海底二万里(かいていにまんり)または海底二万哩(かいていにまんマイル)とは、ジュール・ヴェルヌによる小説である。後に映画化・アトラクション化などがされた。
概要
未知の生物を追跡中の軍艦から転落したアロナックス教授ら三人が謎の潜水艦ノーチラス号に拾われ、船長であるネモとともに世界の海を旅する物語。
続編として『神秘の島』がある。
何度か映像化されているが1954年のディズニーによる映画版が最も有名。
表記ゆれ
本来のタイトルは直訳すると「海底二万リュー」である。この「リュー」はフランスの単位で、1リューは4kmを意味するため、二万リューは8万kmということになる。
英語圏では同じ由来の単位が「リーグ」と呼ばれるため、英語からの直訳で「海底二万リーグ」という邦題もつけられた(距離はやや異なり、二万リーグは約9.6万km)。
しかし、日本では「リーグ」に馴染みがなく、当時の日本でも使われていたマイル単位(約1.6km)に換算して「海底六万哩(マイル)」(約9.6万km)と翻訳されることもあった。
※二万リーグではなく二万リューに近づけるならば「海底五万マイル」(約8万km)のほうが近似値として適切だが、この邦題が使用されたことはないようだ[1]。
ところが、原題との混同からか前述のディズニー映画が「海底二万哩(マイル)」(約3.2万km)というタイトルで公開されてしまい、日本では距離が3分の1のタイトルが広まることとなってしまった。
ちなみに、日本の尺貫法には「里」という単位があり、リューとほぼ同じ距離の約3.9kmを意味するため、「海底二万里」(約7.8万km)と訳されることも多い。
航海の分野や航空会社のポイント制度などで「マイル」と呼んだ場合に使用される「海里」(浬、nautical mile、1.852km)を用いて「海底二万海里」「海底二万浬」(約3.7万km)と表記されることもあるが、これは「海底」と「マイル」から誤った連想が行われた結果だと思われる。
とはいえ、陸上の単位である「里」「マイル」よりも海上の単位である「海里」のほうが本作のタイトルとしては相応しいとも言えるだろう。「海底四万海里」(約7.4万km)くらいがちょうどいい落とし所なのかもしれない。味気ないタイトルでいいなら「海底八万キロ」で済む話なのだが。
なお、この「8万km」は潜水艦が旅をした距離である。地球一周が約4万kmなので、二万リューで地球を2周する旅をした、という意味となる。
よく勘違いされるが水深ではない。地球の直径は約1.3万kmなので、8万kmで地球6個を貫通できる計算になる(ちなみに地球で最も深いマリアナ海溝の水深は約0.001万km)。
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関連項目
脚注
- *ちなみに「海底五万マイル」という書籍が存在する(グリゴリー・アダモフ作、工藤精一郎 訳)が、全く別の作品である。原題はロシア語で「2つの海の謎」を意味するが、どういうわけかこんな紛らわしい邦題をつけてしまったようだ。
また、「海底3万マイル」という映画も存在する(石ノ森章太郎 原作、田宮武 監督)。こちらもタイトルが似ているだけで本作品のストーリーとの関係は一切ない。
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