ふしぎの海のナディアとは、1990年にNHK総合にて放送された、GAINAX製作のテレビアニメーション作品である。
原案 | ジュール・ヴェルヌ作 「海底二万マイル」 |
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総監督 | 庵野秀明 |
監督 | 樋口真嗣(第23話~) |
キャラクター デザイン |
貞本義行 |
設定 | 前田真宏 |
脚本 | 大川久男、梅野かおる |
美術監督 | 菊池正典、佐々木洋、小倉宏昌 |
編集 | 古川雅士、尾形治敏、薩川昭夫 |
音響監督 | 清水勝則 |
音楽 | 鷺巣詩郎 |
アニメーション | 東宝、KORAD |
アニメーション 協力 |
グループ・タック、 GAINAX、世映動画 |
共同制作 | NHKエンタープライズ、総合ビジョン |
話数 | 39話 |
概要
発明好きの少年・ジャンは謎の少女ナディアと出会い、万能潜水艦ノーチラス号に乗り込み冒険を繰り広げる。
この作品は元々、宮崎駿監督作品の天空の城ラピュタと同じ原案を下敷きとしており、双方ともヒロインが光る石を持つ等、共通点がいくつか見られる。また、ジュール・ヴェルヌの海底二万里も原案とされているが、こちらはノーチラス号、ネモ船長などの固有名詞程度に留められている。
第一話から力を入れた作画や演出にアニメファンを唸らせたが、中盤のいわゆる島編では、前半築き上げた作品世界を自ら崩壊させるようなストーリーと、韓国丸投げによる1960年代の海外産アニメーションを髣髴とさせる大胆な作画崩壊により、視聴者に困惑を招いた。
しかしながら最後の四話では、前半をも凌駕する神作画と、パロディを織り交ぜた(一部は完全に元ネタのトレスと呼んでも良い程)熱い演出により、1990年~1991年を代表するアニメーションの座を、揺ぎ無い物としたのである。中盤の作画崩壊は、最後の四話に労力を集中するためであった。
本放送時には湾岸戦争の影響により放送が一ヶ月休止されるという異常事態が起きたが、製作現場は慢性的な製作作業遅延により放送不能寸前の状態にまで追い込まれており、この放送中断のおかげで巻き返しに成功した。つまり、湾岸戦争がなければふしぎの海のナディアは打ち切られていてもおかしくなかったのである。
主な登場人物
- ナディア(本名ナディア・ラ・アルウォール) CV:鷹森淑乃
- ジャン・ロック・ラルティーグ CV:日高のり子
- マリー・エン・カールスバーグ(結婚後マリー・エン・レーベンブロイ) CV:水谷優子
- グランディス・グランバァ CV:滝沢久美子
- サンソン CV:堀内賢雄
- ハンソン CV:桜井敏治
- ネモ船長(本名エルシス・ラ・アルウォール) CV:大塚明夫
- エレクトラ(本名メディナ・ラ・ルゲンシウス・エレクトラ) CV:井上喜久子
- ガーゴイル(本名ネメシス・ラ・アルゴール) CV:清川元夢
- ネオ皇帝(本名ビナシス・ラ・アルウォール) CV:塩沢兼人
各話リスト
話数 | サブタイトル | 総監督・ 監督 |
脚本 | 絵コンテ | 演出 | 作画監督 |
01 | エッフェル塔の少女 | 庵野秀明 | 大川久男 | 森川滋、庵野秀明 | 森川滋 | 鈴木俊二 |
02 | 小さな逃亡者 | 増尾昭一 | 増尾昭一 | 窪岡俊之 | ||
03 | 謎の大海獣 | 摩砂雪 | 摩砂雪 | 鈴木俊二 | ||
04 | 万能潜水艦ノーチラス号 | 米谷良知*7 | 米谷良知*7 | 竹内啓 | ||
05 | マリーの島 | もりたけし | ますなりこうじ | 松原秀典 | ||
06 | 孤独の要塞 | もりたけし | もりたけし | 阿部司 | ||
07 | バベルの塔 | 垂永士*6 | 佐々木祐之 | 川名久美子 | ||
08 | ナディア救出作戦 | もりたけし | もりたけし | 鈴木俊二、貞本義行 | ||
09 | ネモの秘密 | 庵野秀明、根本清*1 | 鈴木幸雄 | 釘宮洋 | ||
10 | グラタンの活躍 | 池上誉優、前田真宏 | 神谷純 | 川名久美子 | ||
11 | ノーチラス号の新入生 | もりたけし | 佐々木祐之 | 加瀬政広、平松禎史 | ||
12 | グランディスの初恋 | 窪岡俊之 | 窪岡俊之 | 鈴木俊二 | ||
13 | 走れ!マリー | 摩砂雪 | もりたけし | 柳田義明 | ||
14 | ディニクチスの谷 | 鈴木幸雄、根本清*1 | 鈴木幸雄 | 釘宮洋 | ||
15 | ノーチラス最大の危機 | 増尾昭一 | 増尾昭一 | 加瀬政広、平松禎史 | ||
