SI組立単位

SI組立単位(SI derived units)とは、国際単位系のうち、SI基本単位を組み合わせて作る単位である。

概要

SI基本単位を1ずつかけたり割ったりしてつくる単位である(例外あり)。

例えば、1パスカル(Pa)は1ニュートン(N)/1平方メートル(m²)であり、1ニュートンも1kg(キログラム)×1メートル毎秒毎秒(m/s²)であることから、SI基本単位の単純な積や商であることがわかる。

現在、国際的な単位系はSI組立単位に統一するようになっており、そうでない単位系は徐々に置き換わりつつある。例えば、力の単位は「重量キログラム(kgf)」から「ニュートン(N)」に置き換わっている。

SI組立単位は理論上無限に存在しうるが、よく使われるのは一部に限られ、そのうちさらに一部には固有名が設定されている。

固有名のあるSI組立単位一覧

以下に、SI単位系として認められている、固有名詞のある組立単位を記す。

次元が同じであっても、異なる物理量である場合は、使用が認められないことがある。
例えば、ジュール(J)はN×mだが、エネルギーおよび仕事・熱量を表す場合には使用できるが、力のモーメントを表す場合には使用できない。同様に、同じ1/sの次元を持つ周波数と放射能は、それぞれ「ヘルツ(Hz)」と「ベクレル(Bq)」という別の名前がついている。

記号	名前	物理量	組立	SI基本単位での表現
rad	ラジアン(radian)	平面角	ｍ/ｍ	(無次元)
sr	ステラジアン(steradian)	立体角	m2/m2	(無次元)
Hz	ヘルツ(hertz)	周波数	1/s	s-1
N	ニュートン(newton)	力	kg･ｍ/s2	kg･m･s-2
Pa	パスカル(pascal)	圧力 応力	N/m2	kg･ｍ-1･s-2
J	ジュール(joule)	エネルギー	N･m	kg･ｍ2･s-2
W	ワット(watt)	仕事率	J/s	kg･m2･s-3
C	クーロン(coulomb)	電気量	A･s	A･s
V	ボルト(volt)	電圧	W/A	kg･ｍ2･s-3･A-1
F	ファラド(farad)	静電容量	C/V
Ω	オーム(ohm)	電気抵抗	V/A
S	ジーメンス(siemens)	コンダクタンス	1/Ω
Wb	ウェーバ(weber)	磁束	V･s
T	テスラ(tesla)	磁束密度	Wb/m2
H	ヘンリー(henry)	インダクタンス	Wb/A
℃	セルシウス度(degree Celcius)	温度	K[1]
lm	ルーメン(lumen)	光束	cd･sr
lx	ルクス(lux)	照度	lm/m2
Bq	ベクレル(becquerel)	放射能	1/s
Gy	グレイ(gray)	吸収線量	J/kg
Sv	シーベルト(sievert)	線量当量	J/kg[2]
kat	カタール(katal)	触媒活性	mol/s

固有名のないSI組立単位

固有名のないSI組立単位は、SI単位系の冪で表される。
読み方は、2乗の場合は「平方(square)」、3乗の場合は「立方(cubic)」、除算記号/は「毎(per)」と読むのが慣例である。4乗以上の場合や、負の冪の場合どう読むかは慣例に従い、一定しない。
また、異なる物理量であっても次元が同じ場合、同じ名前になってしまうので、使い分けに注意が必要である。

例:

• m²…平方メートル
• m³…立方メートル(体積)
  • 断面一次モーメントの単位も同じくm³だが、決まった読み方がない
• m⁴…決まった読み方がない(断面二次モーメントの単位)
• kg/m³…キログラム毎立方メートル
• m/s²…メートル毎秒毎秒
  • メートル毎平方秒とは日本語では言わないが、英語ではmetre per square secondである

記号	読み方(例)	物理量
m2	平方メートル (square metre)	面積
ｍ3	立方メートル (cubic metre)	体積 断面一次モーメント
m4	(決まった読み方がない)	断面二次モーメント
m/s	メートル毎秒 (metre per second)	速度
m/s2	メートル毎秒毎秒 (metre per square second)	加速度
m/s3	メートル毎秒毎秒毎秒 (metre per cubic second)	躍度
rad/s	ラジアン毎秒 (radian per second)	角速度
rad/s2	ラジアン毎秒毎秒 (radian per square second)	角加速度
N･m	ニュートンメートル (newton metre)	力のモーメント
J/K	ジュール毎ケルビン	エントロピー
mol/m3	モル毎立方メートル	モル濃度

SI補助単位

かつて、角度・立体角を表すラジアンとステラジアンは「SI補助単位」という別の枠組みになっていたが、現在ではラジアンは「m/m」、ステラジアンは「m²/m²」である無次元の組立単位ということになっている。

関連動画

関連リンク

関連項目

• 単位
• 国際単位系
  • SI基本単位

脚注

1. *ただし273.15Kを0℃とする
2. *ただし修正係数がかけ合わされる