公安とは公共の安寧(治安)のこと。転じて、日本や漢字圏の国では警察・治安組織の名称として使われる。
- 公安委員会。警察を監督する行政委員会で、国、都道府県、北海道4方面に設置されている。
- 警察庁、警視庁、首都警、及び道府県警察の部署。公安部、公安課など。公安警察の略で、テロ対策や防諜を担当している。
- 公安調査庁。法務省の外局で、破壊活動防止法などに基づきテロやスパイに関する情報収集を行っている。法執行権は持たない。
- 公安審査委員会。法務省の行政委員会で、公安調査庁の調査に基づき、破壊活動を行っているとされる組織を審査し処分を下す。
- 鉄道公安職員。日本国有鉄道に存在した、国鉄所管物件内において治安維持に従事する国鉄職員。
- 中華人民共和国の警察機関。公安部、公安局。
- 市民革命期のフランスに存在したComité de salut publicの邦訳。専制的な恐怖政治の中枢を担った。
- 公安県。中国の県。この中で唯一、公共の安寧を語源としないものである。
概要
元々は1の意味であったが、そこから派生して警察及びその他の秩序維持機関の名称として、日本及び漢字圏の国で多用されている。便利で使い勝手の良い言葉と言える。従って間違った使い方も増えている。
公安委員会
警察庁及び都道府県警察を監督する行政委員会。国にあっては国家公安委員会、都府県においては都府県公安委員会、北海道にあっては北海道公安委員会と函館方面、旭川方面、釧路方面、北見方面の方面公安委員会が設置されている。各委員会は委員長及び委員によって3~6名で構成されている。国家公安委員長のみ国務大臣である。
歴史
公安委員会は昭和22年(1947年)、旧警察法の施行に伴って設置されたのが始まり。
旧警察法に基づく警察組織は現在とは異なり、人口5000人以上の市町村に設置された市町村警察(自治体警察)と、独自に警察を設置できない地域を管轄とする国家地方警察から成り立っていた。そして国家公安委員会は国家地方警察本部と首都圏治安警察機構を、都道府県公安委員会は国家地方警察都道府県本部を、市町村公安委員会は市町村警察を、それぞれ監督するものとされた。
これらの内、東京警視庁は旧東京市にあたる東京都特別区のみを管轄としており、この警視庁を監督する公安委員会は特別区公安委員会として設置されていた。また国家地方警察においては、国家地方警察北海道本部と北海道公安委員会が後に廃止され、函館方面、旭川方面、釧路方面、北見方面の各国家地方警察方面本部及び、各方面公安委員会(市町村とは別)が北海道を担当する事になり、方面本部と方面公安委員会は都府県本部及び公安委員会と同格とされた。
この旧警察法はGHQの警察民主化の方針に基づくものである。アメリカの州警察(State Police)に相当するものとして国家地方警察が、市警察や郡保安官(City Police、Sheriff)に相当するものとして市町村警察が置かれており、市警察を監督する警察委員会(Police Commission)に相当するのが公安委員会である。
こうして行われた警察の民主化であったが、予算の逼迫や治安の悪化などの問題を抱えていた。自治体の中には一部事務組合(複数の自治体で作る警察)として警察を維持する動きもあったが、それすらままならず警察権の返上と国家地方警察への委託を行う自治体も相次いだ。
これらの問題に対し、政府は警察法を大幅に改正し、警察庁と都道府県警察からなる制度への移行を決定。 東京警視庁と大阪警視庁は反対し、警察法改正審議は大きく揉めたものの、最終的には成立し現行の警察制度が成立した。これによって都道府県にあった国家地方警察と自治体警察は統合され、公安委員会は警察庁や都道府県警察に対する監督を行うようになる。
組織
公安警察
過激派・テロリスト、外国のスパイなどを捜査する部署。どんな国でも似たような部局はあるものだが、思想団体に対する調査や取締りを行うため、どんな国でも概ね評判はよろしくない。一方でミステリアスな雰囲気から、ダークヒーローな扱いを受けることもある。日本共産党や社民党や朝鮮総連からはヒール扱いを受けている。
警察庁
警備局公安課
警察庁における公安部局。過激派や右翼の情報は全部ここに集まる事になっている。表の公安である。
警備局警備企画課
ここが真の公安警察である。警備企画課に属する裏の理事官は「サクラ」「チヨダ」「ゼロ」というコードネームで呼ばれ、都道府県警に潜り込ませた直轄部隊を統括している。三億円事件の真犯人だとか、右京さんの追及を逃れたとか……名探偵コナンに登場する降谷零はここの所属。