16 | 消えた大陸の秘密 | 大川久男、 梅野かおる |
前田真宏 | 根本清*1 | 川名久美子 | |
17 | ジャンの新発明 | もりたけし | もりたけし | 円瀬克英 | ||
17.5 | ナディア、ミスコンに出場する――の巻(ナディアおまけ劇場) | 鶴巻和哉 | 鶴巻和哉 | 鶴巻和哉 | ||
18 | ノーチラス対ノーチラス号 | 孩菜来子*5 | 牧野滋人 | 釘宮洋 | ||
19 | ネモの親友 | もりたけし | 川端蓮司 | 高田耕一 | ||
20 | ジャンの失敗 | 摩砂雪 | 根本清*1 | 窪岡俊之 | ||
21 | さよなら…ノーチラス号 | 樋口真嗣 | 高山文彦 | 貞本義行 | ||
22 | 裏切りのエレクトラ | 前田真宏 | 森川滋 | 鈴木俊二 | ||
23 | 小さな漂流者 | 庵野秀明(総監督)、 樋口真嗣(監督) |
浦野寛徳*1 | 浦野寛徳*1 | 川名久美子 | |
24 | リンカーン島 | 根本清*1 | 牧野滋人 | 小泉昇 | ||
25 | はじめてのキス | 樋口真嗣 | 栗井重紀 | 中沢一登 | ||
26 | ひとりぼっちのキング | 樋口真嗣 | 川端蓮司 | 高田耕一 | ||
27 | 魔女のいる島 | 浦野寛徳*1 | 宇田忠順 | 金世昌 | ||
28 | 流され島 | 摩砂雪、樋口真嗣 | 川端蓮司 | 白南烈 | ||
29 | キング対キング | 根本清*1、摩砂雪 | 牧野滋人 | 小泉昇 | ||
30 | 地底の迷路 | 樋口真嗣 | 根本清*1 | 本田雄 | ||
31 | さらば、レッドノア | 窪岡俊之 | 浦野寛徳*1 | 鶴巻和哉 | ||
32 | ナディアの初恋…? | 浦野寛徳*1 | 星野寛満 | 野口啓生 | ||
33 | キング救出作戦 | 摩砂雪 | 川端蓮司 | 高田耕一 | ||
34 | いとしのナディア | いぬまくら*1 | 宇田忠順、 岡本悲八*2 |
金世昌、 空母そ・そ・そ・そ*3 |
||
35 | ブルーウォーターの秘密 | 前田真宏 | 星野寛満、 まえだまひろ*4 |
本田雄 | ||
36 | 万能戦艦Ν-ノーチラス号 | 摩砂雪 | 青野昌 | 窪岡俊之 | ||
37 | ネオ皇帝 | 浦野寛徳*1 | 牧野滋人、 犬枕王*1 |
小泉昇、 あんのひであき*3 |
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38 | 宇宙(そら)へ… | 樋口真嗣 | 摩砂雪 | 鈴木俊二、 増尾昭一(メカ作監) |
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39 | 星を継ぐ者… | 窪岡俊之 | もりたけし | 鈴木俊二、 貞本義行、 鶴巻和哉、 増尾昭一(メカ作監)、 本田雄(エピローグ作画) |
- 表中の*[数字]付きの名前はそれぞれ以下のスタッフが事情により別名義でクレジットされているもの。
- *1 : もりたけしの別名義(根本清、浦野寛徳、いぬまくら、犬枕王)。第34話原画の木木木人建も同様。
- *2 : 薩川昭夫の別名義(岡本悲八)。第10話以降の編集を担当しており、演出は第34話(後述)のみ担当。
- *3 : 庵野秀明の別名義(空母そ・そ・そ・そ、あんのひであき)。
- *4 : 前田真宏の別名義(まえだまひろ)。
- *5 : 摩砂雪の別名義(孩菜来子)。第34話原画の魔砂一も同様。
- *6 : 垂永士(たれながし)は波風立流(なみかぜたてる)同様に曽我部孝の使用する別名義のひとつと思われる。
- *7 : 米谷良知は米たにヨシトモの本名。この時期は本名を名義に使用していた。事情による別名義ではない。
- 第23話からの通称島編(第23~30話)より監督を樋口真嗣に任せ、庵野秀明は終盤に向けての作業を行なっていたため、クレジットが総監督:庵野秀明、監督:樋口真嗣となっている。
- 第27話、第28話のクオリティが特にアレなのは、作画監督まで海外に発注していたため。
- 島編と同様の通称アフリカ編(第32~34話)のうち、特に第34話は海外発注した作画がまったく使い物にならず、急遽既存の素材とキャラクターイメージソングを編集してミュージッククリップのような構成に仕立てている。この回の演出にクレジットされている岡本悲八は編集の薩川昭夫の別名義。
関連作品
TV放送されたアニメ本編全39話の他に多数の関連作品が作られている。以下に主なものを挙げる。
- 映像作品
- 小説
