賢いのはクラブ 単語


ニコニコ動画で賢いのはクラブの動画を見に行く

カシコイノハクラブ

5.2千文字の記事

賢いのはクラブとは、クラブが賢いということである。

概要

賢いのはクラブとは、要するに『ひみつのアイプリ』のダークカルテットスターキャラクターソング、「ニュースタージョーカー」のAメロ歌詞である。

簡単にこの個所を説明する。まず『ひみつのアイプリ』の敵キャラクターであるダークカルテットスターは、各人のベースとなった本来のカルテットスターと同様、4人それぞれトランプスートモチーフである。このため、このAメロで各キャラクターが自身のスートにちなんだ歌詞を歌うわけだ。

それが以下である。

キャラクター スー 内容
ダークサクラ ハート
  • ぜったいに追いつけない
  • 胸に宿る
  • 選ばれたあかし
ダークタマキ スペード
  • するどい牙みたいにとがる
  • どんな相手でも手加減はしない
ダークアイリ ダイヤ
  • 闇の中でもきらめく
ダークリンリン クラブ
  • 賢い

ダークサクラダークタマキダークアイリは自分のスートの見た・形の持つ性質などにちなんだ歌詞を歌ってきた。だが、それにも関わらずダークリンリンクラブだけ急に「賢いのはクラブ」とのみ言われて済まされてしまった。

おまけに、このダークリンリン、およびオリジナル四之宮リンリンというのは、知性データキャラである。つまり、キャラクター自体が賢いポジションにあたる。

結果として、以後この賢いのはクラブという歌詞ネタにされることとなった。例えばリンリンが頭労働やひらめきを示す場面で、賢いのはクラブとはやし立てることが恒例となったのである

クラブは賢いのか?

しかし、あまりにもネタにされたあまり、ある反論が散見されるようになった。トランプスートでクラブは知識の徴なので、この歌詞は合っているというである。確かに、日本語ネット検索すると、クラブは知性のスートと紹介されることが多い[1]

しかし、結論から言うとこれは、ごく一部で述べられている極小的な解釈が2010年代以降市民権を得ただけの可性が高い。それには2段階あり、1つ戦後の「トランプ占いブームをきっかけに日本でのみ通用するローカルな解釈がほそぼそと語り継がれてきたというもの。2つは、その解釈がバズった結果ネットでひたすらコピペされたことで定着してしまったというものである。

トランプのスートってそもそもなんだよ

本題に入るために、まず大前提について摘しておきたい。そもそもいま日本で見かけるトランプスートはあくまでもフランス式という点である。

簡単にトランプ歴史を追うと、イスラーム圏からヨーロッパに入ったトランプは、ドイツで形を変え、フランスでさらに簡略化された結果が今の日本トランプである。よって、こうしてトランプが複数文化圏を渡り歩いた結果、トランプスートというのは以下のバリエーションがあるのである。

地域 クラブ ハート スペード ダイヤ
イスラーム ポロ用スティック 貨幣
イタリア こん棒 貨幣
スペイン こん棒 貨幣
ポルトガル こん棒 貨幣
スイス どんぐり バラ
ドイツ どんぐり ハート
フランス クラブ ハート スペード ダイヤ

タロットからの影響はないのかよ

上の表を見た結果、とある前提知識がある人には本論に対してある推測が働く。ラテンヨーロッパ圏のトランプとは、タロットの小アルカナとも言える。つまり、タロットの小アルカナにそういう解釈があるのではないかという疑問が出るのである。

確かに、黄金の夜明け団のなどで、「小アルカナフランストランプスートは対応し得る」とみなす見解が、19世紀以降成立している。だが、近世以来のマルセイユ版にも、黄金の夜明け団などのが強い近代にできたもう一つの流・ウェイト版にも、そんな意味はない。

まず、マルセイユ版の小アルカナ四大元素の意味付けを除くと数秘術的な傾向が強く、スー単位で何らかの徴を示すという解釈はあり得ない。

ウェイト版も、ワンド(クラブ)の立ち位置は意思や行動であって、知性担当はソード(スペード)なのである。

つまり、2通りある伝統的なタロット占いクラブ=知識という見方がない。あっても20世紀以降の新しい教えとみなせられる。よって、この仮説は簡単に放棄できるのである。

じゃあ、トランプ占いでどのくらいまでさかのぼれるんだよ

タロットの可性が消えたことで、クラブ=知識という解釈が実在するかどうかを、トランプの側でしかできなくなった。では、トランプを使った同様の存在、トランプ占いはどうだという話になる。

ところが、そもそもトランプ占いは組織的体系化がほとんど行われておらず、19世紀以前はほぼ個々人の経験的な感覚でやっていた。つまり、近世以前にさかのぼる統一的な解釈などハナからないのである

だが、やがてイギリスなどのアングロクソン系諸では、ハート=感情、ダイヤ=富、クラブ=挑戦、スペード困難というざっくりした区分けが、20世紀になるころからできてきた。20世紀初頭のシリルアーサー・ピアソンが偽名「P.R.S. Foli」で書いた本などに、確かにこれっぽい記述も出てくる。

ただし、もう一度前の段落に戻ってほしい。クラブは知識や知性と言ったポジションでは全くない。近現代にふんわりできたトランプ占いのやや統一的な解釈に、クラブ=知識という見方がないのである。

長々と書いてきたが、結局結論としては20世紀前半にクラブ=知識という解釈が全くなかった。ここまで絞り込み出来ると20世紀後半が初出の可性が高い。

ここから先は、戦後に出た50年代の久保清にはじまり、木星王とか黄泉とか70年代から増え、近年のリュウジとかにいたるその辺の有の本、少女漫画誌の記事、「ムー」辺りのオカルト誌をひたすら読むことになる。正直調に時間がかかるので、賢いのはクラブの原因がかなり新しいを導けたので、いつまで遡れるかは一旦留保したい。

遅くともいつから言われていたのか?

