ピコカキコ:波形で遊ぶとは、ピコカキコで音色を作る際に使われる波形指定コマンド(@0~@14)を使って遊ぶ記事、すなわちこのページのことである。
ピコカキコではエンベロープやフィルタを用いてさらに多様な音色を作成することができるが、ここでは波形指定コマンドの解説に限定する。
概要
ピコカキコで使用される波形指定コマンドは@0~@14までの15種類が存在する。それらを区分すると、
のようになる。
基本5波形(@0~@4)
基本となる5つの波形。
@0(サイン波)→@1(のこぎり波)→@2(三角波)→@3(パルス波)→@4(ノイズ) | 他はすべてデフォルト |
@0 正弦波
すべての音の基本となる波形で、倍音が存在しない。理論上は正弦波を重ねることによって、ありとあらゆる音を作ることができる(→フーリエ解析)。
@0か@0-0で、通常の正弦波が指定される。@0-1では半波整流(変位がマイナスの部分をカット)を、@0-2では全波整流(変位がマイナスの部分をプラスに反転)を行った波形になる。
使用例:オルゴール
@0-1 半波整流正弦波
@0-2 全波整流正弦波
@1 のこぎり波
倍音が非常に多く含まれる波形。この波形を低音部で使用しすぎると、倍音部が不協和音になるためざらついた音になりやすい。他方、倍音が含まれるため、フィルタを使用する際の基本の音として使われる。
使用例:バイオリン
@1-1 のこぎり波:変位0からスタート
@1は変位が最大から始まりプチノイズ(「プチッ」という音)が出るため、変位が0から始まる@1-1の使用が推奨される。
@2 三角波
奇数倍音のみを含む波形。倍音は弱く、どちらかというと正弦波に近い。ベース音などに使用するとマイルドな感じになる。のこぎり波やパルス波ではざらついてしまう和音を@2に指定し直すことによって、綺麗な和音になることが多い。
使用例:エレクトリックピアノ、ハープ
@2-1 三角波:変位0からスタート
@2も@1に同じく変位が最大から始まるので、プチノイズ(「プチッ」という音)が出るのが気になる場合には、変位が0から始まる@1-1の使用が推奨される。
@3 パルス波
スイッチのオン・オフで鳴らされる波形。多くの倍音が含まれている。
@Wn(nは1~99)でデューティ比を指定し、音色を変えることができる。デフォルトは@W50でボーっという音(矩形波)になり、1または99に近づくにつれて尖った音になる。
なお、@Wnのnをマイナスの値にすると、パルス波とホワイトノイズが混じった音になり、@Nでノイズの周波数も指定できる(下記@4参照)。
使用例:クラリネット、オーボエなどの木管楽器、トランペット、ピアノ
デューティ比を変化させると、以下のように音色が変化する。@W1と@W99など、合計が100になるペアは波形が反転しているだけで、同じ音色である。
@3 @Wn:n=1→10→20→30→40→50→60→70→80→90→99 |
@4 ホワイトノイズ
ザーッというノイズ音。通常はノートではなく@Nn(nは0~127)で周波数を指定する。@N0で軽い音、@N127で重い音のノイズとなる。
通常どのノートを指定しても同じ音になる。但し、フィルタを通すことによってノートの影響をつくることができ、シュワーッといった効果音をつくることができる。
周波数を変化させると、以下のように音が変化する。@N0~@N70あたりは、変化があまり見られない。
@4 @Nn:n=0→60→80→100→110→120→124→127 |
基本5波形の応用例
ピコ番号 | ピコカキコ | |
4150 |
/*オーボエ*/ @3 @w20 @e1,3,0,127,70 @f1,0,93,95 x1; /*フルート*/ @3 @w15 @e1,8,0,127,70 @f1,0,83,88 x1; /*チェレスタ*/ @2 @e1,0,8,112,240,0,0 @f1,0,110,118 @l15,24,0,48 x1; /*ストリングス*/ @1 @e1,0,0,80,10,127,3000,48,100 @f-1,0,66,72 @l10,64,0,48 x1; |
FC音源(@5~@9)
ファミリーコンピュータ内蔵の音源を再現する際に用いる。詳しくはFC音源参照。ファミコンらしい音の作り方についてはこちらを参照のこと。
@5 FCパルス波
@Wnで、n×12.5(%)のデューティ比を指定して、音色を変えることができる。ファミコンでは12.5%、25%、50%、75%の4種類があるので、それぞれ、@W1, @W2, @W4(デフォルト), @W6と指定する。もちろん、ピコカキコでは@W3や@W7などの指定も可能。
なお、@W2と@W6など、デューティー比の合計が100になるペアは同じ音色である。また、ピコカキコ上での@3との違いは、デューティー比の設定のみと見られ、実機の音に似せるような処理は行っていないようである。
@6 FC三角波
主にベースで使用する。@2とは異なり、カクカクしたピラミッドのような波形をしている。詳しくはこちらの記事を参照。
@6-1 FC三角波:変位0からスタート
@6を使っていると、音の鳴り始めの「プチッ」というノイズが気になることがある。特にFC音源を再現する場合、三角波の音量は固定とするので、このノイズが必ず発生する。そのようなときは、@6-1に指定し直すことでノイズが解消される。