- 小説 ふしぎの海のナディア〈上〉青い光を抱いたプリンセス 著者:小林弘利(アニメージュ文庫)、
〃〈中〉未来を夢みる大海戦 著者:小林弘利(アニメージュ文庫)、
〃〈下〉はるかなる高い空 著者:小林弘利(アニメージュ文庫)
TV版ストーリーのノベライズ。基本的にオリジナル要素やアナザー展開はなく、TV版と同じストーリーだが所々オミットされている箇所もある。 - 小説 ふしぎの海のナディア―海から来た妖精 著者:小林弘利(アニメージュ文庫)
上記三部作に続く作品。TV版最終話から2年後を舞台にしたまさかの劇場版ノベライズ。オリジナル部分も加えられている。 - ナディアストーリーズ1 ジャンとナディアのいちばん長い日 著者:小林弘利(アニメージュ文庫)
ジャンとナディアの結婚式を目前にして突如行方不明となったナディアをジャンとグランディス・サンソン・ハンソンの三人組で救出する物語。古代アトランティス帝国に敵対する古代ムー帝国が敵の黒幕。 - ナディアストーリーズ2 ふしぎの森のマリー 著者:小林弘利(アニメージュ文庫)
TV版最終話から10年後が舞台の成長したマリーとサンソンの物語。結末は知っての通り。
- 小説 ふしぎの海のナディア〈上〉青い光を抱いたプリンセス 著者:小林弘利(アニメージュ文庫)、
- 書籍
- ゲーム
プラットフォームと制作会社の異なるゲーム作品がいくつも出ているので主なものを記す。- ふしぎの海のナディア(メガドライブ版):ナムコから発売されたアドベンチャーゲーム。元々設定がしっかりしていたため、オリジナル部分も世界観が破綻すること無く上手くストーリーや設定が作られている。
- ふしぎの海のナディア(PCエンジンSUPER CD-ROM2版):ハドソンから発売されたデジタルコミック。選択肢を選んで分岐を楽しむよりも少ない選択肢でストーリーを観ることを重視した作品。メガドライブ版同様にオリジナル要素も含めて設定はしっかりしており、何よりボイス付きという点が大きい。ストーリーはよりオリジナル色が強いアナザーもの。本編よりもおまけのクイズゲームの評価が高い。
- ふしぎの海のナディア(PC-9801/X68000/FM TOWNS版):ガイナックスが自ら制作発売したアドベンチャーゲーム。PC-9801やX68000ではFD8枚組、FM TOWNS版はフルボイスで、モノラル収録でも収まらずCD-ROM3枚組になった、という圧倒的ボリュームだった。ストーリーは本編15話より前のサイドストーリー的なもの。基本的にはオーソドックスなAVGだが、ノーチラス号を操っての潜水艦戦などもある。16色の限界を越えたレベルのグラフィックは必見。PCゲーだから、というわけではないだろうが、ちょっとムフフなシーンもある。
- ふしぎの海のナディア~Inherit the Bluewater~(PS2版):サイバーフロントから発売された恋愛シミュレーション・アドベンチャーゲーム。ストーリーはTV版本編を駆け足気味になぞるものだが、大きな特徴としてオリジナルキャラクター2人(金髪ツインテールと黒髪眼鏡ポニーテール)が加わっている。フルボイス。親密度のパラメタがあり女性キャラの攻略要素が加わったことで最終的にジャンと結ばれる相手が変わる。ガイナックス関連の他作品絡みのお遊び要素も多い。
- CD
再放送
2004年4月7日より同年12月29日にかけて、NHK 教育テレビにて再放送されていた。
放送時間は毎週水曜日午後7時から。
また、NHK BS2の衛星アニメ劇場においても放送されていた時期が存在する。
2012年4月7日からは、NHK Eテレにてデジタルリマスター版が放送されている。
放送時間は毎週土曜日午後5時55分から。
なお再放送では、本放送では放送された本編終了後の「次回予告」等がカットされている。
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
関連リンク
関連項目
- GAINAX
- ブルーウォーター
- ノーチラス号(ヱルトリウム) / Ν-ノーチラス号(ヱクセリヲン)
- 天空の城ラピュタ
- 飛行石
- 宇宙戦艦ヤマト
- トップをねらえ!
- 新世紀エヴァンゲリオン
- ジュール・ヴェルヌ
- 星を継ぐもの(最終話サブタイトルの元ネタ)
- 海底二万里
- アトランティス
- アトランティス:失われた帝国(ディズニー映画)
- NHKの本気
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- 1990年のアニメ作品一覧
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