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腎症候性出血熱(HFRS)とは、非常に危険なウイルス感染症の一つである。
ウイルス性出血熱の一つ。
概要
ハンタウイルスが引き起こす病気の一つ。ウイルスが主に腎臓の血管を攻撃するため、重症化すると重い腎不全を残すことがある怖い病気である。
ハンタウイルスにもいくつかのタイプがあって、HFRSを引き起こすのはユーラシア大陸(特に東アジア、東欧)にいるハンタウイルスである。特に中国や韓国のハンタウイルスは重症のHFRSを起こしやすく、危険である。北欧(スカンジナビア半島)にもハンタウイルスはいるが、こちらは比較的軽症の流行性腎症を引き起こす。
日本でも昔、大阪市の梅田駅(JR大阪駅)周辺でこの病気が流行したことがある(梅田奇病)。
ちなみに北米大陸や中南米にもハンタウイルスはおり、こちらはハンタウイルス肺症候群という別の病気を起こす。こちらも重い肺炎を起こし、致死率が非常に高い。
日本の感染症法では腎症候性出血熱とハンタウイルス肺症候群はともに四類感染症となっており、患者を診察した医師は最寄りの保健所に連絡する義務がある。
感染経路
齧歯類(ネズミ)が媒介する。齧歯類に触ったり咬まれたりして感染することが多いが、齧歯類の糞尿で汚染されたものや粒子を吸い込むことでも感染する。
なお、エボラ出血熱やSFTS(重症熱性血小板減少症候群)などと異なり、人から人に伝染することは無いとされる。
症状
- 軽症の場合
発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、下痢などの風邪のような症状がみられるが、数日程度で回復する。しかし軽度だが腎臓の炎症(急性腎炎)は発生しており、尿検査(検尿)をすると血尿や蛋白尿が確認できる。
- 重症の場合
発熱などの症状の他、低血圧、腎不全(尿が出なくなる)、ショックなどがみられる。致死率は10%程度とされる。
治療方法
特に無し。強いて言うなら、点滴による脱水症状の改善と、腎不全の改善くらい。腎不全が酷い場合は人工透析も必要。
ちなみに黄熱病などと異なり、ワクチン(予防接種)は存在しない。
関連項目
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