「はい」
「5300円お預かりしましたので、2775円お返しです。レシートはご入用ですか?」
SCP-4559とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
項目名は『Would You Like a Receipt? (レシートはいかがですか?)』。
食料雑貨店における、個人がレシートを必要とするか否かの選択に関係する確率的異常。……だいぶ噛み砕いて言えば、お客様がレシートを受け取るか受け取らないかという確率がSCP-4559である。それのどこがSCPなんだよ、って?
実際のところ、これは簡単な話で、「その人がレシートを受け取るか受け取らないかに一切の法則がないから」である。対象の精神状態・性別・財産が結果に影響することはなく、それぞれの選択の見込みは必ず同等になる。極論、基本貰わないタイプの人が「レシートにクーポンが印字されるから」「たまたまレジ担当者が好みのルックスだった」「他人から買い物を頼まれたのでその証明に」といった理由でもらうこともあるし、貰うタイプの人がもらい忘れてカルトンの上に置いて帰ることもあるわけだ。
……そう、全くもって予想できない。これはどんな方法によっても予測できないランダム事象である。量子力学、天候、海流といったものは予測可能なのに、たかだかレシートを受け取るか受け取らないかという事象がまったく予測できない。これが何故このSCP-4559がアノマリーと認定された上、よりにもよってThaumiel (財団の最終兵器)に認定されたのかの解答というわけだ。
TASやRTAをはじめ、ゲームに慣れ親しんでいる人であれば『乱数』というものをご存知であろう。乱数というのはそこで登場するアイテム・敵・その他のイベントなどをランダムで起こすために、「乱数値がいくつ以上ならA、それ以外はB」などと決めておくためのもの。しかし人類は、いまだかつて、ほんとうの意味で「ランダムな数値を発生させる」方法を見つけ出せていない。コンピュータでランダムな数値を出す機械というのはいくつもあるが、当然ながら中身は実は順番が決まっている。TASさんやRTA走者は的確な『乱数』を引き当てることで、お目当ての行動やアイテム、敵を見事に出す。だから理想的な行動が取れるということになる。こういう乱数を『擬似乱数』と呼ぶ。
そう、SCP Foundationに登場するアノマリーたちもまた、TASさんやRTA走者がごとく、擬似乱数のシードくらい余裕で読んでしまうのだ。そこでこのレシートを受け取るか受け取らないかを防犯カメラで撮影し、それの結果を元に乱数を発生させる『ヘンスワース/アリス数発生器』の出番というわけだ。アメリカの20000近くの食料雑貨店の防犯カメラの映像が、39のSafeクラスアノマリー、21のEuclidクラスアノマリー、8つのKeterクラスアノマリー、2つのThaumielクラスアノマリーの収容に役立てられているのだ。買い物するだけで救える世界があります。
でもこれ、電子決済の普及に伴って、電子レシート化が進んだらどうするの?
掲示板
1 ななしのよっしん
2022/08/16(火) 20:39:55 ID: fW7TTk5zzP
レストラン数論ドライブ(銀河ヒッチハイク・ガイドシリーズ)と少しだけ親和感があるけれど、このオブジェクトはシンプルにキレキレな点が素晴らしい
2 ななしのよっしん
2023/12/21(木) 12:26:56 ID: CAF8fA9zdV
10万人のゲーマーが完全に近い乱数を作ったとかで
量子力学分野に大いに貢献したらしい
この発想ってこのSCPに近いよね
詳しくは以下参照
https://
3 ななしのよっしん
2024/12/06(金) 14:24:16 ID: ASQmKlCfWU
人の心を乱数にするというわけだ
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/18(木) 17:00
最終更新:2025/12/18(木) 16:00
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