曖昧さ回避
概要
麻雀における1翻役の一つ。成立条件を一言で書くと「副底及び門前加符以外の全ての符が存在しない形」である。また、これに加え最近では門前であることも加えて要求される。基本ルールで唯一、成立条件に符数が絡む役である。
この条件を満たす為に必要なことを羅列すると
- 門前であること
- 4つの面子が全て順子であること(刻子は面子符がつくためNG)
- 待ちが両面待ちであること(嵌張、辺張、単騎待ちは待ちに符がつくためNG シャンポン待ちは順子のみなので起きえない)
- 雀頭が役牌の対子ではないこと(雀頭が役牌の対子の場合符がつくためNG)
これらの4つの条件を満たす必要があり、1,2は理解しやすいのだが、3,4は初心者が勘違いしやすいため要注意となっている。なお、平和が役になった時点では1の条件はなかった。つまり食い平和も平和として認められていたのだが、現在のルールではこれが認められることは皆無と言える。
断么九(タンヤオ)と並び、あがりやすいとされる手役である。また、使用する牌の種類が多くなる(最大13種)和了り方であるため、ドラ・裏ドラが乗りやすく、赤ありのルールの場合は赤牌が含まれやすい。他の役(タンヤオ・一盃口・三色同順・一気通貫など)と複合しやすい和了り方でもあるため、和了り方の基本中の基本として扱われていることが多い。
そのため麻雀の解説書などでは初心者向きと書かれることが多いが、実際には上のように条件は結構難しい(複雑)ため、正確に成立条件を覚えようとすると初心者には酷でもある。ただ、この役の成否はともかく、役の完成を目指す上で
という指針を提供してくれる役であるため、この役を目指したプレイスタイルは上達への道しるべとなる。
平和の例
上記のように複雑な成立条件を持つ役であるため、実際に成立するか否かを牌の形を元に少し解説したいと思う。なお、ここで単純に条件1と言えば概要で書かれた「門前であること」の条件を指すものとする。
例1: ロン
まず、例1の場合は平和が成立している。条件1はまず満たされている。次に条件2だが、面子は全て順子である。また、条件4については雀頭はなので問題ない。
ここで条件3であるが、この形は待ちの形がの両面待ちともの単騎待ちとも取れる(で和了した場合には両面待ちとみなすしかない)。この場合は高点法による。すると、単騎待ちと解釈すると符数は増えるが、役が無くなる。よって、この場合は両面待ちとみなし、条件3が満たされる。全ての条件が満たされるため、これは平和の形である。
例2: ツモ
例2の場合は平和が成立していない。条件1,2,4についてはどれも満たされているのだが条件3である。この形は一般的にはノベタンと言われという両面待ちのような待ち方をするものの、実質は両面のような単騎待ちである。例1の場合と異なり、これを両面待ちとみなすことは出来ない為、例2は条件3を満たさない。
例3: ロン
例3の場合は南場または南家でなければ平和が成立している。まず条件1,2については成立しているし、条件3もの両面待ちとなっている。ここで問題は条件4の雀頭が役牌対子ではない、というものが重要になる。この場合雀頭はであるから、これが役牌として用いられる牌であれば平和は不成立となる。つまり、南家である、または南場であるという条件においては役牌として用いることが出来る牌であるから平和にはならない。逆に東場であり、尚且つ南家ではなければ平和となる。
例4: ツモ
例4は一応、形としては平和の条件を満たす。というのもの順子が3つと思えば条件1~4までの全てを満たしているためである。もっともこの場合には高点法により点数を決める。平和の形だとみなすなら「門前清模和+平和+タンヤオ+一盃口」であり4翻20符である。一方で・・の刻子だとみなすなら「門前清模和+タンヤオ+三暗刻」であり4翻40符となる。つまりこの場合は後者の解釈をした方が得点が高くなるため、平和は不成立となる。ちなみに、がツモでなくロンである場合は平和とみなした方が点数が高い。
平和ツモの有無について
平和は上述の通り「副底及び門前加符以外の全ての符が存在しない形である」と定義される(上述した平和の成立条件のうち、2~4は「符の付かない面子」「符の付かない雀頭」「符の付かない待ち」と言い換えることができる)。そのため、本来の定義に従えば
5. ロン上がりであること(ツモ和了についてはツモ符が2符つく)
という条件が付き、平和はツモ上がりとは複合しないこととなる。この本来の定義通り、平和ツモを平和として認めないルールがある(関西で多いらしい)一方で、現在主流となっているルールではツモと平和の複合が認められており、その場合はツモの2符を無視して20符として扱う。平和ツモの有無は事前にルール確認しておく必要がある。ゲームなどでは大体は門前清模和と平和が複合するケースが多く、20符となる。
平和ツモが認められてる場合、たとえば「『立直・平和・三色同順・ドラ1』をツモ上がりしたとき」に
となり、同じ手役でもより大きな点数が動くこととなる。
また、副露して完成させた平和の形(つまり、条件1のみが不成立)の場合には門前加符が付かなくなるため、ロン和了すると20符となるはずであるが、この場合には10符を加算し30符として計算することが一般的である。これは例えば、食い平和形のタンヤオなどに見られるもので、本来であれば1翻20符となるが、これを1翻30符にするというものである。
文字に起こすと複雑に思えるが「20符になるのは平和ツモのときのみ」と覚えておけば、符計算の時に混乱することはないと思われる。
もっとも麻雀ゲームでは1翻20符というものが出現するものもあり、桃色大戦ぱいろん(現在では食い平和は30符となる)や東方幻想麻雀はその一例である。
メンタンピン
漢字で書くと「門断平」。リーチもしくは門前ツモ(後述)・断幺九・平和が複合型している時、こう呼ばれる事がある。14枚全てが2~8の数牌で構成され(断幺)、門前で(門前及び平和の前提)、両門待ち(門前と合わせて平和成立)という比較的作りやすい形でありながら、最低でも20符3翻(700・1300の2700点)となる和了り方であるため、実践的かつ基本的な役作りとして書籍やサイトで広く扱われている。
本来は「門前自模和」「断幺九」「平和」の複合役を指すものであり、昭和の麻雀ルール本を見るとそのように記述されているものもある。しかし現在は、門前自模和は狙って出すような役ではない事、上述の通り門前ツモと平和の複合を認めないルールが存在すること、現在のルールではこのような和了りの場合は立直を掛ける場合が多いことから、「立直」「断幺九」「平和」を指すことの方が一般的である。厳密にどちらが正しくてどちらが間違っていると言えるものではないし、単純に呼び方の話なので、そこまで神経質になる必要も無い。
なお、平和ツモありのルールで「立直」「断幺九」「平和」「門前自模和」が複合した際はメンタンピンツモと呼ぶことが多い。四飜なのに満貫にならない形の代表例としてよく紹介される。
実演
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ちなみにこれだと緑一色である。なお、天和・地和・人和などといった特殊な役満やローカル役満の役を除けば、平和形でできる役満の役は緑一色だけである(混一色形の緑一色のみを認めている場合はこの限りではない)。四暗刻?何のことかな?
関連動画
関連項目
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