警視庁公安部
全国で唯一、公安が部として独立。全国の公安警察のなかで最大のもの。公安案件であればどんな些細な事柄でも対応し、それを手がかりに捜査をしていく。被疑者逮捕を報じるニュースで「警視庁公安部」という名前が出てきたら、それがどんなにセコい事件であっても(むしろ、だからこそ)。
警視庁公安部は大きく、以下のような部門がある。
フィクションに登場する部署
- 公安零課
- 公安五課
- 公安九課
道府県警察警備部
警視庁以外の道府県警察では、本部警備部に公安課が置かれている。ここで集められた情報は先述の警察庁警備局公安課に送られるが、チヨダの直轄要員は当然ながら裏の理事官に情報を送る。
もっとも、直轄要員が警備部にいるとは限らないわけだが。例えば「近所の交番にいる、親切で人の良さそうなお巡りさんが・・・」とか、絶対に無いとは言えない。
首都警公安部
首都圏治安警察機構の記事も参照
かつて存在した首都圏治安警察機構の公安部。実力行使偏重の特機隊に対し、捜査中心で公安事案に対処していた部署。
昭和42年2月26日に発生したケルベロス騒乱(2・26事件)で特機隊は陸上自衛隊に制圧、数名の行方不明者を除き全員が死亡し、首都警は解体された。だが公安部の要員は警視庁公安部に吸収され、以後も活動を続けたと言われている。
公安調査庁
法務省の外局で、日本の情報機関の一つ。破壊活動防止法や無差別大量殺人(ry)規制に関する法律に基づき、それらをやりそうな団体の調査を行っている。ある団体が破防法や無差別なんちゃら法に抵触しているとされた場合は、それらに解散命令を出すよう公安審査委員会に審査を要請する。
仕事の大半は調査と監視だが、それによってテロ組織やスパイに関する膨大なデータを公安警察とは別に保持している。というか被っている情報も多分たくさんある。それ故に公安警察と公安調査庁を統合する話もなくはないが、いかんせん所管する官庁も役目も違うので、今でも別に動いている。その代わり警察との情報共有はされている(らしい)。
公安審査委員会
法務省の外局。公安調査庁の要請に基づき、破防法などに抵触した団体を審査し、その結果として団体に対し解散を命じる権限を持つ。
結社の自由や言論の自由が保障されている日本にあって、公安審査委員会の持つ権限は非常に強力なものである。よって今までに解散の可否にかかる審査を受けた団体はオウム真理教のみで、しかもそれですら却下された。但しオウムへの観察処分は継続して出されている。
尚、海外の類似機関としては、先述の公安調査庁と合わせて考えて見た場合、ドイツ連邦共和国の連邦憲法擁護庁と連邦憲法裁判所が近い。こちらは戦う民主主義の思想と憲法規定に基づき、民主主義を国体とする連邦憲法を否定する主義・思想の団体を取り締まっている。主張しただけで解散になるという非常に強硬な姿勢を取っており、ドイツ共産党とドイツ社会主義帝国に解散命令が出ている。
鉄道公安職員
かつてJRが日本国有鉄道だった時代、国鉄の車両及び敷地内における治安維持を担っていた国鉄職員。法の規定に基づき、鉄道公安職員は刑事訴訟法における特別司法警察職員の地位にあった。平たく言うと石立鉄男である。
昭和62年(1987年)にJRが発足すると、旧国鉄の物件はJRに移管される。これに合わせて警察権は都道府県警察に移管され、さすらい刑事旅情編になった。
中華人民共和国国務院公安部
中国において警察を所管する部局。中央機関である公安部と、地方機関である公安局がある。日本の公安警察とは違い、公安部は一般警察なども含め警察組織を統括する部署となっており、テロ・スパイ対策専門ではない。
隷下の警察は文民組織である人民警察と、武官組織である人民武装警察の二つ。警察官みたいな格好をしているのが人民警察、人民解放軍みたいな格好をしているのが人民武装警察である。
一国二制度を取っていることから、香港とマカオは公安部の担当ではない。香港は香港警務処の担当であり、マカオはマカオ治安警察局が担当している。
Comité de salut public
フランス革命期に設置された統治機関。本来の目的はフランス各地に設置された派遣議員(人民委員)を監察する機関であったが、やがて首チョンパを乱発する恐怖政治を行い、フランスの統治機関となった。
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
- 7
- 0pt