安倍晋三「本日、衆議院は解散されました。 私達は今日までのこの3年間、もう一度、自由民主党を見つめ直し、そして我が党の結党理念をもう一度見つめ直しながら、今日の日に備えて政策を鍛えあげて来ました。この戦い、私達は「日本を取り戻すための戦い」そう位置づけています。我が党はこの選挙戦において、私達の理念に基づいた政策を堂々と訴えていきたいと思います。
強い経済を取り戻して行く。強い経済は、しっかりとした社会保障の基盤につながっていきます。強い経済は、活力のある地方につながっていきます。強い経済は、東北の復興の大きな力になるわけであります。私達はどうやって経済を強くしていくか、経済を成長させていくか、具体的に政策を示していきたいと思います。
そして外交を建て直していきます。民主党政権によって大きく傷付けられた日米同盟のこの信頼関係を、私達はこのように回復していきます、ということを訴えていきたいと思います。そのことによって、美しい海や領土、そして国益を護っていくと、強く訴えていきたいと思います。
そしてまた教育であります。教育再生に向けて、教育再生実行本部がすでに中間とりまとめを行なっています。初等、中等、高等教育、家庭教育、社会教育、生涯教育、こうしたことについて我々は具体的に、すでに用意している法案も含め、国民の皆さまに訴えて行きたいと考えているところでございます。
そして安心できる社会を作っていくためにも、我々はこのように信頼出来る社会保障制度を構築しようとしているということをこの選挙を通じて訴えてまいります。
まちがった政治主導により今起こっているこの混乱、そして停滞に終止符打つために我々は全力で闘いぬいてまいる決意でございます。公認候補の全員当選を目指して、この戦いを戦い抜いてまいりたいと私はその先頭に立って頑張っていきたいと思います。私からは以上であります」
記者「北海道新聞の村田です。TPPに関連しまして昨日総裁の正しいことをお伝えになったところなんですけれども、先ほども加藤紘一さんなどがいらっしゃってTPPに関するお話し合いをされたと思うんですが、改めて、総裁これまで自民党は交渉する能力があるとおっしゃっていましたけれども、この交渉によって守るべきものが守られた場合、交渉に参加するのかどうかということをちょっとお聞きしたいと思いましてお願いいたします」
安倍晋三「私たちは「聖域なき関税撤廃を前提とする限り交渉参加に反対である」こう繰り返し述べてきています。民主党にはその能力が無いことが明らかであって、経済交渉というのはその経済交渉自体が良いか悪いかではなくて結果が全てであるということでありまして、私たちの要求が全て通る、私たちの勝ち取りたいものが全て勝ち取れる、そういう交渉結果を見通すことができる、交渉することによってそれが明らかであると、つまりこの前提条件が最初から大きく変わっていくということになれば、申し上げたとおりそれを前提としているわけでありますから、この例外なき関税撤廃、この条件が全てなくなりますよということになれば我々は当然、今までもFTA・としてEPA交渉をしてきました。FTAやEPAを交渉してきたその態度と同じ態度になるわけですが、しかし現時点では、民主党の当初の交渉姿勢自体に問題があり、そして日米同盟の絆、信頼関係が崩れている中において、そういう基盤が今の段階ではできていないし、そしてそもそも今の段階で情報が全く公開されていない。野田総理は「年初に情報を公開する」という約束をしておりますが、情報公開がなされていないということが問題であって、情報公開がなされていないという中において今ご質問がありましたが、私たちは正確に答えることができないという状況になっているということですね。私たちが示している態度はこれは明確であって「例外なき、聖域なき関税撤廃を前提にする限り、TPP交渉参加に反対である」と、このことに私は尽きるだろうと思います」
記者「毎日新聞の鈴木と申します。三年前、自民党政権が下野した時には、自民党の古い政治というものに対して閉塞感があったと思います。そして日本を取り戻す、そして自民は再生するという中で三年間尽力されたと思うんですが、それは果たされてきたのかどうか。そして果たされたと感じるならばそれはどのような基準か、その点お答えください。それから一点選挙ではそれを問われるものになると思うが、このあたりの件についてはどう受け止めていますか」
安倍晋三「古い自民党とは何かということですね。古い自民党とは何かと言えば、例えばそれは派閥中心の政治、あるいは年功序列の人事、そしてまた派閥が了解する人事であろうと思います。そして、新しい時代の様々な政策的要求に応えることができないこの自民党を私たちは変えていこうと、この3年間、そのために努力を重ねてきました。今回の総裁選挙において、最後の決勝に残ったのは石破幹事長と私であります。両方とも、いわば派閥単位、派閥出身者としてその出身派閥に全面的に応援された候補ではなかったということであります。丸々大きな派閥が応援した候補でない二人が最後の戦いを行い、そしてその結果、今派閥による人事は全く行われていないわけであります。つまりその意味においても、すでに努力してきた成果が出ている、そのように思います。 そして政策面におきましても、経済政策において、いわばかつての自民党の時代の経済政策と我々は大きくこれは次元を変えた政策を行い、デフレ脱却に挑んでいこうとこう考えているんですね。金融政策についても、グローバルな新しい金融に対応するために、昨日も講演したような日銀法の改正も視野に入れた、こんなことはかつての自民党は一度も挑んだことがなかった、大胆な金融緩和を行っていくということであります。