巻きにされた謎の人物 (SCP-701-1) が舞台脇や背景に出現する。この人物は舞台に上り下りする際に舞台裏を通過せず、役者たちも気付いていない。そして第五幕で晩餐会の最中に完全に出現し、役者たちは殺し合いや自殺を開始。観客も暴動を開始し、それまでの人間関係に関わらず眼の前の人間を攻撃しはじめる。生き残った観客たちは劇場を出るが、その後外で暴力行為に関与しつづけ、24時間後にようやく落ち着きを取り戻す。落ち着いた後はトラウマになるようだ。
この劇が上演されないよう、財団は絶えず監視を続けているが、その監視から漏れた台本がオンラインで入手できたり、大学や高校の図書館に出現し、それによって悲劇は開幕する。これを問題視した研究者は本オブジェクトをEuclidからKeterにクラス変更することを提起したが、O5評議会はこれを棄却した。曰く、「10年おきに100人程度失うだけならKeterではない」とのこと。ええ……?
情報が伝染し影響を及ぼすという意味合いからミーマチックオブジェクトでもあるが、本がある日出現したりオンラインで配布されるという方法による伝染はミーム伝染手段としては非常に特異であろう。
物語の舞台はTrinculo王国の首都Serko。おそらくはシチリアを意味するトリナクリアの綴り間違いで、その都市のシラクサのことをさすのであろう。ただし、本来シチリアの都はパレルモであり、シラクサではない。また、イタリアの歴史上、シチリアの歴史にこの劇に相当する王を見出すこともできていないため、おそらくは地名だけを借用したファンタジーであろうと考えられている。物語において重要な役割を果たすアラガッダも歴史上存在していない [3]
基本的に物語の流れはシェイクスピアの『ハムレット』や『タイタス・アンドロニカス』に近いことが指摘されており、それゆえにこの2作品の『非暴力的な代替品』としてSCP-701が選ばれているということを財団は突き止めている。SCP-701における殺人はいずれも舞台裏で起きるうえ、第三幕ではカニバリズムを示唆する場面があるものの容易に劇内容からカットできる。
Trinculo王国では前王スフォルツァが崩御し、変わってその弟であったゴンサーロの即位式が執り行われていた。ゴンサーロは乾杯を終えると舞台を去るが、その王妃にして前王妃でもあったイザベラは、ワインで酔った勢いで廷臣たちにスフォルツァは睡眠中に死んだというのは嘘であり、実際はゴンサーロがスフォルツァを弑したことを告白する。更に続けて、その即位式ではじめて宮廷を訪れていた下級貴族アントニオが、スフォルツァとイザベラの息子であり、王座の正統後継者であることも明かした。そしてイザベラは倒れ、舞台裏に連れて行かれる。
しかしその話を聞いていた当のアントニオは女王の話をまともに取り合うことはなかった。しかし下宿に戻ったアントニオはその後舞台に戻ると観客に驚いた様子で、「私は前王スフォルツァの幽霊を見た!私は確かに前王スフォルツァと王妃イザベラの息子であったのだ!前王はその弟ゴンサーロに弑されたのだ!」と説明するのである。
一方ゴンサーロはイザベラの告発を知り、イザベラが狂乱したというていで修道院に監禁することを決め、更に真実を隠蔽するために目撃者を殺害することを決める。
イザベラの監禁はアントニオにも召使を通じて知らせがもたらされ、彼は召使と共に簒奪者への復讐を企図する。
ゴンサーロは目撃者の一人、公爵を殺害してバラバラにした後、宮廷の料理人に人肉シチューを作るように命じた。さらにその公爵の娘アリンダを修道院に収監する。
アントニオは狂気を装い修道院に入ると、自身を殺害しようと毒を用意した王妃イザベラに対して、逆にその毒を飲むことを強要し殺害する。また、そのときに召使がアリンダを発見して解放する。
ゴンサーロはアラガッダの大使から秘密の協力と引き換えに無味で強力な毒を手に入れたことを自身の召使に報告する。そしてそれをもって公爵シチューに毒を盛り、真実を隠蔽するダメ押しにしようとする。召使が舞台を去ると、ゴンサーロは一時良心に目覚め行いを悔いるものの、彼はその後も道をそれることはない。
アントニオはアリンダと知り合い、修道院を抜け出す。アントニオはアリンダと結婚することを約束し、ゴンサーロを殺すための刀を探すことにする。
幕間で聖職者と王宮警護兵の喜劇が行われる。この聖職者をゴンサーロの召使が尾行している。聖職者は二度とこのあと舞台には現れない。聖職者も目撃者の一人であった。
ゴンサーロの晩餐会が行われ、各国の大使に乾杯をしているなか、アントニオが突如乱入する。アントニオはゴンサーロの同盟者ペトルッチオの供述書を突きつけてゴンサーロがスフォルツァを殺害したこと、アントニオがスフォルツァの嫡流であることを示すと、廷臣たちはゴンサーロを追放する。アントニオはゴンサーロを弑することをやめ、代わりに修道院に入れたのち、アリンダとの結婚の計画をたてる。このあと廷臣たちがダンスをしながら劇は閉幕する。
さて実際に改変された事例を確認しよう。以下は高校で行われた劇のケースである。
