豊橋鉄道田口線とは (トヨハシテツドウタグチセンとは) [単語記事]

豊橋鉄道田口線とは、愛知県南設楽郡鳳来町（現在の新城市）の本長篠駅と北設楽郡田口町の三河田口駅までを結んだ鉄道路線である。

概要

段戸山の宮内省御料林からの材木輸送を目的として建設されたことから「軌間 1067mmの森林鉄道」とも呼ばれた。

1929年に鳳来寺口駅（現在の本長篠駅）と三河海老駅の間が開業。1932年に三河田口駅まで全通した。

1929年の部分開通時は「田口鉄道」という私鉄の「田口線」で、現在の飯田線の前身である豊川鉄道・鳳来寺鉄道とは車両の運用が共通化されていた。しかし豊川・鳳来寺の両鉄道が国有化された後も田口鉄道は私鉄で残り、戦後の1956年に名古屋鉄道系列の豊橋鉄道へ合併し、豊橋鉄道の田口線となった。

終点の三河田口駅は田口の市街地からは4kmも離れた豊川沿いの場所に設置された。これは清崎駅から田口までの勾配がきつくなりすぎて列車が登れなかった恐れがあったのと、田口鉄道の株主だった宮内省が材木の運び出しに有利だからとゴネた主張したのが理由である。

1965年 9月の台風による水害で清崎-三河田口間の営業が休止され、3年後には三河海老-清崎間も台風による水害で営業を休止。結局1968年 9月に全線が廃止された。廃止後は豊橋鉄道→豊鉄バスの田口新城線が鉄道の代替となっている。

廃線跡は今もある程度残っている。中には生活道路として整備されている箇所もあり、鉄道時代のトンネルがそのまま使われている箇所もある。終点の三河田口駅は近年まで駅舎が風雪に耐えて残っていたが2011年 8月21日の深夜に人知れず倒壊した。そして三河田口駅跡も将来的には設楽ダムの水底へと沈む見込み。