@7 FCノイズ
音程の変更できるノイズ。o0c~o1d+の範囲で周波数を指定する。o0cで軽い音、o1d+で重い音となる。
@8 FCショートノイズ
FCノイズより波形の周期が短く、音程がはっきりしているノイズ。同様に、o0c~o1d+の範囲で周波数を指定する。
@9 FCDPCM
データ量が圧縮された音声波形を出力できる音源。詳しくはDPCMやこちらの記事を参照。音量が小さいことが多く、その場合はVCAエンベロープで調整(増幅)する必要がある。
@9-n o0c;
のように記述する(nは0~15)。o0c~o1d+の範囲で周波数を変更することが可能。
ファミコンのDPCMがドラムや効果音、声などに使用されるのと同様に、@9も音声の再生に使用できる(ピコカキコ、楽しいよ!参照)。WAVファイルがあれば、変換ツール(ピコカキコ製作に役立つツール一覧を参照)でピコカキコの形式に変換できる。
GB音源(@10~@12)
ゲームボーイの音源を再現する際に用いる。詳しくはGB音源参照。下記以外にもパルス波の音源を搭載しており、これを鳴らすには@5を使用する。
@10 GB波形メモリ
音声波形の1周期分を定義する音源。詳しくはこちらの記事を参照。
#WAV10 n,89abcdeffedcba987654321001234567
のように記述する(nは0~31)。波形は16進数1桁(符号無し4ビット)で1サンプルを表し、サンプルの数(32)だけ続ける(見やすいようにスペースを挿入可)。
@11 GBノイズ
ゲームボーイ版ノイズ。FCノイズと同じ要領にて、o0c~o5d+の範囲で周波数を指定する。
@12 GBショートノイズ
ゲームボーイ版ショートノイズ。o0c~o5d+の範囲で周波数を指定する。
波形メモリ音源(@13)
GB波形メモリと同様に、音声波形の1周期分を定義する音源。GB波形メモリよりもビット数とサンプル数が多く(@10は4ビットで32サンプル固定、@13は8ビットで最大1024サンプル)、複雑で綺麗な波形を出力できる。
#WAV13 n,80a0c0e0c0a0806040204060
のように記述する(nは0~31)。波形は16進数2桁(符号無し8ビット)で1サンプルを表し、サンプルの数(最大1024)だけ続ける(見やすいようにスペースを挿入可)。
FM音源(@14)
1980~90年代のパソコンやアーケードゲーム、2000年代の携帯電話で使用された音源。かなり複雑な波形を出力でき、波形メモリ音源では不可能な、リアルな楽器の音を作ることができる。@14では、OPN(YM2203)やOPM(YM2151)と同じ音色定義が使用できる。
#OPN@n {
AL FB
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 AME /*OP1*/
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 AME /*OP2*/
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 AME /*OP3*/
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 AME /*OP4*/
}
#OPM@n {
AL FB
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 DT2 AME /*OP1*/
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 DT2 AME /*OP2*/
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 DT2 AME /*OP3*/
AR DR SR RR SL TL KS ML DT1 DT2 AME /*OP4*/
}
上記(オプション部分の定義は省略してある)のいずれかにより音色を定義し、@14-nで指定する(nは0~127)。
なお、OPNやOPMは音量変化が対数になっており、正確に再現するためにはx2の記述を併用する。ファミコンなどはリニア(直線的)であり、これを設定する記述はx0(ただしデフォルトのため不要)である。
さて、FM音源の音色は、デタラメに定義してもまともに鳴るものではなく、音源の知識(仕組み)と熟練(試行錯誤)を必要とする。
記法・仕組みについては現在は座間野氏のユーザー記事が詳しく、参考になる。
また、かつてはVAL-SOUNDというサイトの「FM_Library」に多数の音色定義が公開されており参考となっていた。現在は公開されておらず、Webアーカイブによってのみ閲覧できる状態であるが、関連リンクに掲載しておく。
関連コミュニティ
関連項目
- ピコカキコ
- ニコニコ大百科:ピコカキコヘルプ
- FlMML Reference (公開終了のためWebArchiveへのリンク)
- FM_Library - VAL-SOUND (公開終了のためWebArchiveへのリンク)
- 6
- 0pt
- ページ番号: 4394566
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