テレフォンパンチとは、「予備動作が大きく、相手にこれから打つことを知らせるようなパンチ」を指す言葉である。
概要
「電話」を意味する英語「テレフォン」(telephone)と「殴打」を意味する英語「パンチ」(punch)を組み合わせた言葉。
キックボクシングやボクシングなど、パンチ(殴打)を用いる格闘技の世界での用語である。
「拳を耳のあたりまで引いてから出す、予備動作が大きすぎるパンチ。その様子が固定電話の受話器を持っているかのように見えるため」と説明されることが多いが、
それに加えて「今からパンチを打ちますよ、と電話で教えてから打つかのよう」という意味にかけている、という話もある。
和製英語?
構成する2つの単語がどちらも英語であるため、外国の用語が日本に入ってきたものかとも思える。
しかし、「telephone punch」などの英語で検索しても、日本語の「テレフォンパンチ」を英語に翻訳したと思われるページばかりが引っかかる(例:Telephone Punch | Baki Wiki | Fandom)。
よって、日本で生まれて日本でしか使われていない、いわゆる「和製英語」である可能性も高い。
古い用例
この言葉の起源、つまり「いつ誰が生み出した言葉なのか」については、調べてもよくわからなかった。
しかし、国立国会図書館デジタルコレクションで「テレフォンパンチ」を検索すると古い雑誌や百科事典が多数ヒットし、中には戦前のものまで混じっている。また、表記ゆれとして「テレホンパンチ」で検索してもやはり戦前のものも含めて数件ヒットした。
その多くがインターネット上で閲覧は出来ないが、わずかに閲覧できるものを確認してみると、昭和21年発行の『最新スポーツの知識』にてテレフォンパンチのキーワードが見つけられる。
テレフォンパンチ 打つ際グッと手を引いて撃つ打ち方
テレグラフパンチ?
では、テレフォンパンチが和製英語だとしたら、攻撃動作が見え見えのパンチのことを英語ではなんと表現するのか。
telegraphとは日本語に直すと「電報」のことであるが、"telegraph your punches"で、「相手にパンチを打つと伝える」というような意味になっている。
ちなみにこちらも国立国会図書館で調べると、やはり戦前の本がヒットする。
如何にストレイトの打撃のスピードがあつたにしても、之を打つ時に腕を後方に引いて打つことは、一寸と考へると非常に強力なる損害を敵に與へ得るものだと思はれるが、之は大なる誤謬であつて、そうしたことに依つて敵に今打つぞと云わんばかりのシグナルであるから、それはテレグラフ・パンチと稱されて、ボクシングの上からは大いに排撃しなければならない。
しかし、国立国会図書館での検索では実質上記の1冊しかヒットしない。一部を日本語訳した「電報パンチ」では戦後の本が3件ヒットする。
どうやら日本では電話の普及に合わせてテレグラフパンチは忘れられ、テレフォンパンチに置き換えられていったようである。
関連項目
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