福盛の21球とは、2009年10月21日に行われたパ・リーグのクライマックスシリーズ第2ステージ第1戦日本ハム対楽天戦の9回裏に登板した楽天のピッチャー・福盛和男による全投球である。
9回裏まで
楽天イーグルスは球団創立以来初めてとなるクライマックスシリーズに進出し、第1ステージを突破してレギュラーシーズン1位である日本ハムファイターズの待つ札幌ドームへと乗り込んだ。
野村監督とのいざこざがあったトッド・リンデンも合流し、またニコニコ生放送でも試合が配信されるということで、注目度の高い試合となった。
試合が始まると、まず日本ハムが先制。しかしその後楽天が同点、勝ち越しと追加点を決め、7回の時点で1-6と楽天が大幅にリードしていた。
しかし8回には楽天先発永井怜がタイムリーを打たれ2-6、その後永井を替え藤原、小山、有銘らをマウンドに送るが、いずれも被安打や暴投などで荒れてしまい4-6となり、日本ハムが2点差まで追い上げる。
だが9回表には鉄平が2ランホームランを放ち4-8とし、再び楽天がリードを広げる。
4点リードという状況で、9回裏、楽天投手の福盛和男はマウンドに立った。
9回裏・福盛の21球
- 9番・金子誠
いずれも直球を投げ、3球目でライト前に落ちるかと思われた飛球を二塁手・小坂誠が好捕。セカンドフライに打ち取り、順調に1アウト。 - 1番・田中賢介
6球目(9球目)の直球を打たれライトヒット。1アウトランナー1塁。 - 2番・森本稀哲
初球(10球目)のカーブを打たれピッチャー返しのセンターヒット。1アウトランナー1・2塁。 - 3番・稲葉篤紀
初球(11球目)の直球を叩かれ、詰まり気味ながらもセンターヒット。この間に2塁ランナー田中賢介がホームに返り5-8。なおも1アウトランナー1・2塁。 - 4番・高橋信二
カウント2-2で投げた7球目(18球目)の直球は惜しくも外れフルカウント。続いて投げた8球目(19球目)のフォークが外れフォアボール。1アウト満塁。 - 5番・スレッジ
初球(20球目)は高めのチェンジアップで空振りをとるものの、次の2球目(21球目)。
外角低めに投げた直球を打たれ、ボールは吸い込まれるようにレフトスタンドへ。逆転サヨナラ満塁ホームラン。9-8。ゲームセット。 - 投球成績
投球回1/3 球数21 被安打4 被本塁打1 四球1 失点5 自責点5 防御率135.00
これが福盛の21球である。どうしてこうなった! これは悪い夢以外の何物でもない!
同じ21球でも「江夏の21球」は、江夏豊が9回裏に1点リードながら無死満塁と言うピンチを自分で招きながらも、そこから点を許さず最後まで守りきり日本一となった事が「江夏の21球」というノンフィクション作品の題材になり評価されたわけだが、
福盛の場合は4点リードの状況で登板しわずか21球でひっくり返された(しかも逆転サヨナラ満塁ホームラン)事が伝説となり語り継がれていくのではないだろうか。
ちなみに福盛和男はこの年、「7勝1敗10セーブ・防御率2.18」という好成績を挙げており、チームの2位躍進に貢献していた。
関連動画
関連項目
- 14
- 0pt