概要
《紅蓮の指名者/Appointer of the Red Lotus》
通常罠
(1):2000LPを払い、手札を全て相手に見せて発動できる。
相手の手札を確認し、その中から1枚を選んで、次の相手エンドフェイズまで除外する。
2009年7月18日発売の「STARDUST OVERDRIVE」にて実装。
相手の手札を確認する、その中から1枚選んで次の相手エンドフェイズまで除外する効果を持つ。
……のだが、当初の環境でこのカードが使われることは無かった。理由は大きく2つ。
1つ目は発動条件の重さ。「ライフポイントを2000払い、手札を全て相手に見せる」が発動条件であり、特に後者は相手に情報のアドバンテージを与えることになり、効果が通ることで相手の手札も確認出来てイーブン、効果が無効になればどうなるかは言うまでもない。そのため、サーチなどでおおよそ手札が判明している状態、または【暗黒界】【未界域】のような手札をコストとするテーマを用いるなど自分のディスアドバンテージを最小限に抑えるデッキが向いている。
2つ目は除外したカードがエンドフェイズで戻ってしまう点。手札を確認するピーピングは手札を墓地・除外送りにするかデッキに戻すハンデスで使い物にしなくすることに意義がある。実装時点で《ダスト・シュート》や《マインドクラッシュ》が存在しており、これらはそれぞれ制限・準制限カード(当時)ではあるが、ピーピングハンデスとしては十分なカードである。一方で、紅蓮の指名者は一時的な除外でしかないため、次のターンで使われる前にアドバンテージを確保していなければ意味が無い。
総じて、発動条件の重さに効果が釣り合わない。というのが当時の評価であったが、年月を経てこのカードの評価は変化する。
環境の高速化が進むようになり、先攻プレイヤーはいかに制圧盤面を作り上げながら相手の巻き返しを妨害するか、逆に後攻プレイヤーは先攻の展開を手札誘発で妨害しつつ次のターンでいかに捲れるかが重要となってきた。2023年現在、《サンダー・ボルト》・《ハーピィの羽根帚》・《拮抗勝負》の除去系、【壊獣】などのリリース系、《冥王結界波》・《無限泡影》の無効系など捲り札を挙げるとキリがない。
それらの使用を封じるためにドローフェイズ・スタンバイフェイズでこのカードを使い、相手が何も出来なければ、次の自分ターンで止めを刺す。現代の遊戯王だからこそ、真価を発揮するのかもしれない。
とはいえ、手札誘発は《墓穴の指名者》や《抹殺の指名者》の方が有効であり、罠カードという性質上ワンテンポ遅いカードであることに注意したい。
ちなみに、2020年のストラクチャーデッキ-凍獄の氷結界-に唯一再録されているが、氷結界とのシナジーは無く、《氷結界の龍 トリシューラ》の除外効果を意識しての再録と思われる。
国内外環境・リミットレギュレーションについて
環境で評価されるようになったのは第11期(2020年4月~2023年3月)である。
海外では【アダマシア】【エルドリッチ】で制圧盤面を築いてから使われていた。大量展開のアダマシアはリリース系や冥王結界波に弱く、永続罠を多用するエルドリッチでは羽根帚などの魔法・罠除去に弱かったからであり、それらの使用を封じるカードとして紅蓮の指名者が採用されていた。
結果、海外では2022年10月に制限、23年6月に禁止カードに指定された。
国内では2022年の【スプライト】【ティアラメンツ】環境でサイドデッキに採用されていた。
デュエルリンクス・マスターデュエルにおいて
デュエルリンクスではランク戦の報酬を最速で得る為に、自爆デッキに用いられていた。
マスターデュエル(MD)でも実装当初は注目されなかったが、自爆デッキの他、【クシャトリラ】でこのカードの採用例が増えている。理由は《クシャトリラ・アライズハート》にあり、「除外されたカードを1枚選び、自身のX素材にする」効果で、エンドフェイズに手札に戻るという制約を無視することが可能。これにより、事実上のピーピングハンデスが実現してしまった。
とはいえ、ピーピングハンデスは《盗人の煙玉》というMD禁止化の前例がある。あちらは複数回使い回せるコンボも原因なのだが、案の定【クシャトリラ】関連カードとして規制されてしまい、2023年11月9日の改訂で禁止カードに指定された。
関連項目
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