ダメージブーストとは (ダメージブーストとは) [単語記事]

ダメージブーストとは、TVゲームにおけるテクニックのひとつである。

概要

HP制のアクションゲームなどに多く見受けられる仕様として、「ダメージを受けた瞬間にノックバックする（強制的にダメージ源から見て後方に飛ばされる）」というものがある。
こうした動作は本来「ダメージ源からプレイヤーキャラを離すことにより、連続ダメージやハマリを回避する」ため、もしくは「ダメージ覚悟のゴリ押しで進むことを困難にさせる」ために設定されたものであり、言うなればプレイヤーにダメージを受けさせるようなプレイを回避させるための処置である。

しかし、「ノックバック動作がキャラクターの通常移動速度よりも速い」、「ノックバック動作によって通常は進入不可能な地形に飛び込むことが可能」な場合、わざとダメージを食らうテクニックが開発されることがある。
そうした動作を総称したもの、それがダメージブーストである。

解説

TAS 動画、RTA 動画などではかなり馴染み深い動作である。以下にいくつかの動画を取り上げ、説明する。

例１

HP ゲージが視聴者から「ブーストゲージ」と称される、代表的なアクションゲーム TAS 動画である。
0:33付近などで見られる、「ガイコツを正面から飛び越し、斜め後方からわざと当たることによって前方に押し出される」動作がわかりやすい。このゲームでは所謂Bダッシュ的な操作が存在しないため、そのほかの場面でもこうした「背面ノックバックによるダメージブースト」が多用されている。
また6:22付近などでは、敵の位置調整からのダメージ→ノックバック動作によって通常では届かない高さにある足場に乗るというテクニックも行使されている。

例２

「ダメージブースト」という概念が初めて生まれ、そして周知されたゲームとしてよく名前が挙げられるのは、意外なことにアクションゲームではなくレーシングゲームである「F-ZERO」である。
上記動画の0:13付近から行われている「スタートダッシュを決め→後続のマシンに自機の背中を２度押させて最高速度を維持する」というテクニックは、F-ZERO タイムアタッカーの間では佐久間スタートという名前で知られている。

問題

上記のように多岐にわたるダメージブーストではあるが、問題がないわけではない。むしろ、常に問題と隣り合わせなテクニックであるとも言える。

それは、大抵テクニックを行使する度にダメージを喰らうという点である。

当たり前の話ではあるが、ごく少数の例外を除いて被ダメージの蓄積はプレイヤーダウンに直結するため、RTAではよほど腕に自身がない限り死亡一歩手前ギリギリになるほど使うことは出来ない。道中でダメージブーストを行使しまくった挙句に事故が起こった場合、泣きをみるのはプレイヤー当人である。もちろん視聴者の視線も一気に冷える。

一方、ゲーム内でダメージの回復手段が存在する場合においても、結局は「ブーストにより短縮した時間＞ダメージ回復に費やされる時間」が成立しない限り無駄な動作と成り果てる、というケースも存在する。たとえば「回復中に移動が不可能になる」、「回復のためにウィンドウを開く必要がある」、「回復後にメッセージが流れる」などの仕様があるゲームの場合は、たとえダメージブーストが可能であっても綿密な計算の上で利用するか否かの判断が求められる。
特にTAS 動画においては、こうした要素を検討した上で（後に別の目的でHPを費やすために）ある場面では敢えてダメージブーストを採用しないことも多いため、「あ、ここ短縮できるな」「なんであそこでやらなかったんだ」などと思ってもそれを脊髄反射でコメントすると……あとは皆様でお察し下さい。

また、ノーダメージ縛りやオワタ式プレイではそもそも実行することすら不可能である。実に残念DA!

言葉の意味合いに関する注意

「ダメージを食らうことで加速する」テクニックをダメージブーストと称する一方、「ある程度のダメージを受けることで発動する能力底上げ技能を意図的に発動させ、結果的にプレイ時間を短縮する」現象に関しては、それをダメージブーストとす呼ぶか否かの基準が個々人によってまちまちであるため、コメント欄で不毛な論争を呼ぶことがある。
たとえば、