概要
横手焼きそばとは、ご当地グルメである。
秋田におけるB級グルメの旗手として、地元に限らず多くの地域で食されている料理である。
実在の店舗のメニューや団体の表記では「横手やきそば」が多いが、本記事では某インターネット百科事典に倣い、団体名等を除き「横手焼きそば」で表記を統一する。
特徴
秋田県横手市を発祥地とするご当地焼きそばであり、最大の特徴は焼きそばの上に片面焼きの目玉焼きが載っていて食事としての満足度が上がっている事である。
他の特徴としては、調理に出汁の入ったウスターソースが使われていて、麺は基本的に茹でたストレートの角麺が用いられる事も挙げられる。出汁の入ったソースで炒めるため仕上がり時の汁気が多く、目玉焼きとの親和性が高い。
具には豚挽き肉とキャベツが用いられる事が多く、焼きそばの具としては基本的にオーソドックスだが、店によっては豚挽き肉の代わりに豚のホルモンを使うなど、独自のアレンジが加わっている事もある。添えられる薬味は紅生姜ではなく福神漬けである事が多い。
基本的にはソースの風味は淡いが、目玉焼きの黄身を割って麺に絡める事により、まろやかで濃厚な味わいを楽しむ事も出来る。
焼きそばは基本的に冷めても美味しいものであるが、これに限っては熱々の状態で食すのが望ましい。
食す際は調理に使ったものと同様の出汁入りウスターソースを追加で掛ける事も多く、横手焼きそばを提供する店舗のテーブルには大抵ソースボトルが常備されている。
B級グルメとして
町おこしを目的とした全国的なご当地グルメイベント「B-1グランプリ」の記念すべき第一回から参加しており、第一回の覇者である「富士宮やきそば」と決勝で「ご当地焼きそば対決」を熱く繰り広げ準グランプリを受賞、一躍認知度が高まる事となった。以来B-1グランプリの常連として参加を重ね、第四回にて念願のグランプリに輝くという栄誉に浴している。[1]
数々のライバルたちと切磋琢磨し、ご当地B級グルメにおける焼きそばというジャンルに注目を集め、発展を促した料理の一つでもある。
今日では先述の富士宮やきそばと上州太田焼きそばと共に「日本三大ご当地焼きそば」と並び称されている。
誰もが認めるB級グルメであるが、横手焼きそばでモンドセレクション金賞を受賞した店舗も存在する。[2]
また、B-1グランプリとは別に「横手やきそばグランプリ」という独自の大会を毎年開催しており、上位入賞者がその年の「横手やきそば四天王」として称されている。
2010年に発足した地元民間団体「横手やきそば暖簾会」が様々なPRと普及活動を行っており、横手焼きそばのブランド価値と品質を保持する目的で「横手やきそば道場」という研修会を執り行っている。
この研修会を修めた店舗には暖簾会公認ののぼり旗と「麺許状」が贈られ、公認店舗を名乗る事が許されている。
横手やきそば道場は横手焼きそばを美味しく調理する為のノウハウを勉強する場であり、実技と筆記含む審査まで設けられているため、公認店舗であれば味は保障されると見てよいだろう。
研修会があるため公認店舗ではある程度共通の特徴が保たれており、大きくアレンジされた品は実際多くはないが、ソースにあわせる出汁の変化や青海苔の有無、麺を炒める際の調味料、キャベツを入れるべきか否か、豚挽き肉の代わりのホルモン焼きなど、独自の魅力と食味の向上に力を入れている店舗も少なからず存在する。
この横手やきそば暖簾会の活動は県内に限定されず、道場を修めた公認店舗は県外にも多数存在している。
また、同様にご当地焼きそばを擁する岡山県真庭市の団体「ひるぜん焼そば好いとん会」に対し、その「ひるぜん焼そば」の派生である「あさぜん焼そば」の開発を協力した事もある。
ひるぜん焼そばはB-1グランプリにも出場しており、B-1グランプリが取り持つ縁のもと、異例のコラボレーションの結晶としてあさぜん焼そばは存在する。
現在では横手焼きそばの認知度はB級ご当地グルメとしては高い方にあり、県内外で食されている。しかしB-1グランプリ優勝という経歴に胡坐をかく事なく、今日に至るまで地域一体となって横手焼きそばを盛り上げている。
歴史
「横手やきそば暖簾会」によると、横手焼きそばの直接的な発祥は戦後まで遡る。
当時お好み焼き屋を営んでいた男性が鉄板で作れる新商品として開発したものが直接的な発祥であり、製麺業者の協力を受けストレートの角麺を使う事によって、昭和28年に現在の横手焼きそばが誕生したと説明されている。
製法として珍しい材料や特別な機材が必要無く手軽である事から、駄菓子屋や鉄板焼きの店など、多くの店舗に広まっていったとされている。
横手焼きそばというと具はキャベツの他に目玉焼きと挽肉、それに福神漬けがイメージだが、本来はこれは目玉焼きと挽き肉を追加した「肉玉」と呼ばれる具を追加したメニューであり、原典をなぞればデフォルトの横手焼きそばの「並」は「キャベツと麺」それに福神漬けで成り立っている。
B-1グランプリに出場するに際し、この「肉玉」を「横手焼きそば」とした事によって、この具の取り合わせがイメージに定着する事となる。
今も一部の店舗では目玉焼きと挽き肉の付いたものはトッピングメニューの「肉玉」と称し提供している。
先述の「B-1グランプリ」には第一回から全大会に渡って参戦し続けており、2006年開催の第一回では準グランプリ、2009年開催の第四回ではグランプリを受賞している。
2007年には「横手やきそばグランプリ実行委員会」が結成され独自の大会を毎年開催、2010年には「横手やきそば暖簾会」が発足されPRと普及活動および味のクオリティの向上に協力するなど、継続的な活動が続いている。
ご家庭での調理について
先述の横手やきそば暖簾会の横手やきそば道場は店舗を対象とした研修会であり、ご家庭で調理する際には厳格なルールは一切存在しない事を予めお伝えします。
それを踏まえ、横手焼きそば「らしく」整えるのであれば、
といった特徴を抑えれば、「ご家庭の横手焼きそば」として申し分の無いものが出来ると思われます。
茹でたストレート角麺に拘らずとも、麺はスーパーで売っている〇ちゃん焼きそば(3人前)でも十分に美味しいものが出来上がるでしょう。
麺との絡み具合を良くするために目玉焼きを半熟卵に置き換える事も可能です。
珍しい材料や特別な製法を必要としないため、食べる人のお好みでアレンジがいくらでも効くのもご家庭で作る魅力の一つです。
ご家庭でお試し頂いて、もしそれがお口に合う、または「何か違うな…」と思った時は、機会があれば是非のぼり旗を掲げる公認店舗で提供される「本物」もお試し下さい。
ご家庭で試して良し、ご当地で味わって良し。それこそがB級グルメの本懐というものです。
横手焼きそば取り扱い店舗
先述の通り、横手やきそば暖簾会の道場を修め公認店舗となった店舗は県内外に多く存在し、地域によっては秋田へ行かなくとも公認の味がご賞味頂ける場合がございます。
横手やきそば暖簾会の店舗紹介ページに、加盟店舗と協賛店舗、および本年度の横手やきそば四天王となった店舗と所在が紹介されていますので、お近くにお寄りの際は是非お試しください。
関連動画
関連商品
関連項目および外部リンク
脚注
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