有機EL(Electro Luminescence)とは、電圧をかけると有機物が発光する現象である。この現象を利用したOLED(Organic light emitting diode:有機発光ダイオード)も有機ELと呼ばれる。
概要
基本的な発光原理は発光ダイオード(LED)と同じで、LED素子がガリウム化合物などの無機素材が主原料であるのに対して、炭素骨格を持った有機素材を用いている。
有機ELを利用した表示デバイスはポスト液晶とも言われており、現在は主にスマートフォンやテレビ、電子ビューファインダーなどに用いられている。
本格的な普及からまだ日が浅いこともあり、曲げられるフレキシブルディスプレイや、窓のように設置できる透過パネル、安価に大量生産が可能な印刷方式など、技術開発が盛んに行われている。
特徴
2つのカラー化方式
主に、赤緑青の3色の発光素子を使ったRGB発光方式(RGB方式)と、白色の有機ELとカラーフィルターを組み合わせたカラーフィルター方式がある。
RGB発光方式は広色域を実現でき、バックライトやカラーフィルターが不要なため液晶よりも機器を薄型軽量にできる。反面、各色の素子の耐久年数の違いから経年劣化による色の変化が起こりやすい。また大型パネルの製造難度が高い。スマートフォンやEVFなど小型のディスプレイに採用が多い。
カラーフィルター方式は、色域や消費電力ではRGB発光方式より不利になるものの、上記のような経年劣化による色の変化が起こりにくい。同じくカラーフィルターを使う液晶と比較すると、こちらは素子ごとに完全に光をオフにできるためコントラストに優れる。2018年時点で、テレビなど大画面のものは基本的にこちらの方式を採用している。
原理
電極の間に挟み込んだ薄膜の層に電圧をかけることで、電子と正孔を注入し、それらが発光層まで輸送されて結合する。その結合のエネルギーが発光材料を励起し、失活するときにエネルギーが光となって放射される。
関連動画
関連項目
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