第一幕でイザベラが酔って告白するシーン。ここで誰でもない何者かのような影が壁にそって現れる。ここから劇は本来の形から逸脱していく。まず本来アントニオが下宿に戻るシーンでは、召使が高級娼婦と交渉を行うシーンが挿入されるのだが、代わりにカーテンが落ち、何もないステージにアントニオが入ってきて、舞台右手から現れる人影に驚きながらも長い独白をはじめる。要するに彼はイザベラの話を信じていることを独白しているのだが、このときの文法は正確なキャロライン時代の文法に基づいている。要はラテン語かシチリア語ということになろうか?そして何よりこの独白は台本に存在していない。その後、カーテンが登ると召使は高級娼婦とともに現れる。アントニオが舞台を去ると通常通りの流れに戻る。
ゴンサーロが召使と会話する場面で、いよいよ影の正体が明らかとなる。そう、全身を包帯でぐるぐる巻きにされた、SCP-701-1実体である。この実体は基本的に舞台裏を通過する様子を見せず、以後舞台に現れる際も退出する際もふっと現れ、ふっと消える。ゴンサーロが会話を終えて退場する場面で、実体はゴンサーロを追いかけていく。
第三幕では例の公爵シチューが登場するが、この場面は本来劇台本から削除されていたようだ (まあ高校の劇でカニバリズムはやってはいけないだろう)。 しかしこの場面は本番で挿入され、舞台左端にはSCP-701-1実体がいる。SCP-701-1実体はアントニオがイザベラを殺害するシーンでもそばに出現する。
ここからさらに事態は悪化する。SCP-701-1実体はゴンサーロとともに出現し、ゴンサーロがアラガッダの大使と会話するシーンで、SCP-701-1実体に頷いているような仕草を見せる (=ここで出演者はSCP-701-1実体を認識する) 。ゴンサーロがこのあと道徳的葛藤をするシーンは、代わりにアラガッダへの秘密の協力が十分か悩むシーンになる。
そしてアントニオが復讐のため刃を探す場面でまた劇台本から逸脱する。アントニオは本来探すと言ってただ舞台から去るだけなのだが、ここでSCP-701-1から長めの短剣を手渡される。上述の台本通りであるなら必ずしも剣は必要なく、またこの上映の小道具リストにも剣はなかったにも関わらずである。
ここでついに話がおかしくなる。ゴンサーロにアントニオが突きつける紙は、ゴンサーロの罪とアントニオの正統を示す内容ではなく、代わりにアラガッダがゴンサーロの秘密の協力を不足であるとしてより多くの金銭を請求する内容であった。
そしてSCP-701-1が出現する。ゴンサーロは観客に向かって呪詛を述べると舞台左手に逃げるが、アリンダや召使、他の出演者がゴンサーロを引きずり戻す。SCP-701-1はゴンサーロの玉座に立つと、舞台上から絞首刑のための紐の輪が降りてくる。ゴンサーロがラテン語混じりのイタリア語で罵るも、他の出演者はゴンサーロの首を輪に通して吊るす。当然、彼は窒息する。
アントニオは「そして、これで"秘密の協力"は完済される」と述べると短剣でゴンサーロの腹を切り裂き、腸をステージの向こうへとばらまく。更に、その剣を渡されたアリンダも「そして、この愚者の血によって王は吊るされる」とゴンサーロの喉を掻っ切る。
やがてそこに出演者の人数分の輪が降りてくる。
そして観客たちは、互いに争いあい混迷を深めていく。
SCP-701-1実体には正体は与えられていない。このため、読者はおのおの想像することになる。多く考えられるのは以下の2説か。
単純に考えてゴンサーロを殺害したいと望むのは、ゴンサーロに殺害されたスフォルツァが有力株といえよう。もっとも、なぜスフォルツァがアラガッダの請求を代行するのかは想像しづらいが。
アラガッダがゴンサーロの協力を不足と見てより多くの支払いを請求するために使わされた説。金銭を提供せよと言っていたはずなのに吊るしたことから、アラガッダが求めていたのは実際には「血」であった可能性も高い。
この説を押し広げ、SCP-701をサーキック・カルトと紐づける作品群が後年産まれており、アラガッダも物語上の不思議な国家という枠組みから外れつつある。
このオブジェクトはしばしば難解とされている事が多い。これは、いわゆる「謎」を解くヒントが少ないからであろう。しかしこれは、「SCPに出てくる謎を考察しよう」という後年のオブジェクトの影響により、SCP-701もそうであろうと読んでしまうという点があげられる。ありていにいえばこのオブジェクトは初期に書かれた「謎を謎のまま楽しむオブジェクト」であり、想像を膨らませながら怖がるのが正しい読み方なのだ。
作者は当然当時のクロスオーバー全盛期にこれを送り出したのだから、クロスオーバーを積極的にはかってほしかったのだろうが、実際にクロスオーバーがなされるようになったのはサーキック・カルトが確立してくる2010年代後半を待つことになる。
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最終更新:2024/05/26(日) 22:00
最終更新:2024/05/26(日) 22:00
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