『シン』はジェクトだとは、ゲーム「ファイナルファンタジーX」の作中で登場したセリフである。
セリフまでのあらすじ
ザナルカンドに突如現れた巨大な魔物『シン』に飲み込まれ、異世界スピラに飛ばされてしまったティーダ。元の世界に戻るため、『シン』を倒すために旅をするというユウナ達に同行することにしたティーダは、その道中で自分を『シン』に飲み込ませた張本人であるアーロンと再会する。
自分を散々な目に遭わせたアーロンに対して、怒りと苛立ちをぶつけるティーダ。
わかってんのかよ!
全部あんたのせいなんだ!『シン』に飲みこまれたのも!
スピラに放り出されたのも!ザナルカンドに帰れないのも!
全部! すべて! みんな!なにもかも あんたのせいだ!
ひとしきり吐き出してようやく落ち着きを取り戻したティーダは、自分と同じようにスピラに飛ばされてきたという父・ジェクトのことをアーロンに訊ねる。
アーロンはかつてジェクトとブラスカ(ユウナの父)と共に『シン』を倒すため旅をし、その後ティーダの成長を見守り、いつかスピラに連れていくために自分だけがザナルカンドに渡ったのだと言う。なぜ自分がスピラに来なければならないのか…と不満を漏らすティーダに、ジェクトの頼みだからだと答えるアーロン。これを聞いて、父・ジェクトは生きているのかと訊ねるティーダであったが…
あの状態を『生きている』と
言えるなら
……は?
アーロンの言っていることが理解できず、思わず素っ頓狂な声をあげるティーダ。アーロンはなおも続ける。
あいつはもう
人の姿をしていないだが……
あれの片隅には 確実に
ジェクトの意識が残っているあれに接触したとき おまえも
ジェクトを感じたはずだ
まさか……
そうだ
『シン』はジェクトだ
『シン』はジェクトだ ……
スピラで暴れまわり、人々を恐怖に陥れているあの巨大な魔物が、自分の父親だというのだ。
くっだらねえ!
なんだよ それ!
と叫ぶのであった。
『シン』は本当にジェクトなのか
『シン』は本作の大ボス的な立ち位置にある敵であり、物語の根幹を為す存在でもある。その『シン』が何たるかを物語の序盤のうちにネタばらしされ、ティーダでなくとも半信半疑だった人は多いであろう。
それでは結局、アーロンの言う「『シン』はジェクトだ」は事実だったのだろうか?
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結論から言うと、『シン』がジェクトであるのは事実である。
ただしアーロンはこのとき、自分の目で真実を確かめてほしいという思いから本質的な部分をわざとぼかしており、この一言だけでは『シン』が何たるかを説明するのに不十分である、とも言える。
スピラでは、『シン』は究極召喚でしか倒せず、また一度倒したとしてもいずれ復活してしまうと信じられていた。その中核をなすのが、古の召喚士のなれの果て…『エボン=ジュ』と呼ばれる存在で、これがある限り『シン』はいくら傷つけられても元通りに回復してしまうのだ。究極召喚を使うことで一時的に『シン』を倒すことはできても、『エボン=ジュ』はその究極召喚獣に乗り移って新たな『シン』に作り変えてしまう…これが、復活を繰り返す『シン』のカラクリである。
このように、究極召喚は実際にはただの一時凌ぎでしかないのだが、スピラの人々はそれこそが唯一の希望と信じ、『シン』の復活を止める手段も、ましてやその中核をなす『エボン=ジュ』の存在も考えようとしなかった。皆それが当たり前のことだと受け入れ、諦めてしまっていたのだ。
先代『シン』を倒した大召喚士ブラスカのガード(護衛)として共に旅をしていた若かりし日のアーロンも、当初はそんな一般的なスピラの民のひとりであった。だが旅の途中でザナルカンドから飛ばされてきたジェクトと出会い、スピラの常識に囚われない彼と共に旅を続けるうちに、『シン』を倒す手段が他にあるのではないか…と疑問を持ち始める。
その旅の終着地、究極召喚を授けるとされる召喚士ユウナレスカの待つ場所を前にして、アーロンは究極召喚の使用を考え直すようブラスカに進言するが、ブラスカの意志を変えることはできなかった。元の世界に帰れないことを悟りつつあったジェクトは、自らブラスカの究極召喚になることを買って出、アーロンには自分がいなくなった後のティーダの世話を託す。ユウナレスカによって究極召喚となったジェクトはブラスカと共に『シン』に挑み、そして…
「そして……なにも変わらなかった」
究極召喚を行ったブラスカは死亡し、ジェクトは『エボン=ジュ』に乗り移られて新たな『シン』となってしまった。古より続く螺旋を、何一つ変えることはできなかった。
戦友2人を無駄死に同然の形で失ったアーロンは、究極召喚の真実を知りながらこれをブラスカに授けたユウナレスカに怒り、単身挑みかかるも返り討ちに遭い死亡。だが、ティーダの面倒を見るというジェクトとの約束を守るため死人として現世に留まり、後にザナルカンドへと渡った。
それから10年の時が経ち、『シン』はザナルカンドに現れた。そこにジェクトの意思を感じ取ったアーロンは、その意思に従いティーダをスピラへといざなうのであった。この世界の真実を見せるために。
「これは おまえの物語だ」
余談
上記のシーンの後も、アーロンは事あるごとに「『シン』はジェクトだ」と発言している。
↓の動画によると、作中で4回発言しているらしい。
ネット上では、「ジェクト」の部分を他のキャラ(ex. ワッカ、キマリなど)に改変してネタにされることがある。
関連動画
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関連項目
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