「亡き王女のためのパヴァーヌ」あるいは「逝ける王女のためのパヴァーヌ」(仏: Pavane pour une infante défunte)とは、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルによる1899年作曲のピアノ曲である。
概要
ラヴェル自身が1910年に編曲した管弦楽版もあり、どちらかというと後者の方がよく知られている。パヴァーヌらしく穏やかで優雅な名曲である。4/4 ト長調、A-B-A-C-A形式。
ラヴェル曰く、スペインの宮廷画家ベラスケスの描いたフェリペ5世王女マルガリタ・テレサの少女時代の肖像画(参考(ウィキペディア英語版)
)を見て、「スペイン王の宮廷で、在りし日のとある幼い王女[1]が踊っていたかもしれない(スペイン王侯の作法を取り入れた宮廷舞曲であった)パヴァーヌ、というイメージが喚起された」とのことで、タイトルの「亡き王女」は彼女を含め特定の人物を示したものではなく[2]、それどころか「パヴァーヌ・プールュヌ・アンファント・デファント」(2音節区切りの場合)という韻文詩めいた響きの面白さで付けられたものらしい[3]。
晩年、ラヴェルが自動車事故により記憶障害が進行してしまった際、この曲を聴いて「この曲はとてもすばらしい。誰が書いた曲だろう。」と言ったという逸話もある。
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関連項目
脚注
- *インファンタ(西: infanta)はスペインおよびポルトガル王室において、王位継承権の無い王女、男系の女性王孫、直系王子の配偶者、に与えられる称号。infante はその仏語訳。
- *形容詞 défunt(e) は物故して間もない人に対して用いる「故・~」だが、マルガリタ・テレサが夭折したのはこの曲の生まれる200年以上も昔である。
- *友人のアメリカ人作曲家マノーア・レイド=テデスコー(Manoah Leide-Tedesco)に対して「驚かないでほしいんだが、このタイトルは曲作りとは全然関係がないんだ。単に言葉の響きが好きでこう付けたってだけ。」と気恥かしげに答えている。
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