59式/69式戦車とは (ゴジュウキュウシキセンシャトロクジュウキュウシキセンシャとは) [単語記事]

59式/69式戦車とは、中国軍の現用戦車である。
ここでは69式戦車の発展型である79式戦車も併せて説明する。

59式戦車

59式戦車は中国がソビエト連邦の技術供与の下、1959年にライセンス生産された中戦車である。
中国読みでは59式主战坦克、英文ではWZ-120。これが中国軍の戦車の基礎を築いた。
1950年代当時はまだ中国とソビエト連邦は友好関係にあり、T-54 戦車の中国生産を目標に進められ、1959年に本格的な量産が開始。
言うまでもなくT-54Aのコピーであるが、本家とは違いアクティブ式赤外線ライトは外されていて、
砲塔旋回も手動式に簡略化されている。
主砲はT-54Aに搭載されているD-10Tのコピーである59式56口径100mmライフル砲を搭載。
後に59-Ⅱ式ではオーストリアから供与されたモデルをベースにライセンス生産されたイギリス製L7系
105mmライフル砲を搭載している。

本格運用は1963年からで生産台数は約10,000輌とも言われる。そのうちの6,000輌が中国人民解放軍に
配備された。またアジア・アフリカ諸国にも多数配備されている。
実戦では1965年に起きた印パ紛争でパキスタンが使用した59式戦車がインドのT-54/55に敗北した。その原因としてはパキスタン側がインド側に数的に劣勢だったことの他、夜間暗視装置を搭載していないなど、T－54/55に比べて技術的に劣る部分があったからである。その他様々な紛争地域や戦争、はたまた天安門事件にも駆り出されている(ニュース映像で戦車の縦列に立ちはだかる学生運動家の映像に
おいて、マスコミなどでは69式戦車と間違えて報道されているが、59式戦車が正しい)。

69式戦車(79式戦車も含む)

69式戦車はその59式戦車をベースにして作られた、中国軍初の純国産主力戦車である。
中国読みでは69式主战坦克、英文ではWZ-121。
(＊厳密に言うと62式軽戦車が初めての中国の純国産戦車であるが、主力戦車は69式戦車が初。)
1981年 9月の軍事パレードでこの戦車の存在が確認された(西側諸国では1982年に確認)。
現在の中国においては兵器の開発スピードが早いのだが、この当時、開発された戦車が第１世代になっている原因の一つは文化大革命である。これは空軍も海軍も同様に新規開発が大きく遅れてしまった。また、そもそも二次大戦まで国民党も含めて中国は戦車開発能力はおろか、戦車生産能力すら有していなかった。戦後、中国はソ連から技術導入を図ったが、これも中ソ対立で中断してしまう。このように元々の戦車関連技術が低かったことも影響してると言えよう。

69式戦車は中ソ国境紛争時にソ連から鹵獲したT-62の技術を生かして研究・生産された。
試作段階では中国製60口径100mm滑腔砲を搭載していたが射撃精度に問題があり、採用されなかった。
以後、69-Ⅰ式では中国製60口径100mm滑腔砲を改良したものを、69-Ⅱ式では59式戦車と同じ100mm砲を
搭載してトライアルした後、69-Ⅱ式が採用された。

その後、69-Ⅲ 型ではL7系105mmライフル砲をライセンス生産した83式105mmライフル砲を搭載し、
西側同様のAPFSDS弾、HEAT弾、HE弾などが発射できるようになった。これが後の79式戦車となる。
この69式戦車もアジア・アフリカ諸国に輸出され、さまざまな戦争や紛争地域などで使われた。