そして公共投資についても、マクロ経済的にそれが正しいと信じる中において、無駄遣いは廃しながら地域の競争力を上げていく、無駄使いはしないという観点に絞っていく。また国民の命を守っていくという観点に絞っていく。子どもたちの安全を守っていくという観点に絞っていくという意味においても、私はかつての自由民主党の公共投資の姿勢とは大きく変わっていくんだろうとこのように思います。新しいことに挑んでいくのが我々自由民主党であります。そして、集団的自衛権の行使という考え方についても解釈の変更、これはなかなか憲法ができて以来、これには挑むことができなかった。六年前、私はその作業を始めたわけでありますが、残念ながら完遂することができませんでしたが、我々はこの選挙を通じてそのことも堂々と訴えていきたい。これは古い自民党どころか、言いわば戦後の体制そのものを打ち破る。そういう私は新しい自民党に変わったんだろうということを申し上げておきたいと思います」
記者「共同通信の鈴木です。先程候補者全員の当選を目指すようなお話がありましたが、政権奪還へ向けた現実的な勝敗ラインについては総裁どう考えているか」
安倍晋三「全員当選できるということが極めて非現実的のような話でありますが、我々はあくまでも全員の当選を目指して、小選挙区・比例区合わせて、立候補者が、少なくとも小選挙区で出た立候補者が全員国会に来て仕事ができるような、それを目標にして行きたいと思っております」
安倍晋三「勝敗ラインというのはあまり意味がないことだろうと思います。全員当選を目指す。そして結果として政権を奪還していきたいと思います」
記者「日本経済新聞の藤村ですが、今回の選挙は地方政党をはじめとする第三極の存在が注目されているが、そういった既成政党を批判するような勢力が現れる中で、今回の選挙の最大の争点はどのように位置付けていらっしゃいますでしょうか」
安倍晋三「最大の争点はまず、ずっと停滞している経済、どの党がこの経済を立て直すことが出来るのか。そして、被災地をどの党が本当に復興することができるのか。そして外交敗北のこの三年間、どの党が外交を建て直すことが出来るのか。そうした事を問う私は選挙であろうと思います」
記者「テレビ朝日の倉永です。この選挙戦を自民党が勝ち抜くための戦略をどう考えているか。また選挙後なんですが、自民党、公明党、民主党で協力していくお考えはあるのでしょうか」
安倍晋三「戦略については民主党の皆さんも聞いているかもしれませんから秘密なんですが、基本的には我々は戦略にこだわることなく、まずは私たちの三年間磨きあげてきた政策を堂々と訴えていきたいと思います。そして私たちには経験があります。そして私は政権を担い、挫折を含めて様々なことを学んでまいりました。そうした経験、あるいは磨き上げてきた政策、そうしたことをしっかりと生かしていくことによって、私たちこそ経済を再生させることができる。外交を建て直すことができる。そして、教育再生に向けて政策を実行をしていくことができるということをうったえて、王道の選挙を行っていきたいと思います」
安倍晋三「民・自・公については、三党合意をしておりますから、民・自・公というのは三党合意ですね。三党合意は三党合意として淡々と進めていきたいと思います」
記者「フジテレビの中西です。改めてなんですけれども、三年越しで解散に追い込めたということで、総裁として今どのように思っていらっしゃるか。またその三年間で無党派層や支持政党なし層が増えてきたが、また第三極など既成政党に対する批判も多い中で、どのようなことを強くうったえていきたいと考えているのかその点についてお願いいたします」
安倍晋三「今日の解散は、これはゴールではなくてスタートラインにやっと立つことができたということだと思います。このスタートラインに立つまでの三年間に、我々自民党や民主党といった既成政党に対する批判があったことも事実であります。その批判をバネに、新たな政党が生まれてきました。我々はそういう政党とともにスタートラインに立っているわけでありますが、この中において先程申し上げた通り、堂々と政策をうったえ、そして政策をうったえるということと同時に、三年前と何が違うかことは、その政策を実行できるかどうかなんですね。美しい、輝ける政策は誰でも掲げることができる。それを学んだ三年間だったんだろうと思います。しかしそのことが、まさに政治への信頼を失わせることにつながりました。二度とそのことを起こしてはいけないと思っております。私たちが掲げる政策は、実行可能な政策だけを掲げていきたいと思います。そのことが、いわば自民党のような歴史を持った政党に対する信頼を取り戻す道なんだろうなと思います」
記者「ニコニコ動画の七尾と申しますよろしくお願いします。先ほど総裁争点でも触れられたんですが、解散総選挙にということになりして、被災地の方々に対して様々な思いがあると思いますが、滞ってきたといわれている被災地復興につきましてどのような方針、政策で進めるのか改めてお伺いしたい」
安倍晋三「まず復興庁が十分に機能していない、これも大きな問題なんですね。正しい政治主導が行われていないということであります。法案自体は問題がないと思いますが、しかし復興庁が結局縦割りになっている。予算もひも付きになっている。それを査定する官庁になってしまっていることに大きな問題があります。私たちが政権を取った暁には、復興庁の意識を変えていきます。そして復興庁の多くの職員がまさに被災地に行って、これから復興させていこうという方々とともにやるべきことを成していく。それを政治家が、トップとして判断していく。真の政治主導を取り戻し、スピード感を持って復興にあたっていきたいと思います」
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