ここまでは過去から現在までを辿ったが、逆に現在から過去に遡る形で確実にどこまで遡れるかを見たい。手法としては、ネット検索コマンドで、2025年時点でいつより前には確実にあったかを見ていく形になる(もうほぼほぼどのブログサービスも壊滅してるけど)

まず、Google検索で範囲定すると、2015年以前と定するとタトゥーに関する解説で個人サイトが一つ、2016年以前とすると占い学校解説でもう一つ加わるなど、せいぜい2つか3つくらいである。つまり、現在時点でののGoogle検索とは打って変わって検出できなくなる。よって、2010年代まではGoogle検索に残っていないような、も形もない言説だったと思われる。

一方で、Xの場合は自動botウソ雑学コピペ系が2013年頃から大量にクラブは知識の徴と吐き出している。この情報の出どころは、元ポストはすでにないのだが、2013年1月5日かれた次の投稿である。

便乗ですが、トランプに関するトリビアを一つ。スペードは死、ハートクラブは知識、ダイヤは富を表しているため、JQKはスペードからは顔を逸らし、ハートダイヤには顔を向けている。知識に関心がないと思われる若者のJはクローバーからも顔を逸らしている。 #有益なことをこう

先ほどのGoogle検索の例と合わせると、ネットにおけるエポックメイキングがこのツイート(当時)のバズ(原文は既にないがカウント系のbotを見る限り3000以上ふぁぼられている)によるものと思われる。つまり、2013年かれたこれがバズり、自動botなどでひたすらコピペされた結果、クラブ=知識が定着した可性が高い[2]

では、さらにこの情報の出どころはどこまで遡れるのか。ここで、Yahoo知恵袋に登場してもらう。Yahoo知恵袋で投稿を古いものから順に調べていくと、2011年1月5日以降、トランプスートの解釈を聞く質問が散見されるようになる。そしてこの回答がまさに、このクラブ=知識なのである。

よって、Yahoo知恵袋から2010年末〜2011年初頭にクラブ=知識と一般人に刷り込む何らかのきっかけがあったのではないかという仮説が立てられる。

小結

ここまで見てきた結論を述べよう。トランプ占いが言い出したのか、そもそもトランプ占いに起があるのかについては結局のところ全くわからない。しかし、賢いのはクラブというのは、2011年前後に何らかのきっかけがあって言われるようになり、2013年初頭にTwitter(当時)でバズった結果、日本に定着したガラパゴススートの解釈だと思われるのである

補足:スートのクラブ、クローバーとみなせばどうなんだよ

ここで、あえて発想の転換をしてみたい。トランプクラブが、形としてはもはやこん棒、クラブとは到底見なし得ず、英語圏でも日本語圏でもクローバーとして扱われがちという観点である。クラブ=クローバーと考えて、賢いのはクローバー、と考えればなんらかの文化背景が見いだせるのでは?という点からの検証も行いたい。

しかし、結論から言うと、クローバーにしたところで文化背景は何もなかった。ただ、賢いの英語・クレバーclever)とクローバーclover)の音が近いため、気取った雰囲気を醸し出せるということで、若干の使用例があるようだ。

まず、辞書に載ってない。そこは大前提となる。そのうえで、用例としてはないかと英語のコーパスに複数当たってみる。

しかし、コーパスを検索した結果も、イギリス圏のBNCには全くヒットがなく、アメリカ圏のCOCAはclever cloverが1件、clover the cleverが2件ヒットする程度。文語の用例を調べられるツールであるコーパスに乗っていない時点で、文語としてはほとんど使われない組み合わせというのである。

一方で、固有名詞としてなら、若干の用例がある。Clever Cloverを名乗る団体は複数あり、ミシガン州Clever Cloverというブティックがあるなど、店の名前もちらほら見つかる。さらに言えば、マイリトルポニーオタクにはClover the Cleverの一例を挙げれば済んでしまうだろう。

というか、日本にもアイドルマスター ミリオンライブ!スートモチーフCLEVER CLOVERというユニットがいる。この一言で、まあ言葉遊びとしてなら日本人でも思いつくレベルとできてしまう。

しかし、結局のところクローバーを賢いとする解釈も、イディオム、コロケーション、スラングミームとなるほどのものではなかった。アメリカに限定して、たまに使われる固有名詞の範囲を出ないようだ。

結局クラブは賢いですか?

わかりません。クラブが賢くても賢くなくても、賢いのはクラブという歌詞はこれから先もネタにされ続けるでしょう。

余談:各作品のクラブ担当者

抜けがあったらごめんな…

関連動画

関連項目

脚注

  1. *おそらく、この歌詞自体もこれが理由とは思う
  2. *実際、Xにはこれ以前にクラブを知識の徴などと述べているポストは3点しか残っていない(2点は間違いなく遊戯王ZEXALにかこつけた投稿)。
この記事を編集する

掲示板

おすすめトレンド

ニコニ広告で宣伝された記事

記事と一緒に動画もおすすめ!
ニコニ広告[単語]

提供: なかじき

もっと見る

急上昇ワード改

最終更新:2025/12/16(火) 11:00

ほめられた記事

最終更新:2025/12/16(火) 11:00

ウォッチリストに追加しました!

すでにウォッチリストに
入っています。

OK

追加に失敗しました。

OK

追加にはログインが必要です。

           

ほめた!

すでにほめています。

すでにほめています。

ほめるを取消しました。

OK

ほめるに失敗しました。

OK

ほめるの取消しに失敗しました。

OK

ほめるにはログインが必要です。

タグ編集にはログインが必要です。

タグ編集には利用規約の同意が必要です。

TOP