イオン・ファゼカス(Ion Fazekath)とは、『銀河英雄伝説』の登場人物である。
概要
帝国領アルタイル星系第七惑星でモリブデンとアンチモニーの採掘に従事していた奴隷階級の子。
彼が監視人の視線をのがれて氷を削ってオモチャの小舟を自作したことが、ある意味では『自由惑星同盟』という国家が誕生する一番最初のきっかけであった。
というのも、その氷の小舟を水に浮かべて遊んでいたところをとある青年に目撃されており、それがドライアイスを用いて一時的な逃亡用宇宙船を建造するという画期的なアイデアを抱くきっかけとなり、ひいては「帝国領から脱出して新天地を目指す(長征一万光年)」「その新天地で共和主義国家を建設(自由惑星同盟建国)」という遠大な理想が具体化するきっかけであったからである。
その青年とは、後に自由惑星同盟で『国父』と称えられるアーレ・ハイネセンその人である。
ルドルフ・フォン・ゴールデンバウムが銀河帝国皇帝となりおおせて以来、抑圧されていた共和主義者たちにとって、すべての夢の始まりとなったドライアイスの宇宙船に少年の名前と同じ『イオン・ファゼカス号』という名称が与えられたのは、そうした経緯によるものである。
性格
作中で描写がほとんどないので不明。ただ帝国当局の監視の目を誤魔化して自分が遊ぶための氷の小船を作っていたあたり、幼いながら賢い少年であった模様。
余談
ほぼ間違いなくイオン・ファゼカスも長征一万光年の参加者であると思われるが、彼の存在について触れられるのは一巻序章のみで、アーレ・ハイネセンやその後を継いだグエン・キム・ホアのようにその後どうなったかについては語られない。
長征一万光年は54年という長い期間にわたった旅路であり、ずっと少年だったということはありえない。長征開始時に少年であったのだから10歳前後であったと思われる。もちろん、長征一万光年の最中に40万人もいた同志の内、約16万人しか生き残れなかった過酷な旅路であるから、最中に死んだ可能性もある。それでも、最後まで生き残ったと仮定するなら、長征一万光年終了時点で65歳前後であり、同盟建国後もなんらかの形で活躍していたとしても不思議でなく、それこそ可能性だけなら同盟の初代国家元首という可能性もありうる。
というより、帝国やフェザーンと異なり、同盟の初代国家元首がだれなのかまったく情報がなく、同盟建国のエピソ―ドに登場する名前のあるキャラがアーレ・ハイネセンとグエン・キム・ホアとイオン・ファゼカスの三人しかおらず、ハイネセンは長征中に死亡、グエンは建国後に公職に就かなかったと明記されているので、その後の消息が書かれていないイオン少年がどうなったかという(記事作成者の)想像が膨らんだだけの話である。
関連項目
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