トムロルフ(Tom Rolfe)は、1962年生まれのアメリカの元競走馬・種牡馬。
競走馬としても種牡馬としても成功を収め、父リボーの代表産駒の一頭となった名馬である。
概要
父は凱旋門賞連覇を達成したイタリアの誇る名馬Ribot(リボー)、母Pocahontas(ポカホンタス)、母父はマイル路線で活躍したRoman(ローマン)という血統。父リボーがアメリカに渡ってからの産駒で、保険の受け入れ先が見つからないほどヤバい気性になったせいで帰国出来なくなった父とは裏腹に割と従順な馬だったという。
なお、馬名は母の馬名の由来となったネイティヴアメリカンの女性「ポカホンタス」の一人息子「トマス・ロルフ」より取られている。
競走馬として
2歳4月にデビューしたトムロルフだったが、3戦目で勝利を挙げるとその後は一般競走を1つ勝っただけでなかなか勝てない時期が続き、10月のカウディンSでデビュー10戦目にしてステークス競走初勝利を挙げた。
3歳時は一般競走2つとチェサピークSを勝利し、チャーチルダウンズ競馬場で一般競走を勝つとそこから連闘でケンタッキーダービーに挑戦。4番人気とそれなりの評価を得たが、サンタアニタダービー馬ラッキーデボネアの3着という結果に終わった。
プリークネスSでは、前年の最優秀2歳牡馬に選ばれながらケンタッキーダービーでは全く見せ場の無かった*ボールドラッドこそ回避したものの、他のケンタッキーダービー上位勢は揃って出走。2番人気に支持されると、落鉄して負傷しながらもケンタッキーダービー2着馬*ダッパーダンをクビ差退けて勝利した。しかしベルモントSでは一旦先頭に立ちながら最後にクビ差交わされて2着に敗れた。
その後は夏のアーリントンパーク競馬場の開催で走り続け、サイテーションハンデキャップ→シカゴアンS→アーリントンクラシックSと連戦連勝。更にアメリカンダービーもレコード勝ちを飾り、陣営が次のレースとして選んだのはフランス・凱旋門賞であった。
「アメリカのクラシックホースが凱旋門賞ってマジで言ってる?」という声が聞こえてきそうだが、実際米三冠競走の勝ち馬の凱旋門賞参戦というのは1961年の二冠馬キャリーバックが翌年に出走したくらいで、かなり異例な話である。
これは父がリボーだからというのが主要因の一つだったらしいのだが、結果から言おう。シーバードにボコられました。
直線入り口ぐらいまでは割と手応えが良かったものの、そこからバテて結果は20頭立ての6着(勝ったシーバードとは17馬身差)である。とはいえ
- 3月から始動してこれが今年13戦目、しかも中2週
- 初の芝
- レース前夜に蹄を負傷し患部が化膿、更にアメリカで使っていたスパイク蹄鉄が認可されず
- そもそも騎乗したウィリー・シューメーカー騎手にロンシャン競馬場の騎乗経験自体が無い
と悪条件が山積みであり、愛ダービー・キングジョージを勝ったメドウコート(9着)には先着したため、そこまで腐されるような結果ではないと思われる。3歳時はこれで終え、最優秀3歳牡馬に選出されている。
4歳時も現役を続行したが、流石に遠征が堪えたのか復帰は6月となり、ダートで7戦して3勝。サルヴェイターマイルハンデキャップ・アケダクトハンデキャップと2つ勝ったが、大一番のウッドワードSでは9連勝中だったバックパサーに一蹴されて4着に敗退している。
その後芝の大競走であるワシントンDCインターナショナルを目指し、同競走2週前の芝の一般競走を勝利したが、本番では6着に敗れ、これを最後に引退した。通算成績は32戦16勝。
種牡馬として
ケンタッキー州のクレイボーンファームで種牡馬入りしたトムロルフは、ワシントンDCインターナショナル勝ち馬を3頭輩出し、他にも種牡馬として凱旋門賞連覇を達成したアレッジドの父となったホイストザフラッグ、GI2勝の個性派種牡馬*アレミロードなど、49頭のステークスウィナーを輩出。さらに母父としても大種牡馬*フォーティナイナーを輩出し、リボー系の根幹を担う種牡馬の一頭として活躍した。
1989年に27歳で死亡。残念ながら直系はかなり衰退しているようだが、それでもホイストザフラッグの系統が地道に繋がっているようだ。
血統表
Ribot 1952 鹿毛 |
Tenerani 1944 鹿毛 |
Bellini | Cavaliere d'Arpino |
Bella Minna | |||
Tofanella | Apelle | ||
Try Try Again | |||
Romanella 1943 栗毛 |
El Greco | Pharos | |
Gay Gamp | |||
Barbara Burrini | Papyrus | ||
Bucolic | |||
Pocahontas II 1955 黒鹿毛 FNo.9-h |
Roman 1937 鹿毛 |
Sir Gallahad III | Teddy |
Plucky Liege | |||
Buckup | Buchan | ||
Look Up | |||
How 1948 黒鹿毛 |
Princequillo | Prince Rose | |
Cosquilla | |||
The Squaw | Sickle | ||
Minnewaska | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Papyrus 4×5(9.38%)、Buchan 5×4(9.38%)、Phalaris 5×5(6.25%)
- 母ポカホンタスの牝系は、流石に大種牡馬ストックウェルやキングトム(セントサイモンの母父)を出した19世紀の同名の名牝ほどではないにしてもそこそこ発展しており、米GI2勝のスクイークなどGI馬が何頭か出ている。他にも*ラディガ(ナリタタイシンの母父)、アルザオ(*ウインドインハーヘアの父、すなわちディープインパクトなどの母父)の祖母でもある。
- 更に牝系を遡ると、祖母ハウの全妹たちの子孫からはヒムヤー系の中興の祖アックアック、「生まれた年が悪すぎた馬」の代名詞的存在シャム、日本で大暴れしたゴールドアリュールなどが出ている。
主な産駒
- Droll Role (1968年産 牡 母 Pradella 母父 Preciptic)
- Hoist the Flag (1968年産 牡 母 Wavy Navy 母父 War Admiral)
- Run the Gantlet (1968年産 牡 母 First Feather 母父 First Landing)
- Bowl Game (1974年産 騸 母 Around the Roses 母父 Round Table)
- French Colonial (1975年産 牡 母 Maid of France 母父 Sir Gaylord)
- Tantalizing (1979年産 牡 母 Lady Love 母父 Dr. Fager)
- *アレミロード (1983年産 牡 母 Why Me Lord 母父 Bold Reasoning)
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関連コミュニティ
関連項目
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