ダイアトニック(Diatonic)とは、2015年生まれの日本の競走馬である。鹿毛の牡馬。
芝短距離戦線を主戦場に7歳まで息長く活躍した7ハロンの王者。
主な勝ち鞍
2019年:スワンステークス(GⅡ)
2020年:函館スプリントステークス(GⅢ)
2022年:スワンステークス(GⅡ)、阪神カップ(GⅡ)、阪急杯(GⅢ)
馬名の由来は「7音構成の音階」。母名からの連想である。酒井牧場が生産、(有)シルクレーシングが所有。栗東の安田隆行厩舎所属。
概要
父ロードカナロア、母トゥハーモニー、母父サンデーサイレンスという血統。父はGⅠ6勝を挙げた短距離王者。父としては自身同様の短距離馬からクラシックホース、ダートGⅠ馬まで輩出するなど、父譲りの万能種牡馬ぶりを発揮し活躍している。母は7戦未勝利。母父は言わずもがな。兄に重賞2着馬はいるが、近いところでファミリーの重賞ホースとなると3代母*アルパインスウィフトの一族であるローマンエンパイアくらいしかいない。しかし本馬の4代母であるLa Dame Du Lacは本馬の母父父でもある大種牡馬Haloの半妹であり、決して悪い牝系ではない。
ともあれ日本では実績の薄い血統であるのは間違いなく、北海道セレクションセールでは3000万円で落札。募集額も8万円×500口と決して高い方ではなかった。
2歳~3歳
2歳12月、阪神芝1600mでデビュー。道中位置を下げる展開ながら上がり最速でぶち抜き辛勝。後の秋華賞3着馬カンタービレを下す。なお、マイルではこれが最初で最後の勝利である。
3歳初戦はマイルの条件戦で4着。3ヶ月休養し、初の芝1400m戦で3馬身突き抜ける完勝。その後約2ヶ月おきに出走した1000万下条件はマイルで2着→3着、1400mで2着と惜敗が続いたところで3歳を終える。
4歳
4歳初戦の祇園特別(1000万下・芝1400m)をハナ差で勝利し準OPに昇格。続く1600万下の斑鳩S(芝1400m)もクビ差でしのぎきり2連勝。1000万下から2戦でOPに昇格する。
昇級初戦はGⅢダービー卿CT。ここは上がり最速の末脚を使ったがマイルが長かったか差し届かず4着。芝1400mに戻ったリステッド競走安土城Sは外を突いて伸び、良血リバティハイツとの叩き合いも制して勝利。OP初白星を挙げる。
このあとGⅠには出走せず秋まで休養し、適距離を求めてのGⅡスワンS(芝1400m)。前年の安田記念馬モズアスコットが出走してきたが本馬が1番人気。レースはモズアスコットを徹底マークし、直線も狙い澄ましたように大外から突っ込みハナ差→クビ差の接戦を制して重賞初制覇を飾る。初GⅠ挑戦となったマイルCSはやっぱり長いのか末脚不発で10着に敗れこのシーズンを終える。
5歳
5歳となり、年始名物のGⅢ京都金杯に出走。マイル戦ではあったがスローもあってか脚が残り、勝利には至らなかったが2着に好走。続くGⅢ阪急杯は好スタートもあって珍しく前々の競馬。インコースから直線半ばで先行馬の間を割るように抜け出したが、伏兵ベストアクターに普段自分がやるような外差しを食らい敗戦。さらに馬群を割るタイミングで3位入線馬の進路を妨害したとして3着降着。1400m戦で初めて連を外す結果となる。
気を取り直してGⅠ高松宮記念に出走。初の1200mだったが実績はまずまず上位とあって4番人気。2枠3番の好枠も利して前走同様に内の前目を追走し、直線も真ん中から内に寄せて逃げ粘るモズスーパーフレアを捕らえに行ったが、今度は自分が外からヨレてきたクリノガウディーとモズスーパーフレアに挟まれるような形になる鞍上の北村友一が立ち上がるほどの不利を受け4位入線。1着入線のクリノガウディーが4着降着となったことで3着に繰り上がったが、不利がなければ連対もあり得た脚色だっただけに不完全燃焼ではあった。
それでも1200m戦に目処が立ったのでサマースプリントに参戦。初戦のGⅢ函館SSは武豊を鞍上に迎えての出走。ここは2番手につける積極策から悠々と押し切り2馬身差の大楽勝。重賞2勝目を挙げる。なお1200m戦ではこれが最初で最後の勝利である。しかし続くGⅢキーンランドカップはどういうわけかさっぱり伸びず15着、GⅠスプリンターズSも末脚は弾けず13着。その後右後脚の剥離骨折が判明し長期離脱を余儀なくされる。
6歳~7歳
復帰にはかなりの期間を要し、約10ヶ月後のキーンランドカップで復帰。ここは14着と2年連続で2桁着順に敗れる。
