横断歩道とは、歩行者などが道路を安全に渡るために設置された区域のことである。
概要
舗装の色と白いラインのしましま模様で示されていることが多い。日本の横断歩道にはかつて模様の両サイドに白線が引かれていたが、雨水がたまり轍になってしまうため、1992年から新設・修復された横断歩道には入れられていない。
基本的に信号機があり、相当数の歩行者が道路を横断しうるところには設置されている。その場合、歩行者用信号機が設置されていることが多いので、歩行者はそれに従って横断することになる。歩行者用信号機が無い場合は、車両用信号機に従う[1]。近くに横断歩道がある場合は、歩行者は横断歩道を使って横断しなければならず[2]、仮に近くの横断歩道を渡らずに事故に遭った場合は歩行者側の過失が大きくなる。
中には「自転車横断帯」というものもある。自転車道では単体で設置されているところもあるが、横断歩道の横に設置されているところが多い。横断歩道に併設されている場合、自転車は歩行者用信号機の指示に従って、自転車横断帯を通行して横断しなければならない。しかし、歩道ではなく車道を通行していてもこのルールが適用されるため、横断の際に自転車横断帯まで迂回しなければならず、あまりにも不自然で場合によっては危険になるため、近年は撤去されるところもある[3]。ちなみに、自転車横断帯がついていない横断歩道がある交差点を自転車が横断する場合は、原則車両用信号機に従い、横断歩道ではなく車道側を横断するか、歩行者用信号機に従い、自転車から降りて歩いて横断歩道を渡るか、の二択となる。ただし、歩行者の通行を妨げない場合、乗ったまま横断してもよい[4]。
信号のないところにある横断歩道も多い。この場合、横断しようとする歩行者(自転車横断帯の場合は自転車)がいる場合、車は横断歩道の手前で停止する義務がある[5]。ただし、実態としては守られていないことが多い。これについては、その地域の運転マナーを表す指標の一つともされており、JAFによって調査がされている。中でも長野県や静岡県は停車率が高い[6]。
あらゆる角度から歩行者の横断が可能なスクランブル交差点というものもある。都市部で歩行者の量が多い交差点に設置されるのが大半。X字に横断歩道が描かれていることがあるが、別にその上を通らなければならないというわけではない。
なお、横断歩道を渡る際に手を挙げるという習慣があるが、道路交通法などの法令で規定されているわけではない。国家公安委員会の定めた「交通の方法に関する教則」には過去にそのような規定があったものの、1978年の改正で消えてしまった[7]。しかし、手を挙げる行為には子供への視認性が向上するメリットもあり、現在でもそのように家庭や幼児教育などで教えられていることが多い。
自治体やPTAによる交通安全活動の際などには、児童の横断時に交通安全旗や横断旗と呼ばれる黄色い旗が用いられる事もある。
有名な横断歩道
- アビー・ロードの横断歩道
ビートルズのアルバムのジャケット写真になったことで知られるロンドンの横断歩道。現在は観光スポットになっていたり、多くのメディアでパロディがされたりする。 - 渋谷スクランブル交差点
四方八方から一度に多くの人が渡る東京・渋谷駅前の交差点。近年は外国人に注目されており、観光スポットにもなっている。また、サッカーワールドカップや年越し、ハロウィンの際は多くの人が集まり大変混雑する。
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *道路交通法施行令第2条
- *道路交通法第12条
- *兵庫県警察「自転車横断帯の撤去」
- *警視庁「自転車の交通ルール」
- *道路交通法第38条
- *JAF「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」
- *産経新聞「【関西の議論】実は間違い、横断歩道「手を上げて」」
- 4
- 0pt