カノーネンフォーゲル(独語: Kanonenvogel)とは、ユンカース Ju87 “スツーカ” のカスタム機である。
第二次世界大戦中のナチス・ドイツで開発された空対地攻撃機。ベース機種は急降下爆撃機であるユンカース Ju87 “スツーカ” である。正式型番はJu87G。端的に言えば、1回の出撃で多くの敵戦車を破壊する為に砲座から外した18年式37mm対空機関砲(3,7-cm-Flak 18)2門をガンポッドに搭載したスツーカである。
この頃のドイツ軍における対ソ連戦線の状況としては、ソ連軍が大量の戦車戦力を投入していたことが挙げられる。必然的にこの戦車の大群に対抗する手段が求められる形となり、それは最早旧式となりつつあったスツーカのカスタマイズにも求められることになった。
Ju87G型は、Ju87D型をベースに、エンジンの増強、砲撃能力の向上という方向性で開発されることとなった。その中で、戦車を確実に撃破するだけの火力として37mm対空機関砲の搭載を提案したのは、スツーカを駆るエースとして有名だったハンス・ウルリッヒ・ルーデルその人であった、と言われている。
かくして完成したJu87Gは、その砲撃の反動の凄まじさから、両門を同時に発射しないとバランスを崩して墜落しかねないという非常にピーキーな機体に仕上がってしまった。しかしながらその火力は折り紙つきであり、ルーデルは初出撃においてT-34戦車12両を瞬殺し、ソ連軍を震え上がらせたとのことである。勿論この凄まじい戦果は、史上最強のタンクキラーであるルーデルの能力も大きく影響しているものと思われるが・・・・・・。
当然ながら、ドイツ敗戦時にルーデルが投降する際に搭乗していた機体でもある。ドイツ軍でも飛び抜けたエースであったルーデルの乗機ということで、さぞ凄まじいカスタム機なのであろうと期待した連合軍人たちは、スツーカにデカい対空機関砲を2丁ポン付けしただけというカノーネンフォーゲルの構成に言葉を失ったと言われている。
ドイツは、イギリスがホーカー・ハリケーンに対して行ったように、対戦車砲を飛行機に搭載することを試みた。複数の砲がテストされ、そのなかからラインメタル社の37ミリPAK35/36の機関砲型が、反動の小ささと信頼性の高さから選ばれた。機体については、急降下爆撃機としては時代遅れになっていたが、頑丈であり、低速なので照準しやすいということからJu-87が選ばれた。
実際の攻撃では1200~1500メートルの高度で上空を飛びながら目標を定め、横転してから急降下し、照準を修正するため固定機銃で曳光弾を発射、目標に弾着があった瞬間に37ミリ砲を発射した。だいたい一航過で戦車を破壊できた。これにはT-34ですらひとたまりもなかった。
飛行隊には2門の30ミリ機関砲を搭載したFw190、2門のモーゼル101型30ミリ機関砲を搭載したHs129も加えられていた。Ju88に改造Pak38 50ミリ、または75ミリ1門を装備した機体もあったがこれはうまくいかず、部隊から外された。
なお、 Kanonenvogel とは「大砲を抱えた猛禽」の意味である(※ Vogel は一般には「鳥」を表すが、軍隊スラングでは「猛禽(に例えられる勇壮な軍用航空機)」を指す。英語の軍隊スラングにおける kite (凧ではなく「タカ科の猛禽(に例えられる(以下略))」に相当する)。
実際の攻撃の様子。両門を同時発射しているのがよく見て取れる。
掲示板
急上昇ワード改
最終更新:2024/11/08(金) 18:00
最終更新:2024/11/08(金) 18:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。