調整にやや時間がかかり、次走は7歳を迎えた京都金杯。鞍上に最後の相棒となる岩田康誠を迎えた2年ぶりの金杯は、自己最低の12番人気に転落したが、インから一時は差し切ろうかというほどの末脚で4着に健闘する。
続くは得意の芝1400mに戻った阪急杯。ここ4走結果は出ていなかったがこの舞台ならと1番人気の支持を受ける。10番枠から抜群のスタートを切り、先頭に立って内へ切れ込んでから外の馬を先に行かせる形で3番手の絶好位をゲット。直線は前が詰まりそうだったがそこはイン突きの名手岩田、内ラチ沿いギリギリのスペースをこじ開けるように突き抜け、伏兵トゥラベスーラの追撃をクビ差振り切って勝利。2年前に降着となった因縁のレースで約20ヶ月ぶりの勝利を手にする。
高松宮記念、安田記念は舞台が合わず共に14着に惨敗。秋初戦のスプリンターズSも10番人気にとどまったが、5,6番手から踏ん張って4着に食い込む。
再度芝1400m戦に戻り、中2週でスワンSに久々の出走。目下好調な年下たちに押される形で4番人気となったが、5,6番手の内めから4コーナーで外に持ち出す教科書のような競馬で余裕たっぷりに突き抜け、1馬身差の着差以上の完勝。このレース3年ぶりの勝利を挙げる。
このあと、所有するシルクレーシングの公式HPで7歳いっぱいでの引退、種牡馬入りが発表された。なんとオーストラリアのユーロンスタッドからオファーがあったとのことで、短距離戦が充実しているオーストラリアなら1400mの実績も生きると考えた陣営も合意したと伝えた。
引退レースとなったのは得意の芝1400m戦ながら意外にも初出走となったGⅡ阪神カップ。まあここは実績が違うよね、ということでロータスランドと分け合っての1番人気に推される。この日はゲートがいまいちで中団からの競馬になるが道中で徐々に進出していき、4角では5番手の定位置。ここで外に持ち出されたが仕掛けに対して反応が薄く、残り100mを切って外から追い込んできた休み明けのグレナディアガーズにかわされてしまう。しかし最後の最後で闘志に火がついたか最後の最後でド根性を発揮し必死に食い下がる。最後は全く横並びでのゴール入線となったが、首の上げ下げの差でダイアトニックに軍配。重賞5勝目を挙げ、自らの引退に華を添えた。
通算成績は26戦10勝、重賞5勝。これだけでも十分立派である。しかし(既にお気づきだろうが)芝1400mの戦績のみを抜き出した数字は驚くなかれ[8-1-1-0]。実に勝率8割。1度だけあった3着も2位入線からの降着だったので入線順位だけでいえばパーフェクト連対である。
日本では7ハロンのGⅠがなかったこともありGⅠには手が届かなかったが、前述の通り短距離戦が充実しているオーストラリアならば種牡馬としての成功も不可能ではないだろう。
オーストラリアの競馬は仕上がりの速さを重視するので、3歳までの成績がやや薄い点はネックではあるが、仲介したバイヤーは産駒の香港やマカオなどへの輸出を見越して短距離実績があり成長力に富んだ種牡馬を求めていたとコメントしており、もしかしたら将来ダイアトニック産駒が短距離王国香港を席巻する時代が来る・・・かもしれない。
血統表
ロードカナロア 2008 鹿毛 |
キングカメハメハ 2001 鹿毛 |
Kingmambo | Mr. Prospector |
Miesque | |||
*マンファス | *ラストタイクーン | ||
Pilot Bird | |||
レディブラッサム 1996 鹿毛 |
Storm Cat | Storm Bird | |
Terlingua | |||
*サラトガデュー | Cormorant | ||
Super Luna | |||
トゥハーモニー 2000 青鹿毛 FNo.2-d |
*サンデーサイレンス 1986 青鹿毛 |
Halo | Hail to Reason |
Cosmah | |||
Wishing Well | Understanding | ||
Mountain Flower | |||
エアレジェーロ 1994 鹿毛 |
*アレミロード | Tom Rolfe | |
Why Me Lord | |||
*アルパインスウィフト | Storm Bird | ||
La Dame Du Lac |
Storm Bird 12.50% 4×4
Cosmah 9.38% 4×5
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関連項目
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