Ka-50とは、旧ソ連のカモフ設計局で開発された攻撃ヘリコプターである。NATOコードは「ホーカム」。「チョールナヤ・アクーラ」(黒いサメ)の愛称で知られており、西側では「ブラック・シャーク」とも通称される。
概要
ソ連軍は空中機動戦力の要たる戦闘ヘリコプターとしてミル設計局の手になるMi-24ハインドを配備開発したが、これは輸送ヘリコプターであるMi-8ヒップの武装発展型と言うべき機体であり、対地戦闘も兵員輸送も可能な設計となっていたが、結果的に性能としては中途半端な機体になってしまった(詳しくはMi-24の記事を参照)。そのためソ連軍は口径として専門の攻撃ヘリコプターを必要とし、その要求に応えて開発されたのが本機である。
同じくMi-24後継機の座を争うライバルとしてミル設計局が提案したMi-28がヘリコプターとしてはオーソドックスなテイルローター配置をもつ、大ぶりな機体であるのとは対照的に、Ka-50は二重反転ローターを持つ小型の戦闘ヘリコプターとして開発された。二重反転ローターは伝統的にカモフ設計局が得意とする形式であり、通常のヘリが尾部のテールローターでメインローターのトルクを打ち消すのに対して、Ka-50は二枚のメインローターを逆方向に回転させることでトルクを打ち消すようになっている。この方式はテールローターが不要で小型化できる上に機動性も向上するという攻撃ヘリコプターにはうってつけのメリットを有している。
また、攻撃ヘリコプターとしては珍しく単座となっており、一人の乗員で運用可能とするための高度な自動制御も備えている。これらの野心的な設計上の特徴から、ソ連崩壊以前の西側からはMi-28こそが本命のMi-24後継機であり、Ka-50はそれを補完する対ヘリコプター戦闘用ヘリコプターだと考えられていたこともある。旧ソ連の崩壊に伴って情報公開が進んだ現在では、あくまでKa-50とMi-28は競争関係にある機体であると認識されている。
ソ連崩壊後のロシアでは予算上の制約などもあって、採用と調達はあまり進んでおらず、Mi-28とKa-50のどちらが本命として採用されるのかも二転三転する状況である。カモフ(現在は株式会社)では単座戦闘ヘリコプターとしてのKa-50が野心的に過ぎたとの見方もあってか複座型Ka-52「アリガートル(ホーカムB)」も開発している。Ka-52からはさらにNATO仕様に対応した輸出型Ka-50-2「エルドガン」、ロシア軍向け複座型Ka-54の開発が行われた。Ka-52は攻撃ヘリとしては珍しい並列複座の操縦席配置をとっていたが、Ka-50-2およびKa-54ではより攻撃ヘリコプターとしてはなじみ深い縦列(タンデム)配置が採用されている。
また、単座型Ka-50にも夜間戦闘能力向上を目指したKa-50Shと呼ばれる派生型が存在し、こちらは「ノチュノーイ・オホートニク(夜の狩人)」の愛称が与えられている。
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関連項目
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