THAAD(Terminal High Altitude Area Defense:終末高高度地域防衛)とは、アメリカで開発された弾道ミサイル迎撃システムである。
歴史
北朝鮮のミサイルが発射されそうになると沖縄に派遣されるのでおなじみ、パトリオットPAC-3は高高度から迫りくるミサイルの弾頭(※ICBMとか普通は爆弾が詰まった頭の部分だけが落ちてくる)を迎撃するミサイルであるが、射程が短いという難点がありICBMならともかくIRBM(中距離弾道弾)は迎撃しずらいという問題を抱えていた。そこでPAC-3の弱点をカバーするべく開発されたのがTHAADである。
1987年から開発が始まったが開発におっそろしく時間がかかり(途中あまりに実験に失敗するので予算削減されたことすらある)アメリカ国内での配備は2007年と実に開発開始から20年もかかっている。
概要
敵の弾道ミサイルを高度40~150kmで直撃破壊する。迎撃に使用するミサイルは1段式の固体燃料ロケットで有効射程距離は200km以上。レーダーによる電波指令で誘導され、終末段階で先端に搭載されたキネティック弾頭が切り離され、弾頭に内蔵された赤外線シーカーが目標を補足し、スラスターで軌道を制御して目標に直撃する。[1]
THAADを構成する最小の単位であるバッテリー(※中隊とも)はTHAADミサイルを八発搭載するランチャー車両が9両、後述する2種類のレーダー車両、射撃統制ユニット2両で構成される。
THAADで使用されるレーダーTPY-2は2種類あり、THAAD中隊が使用するターミナル・モードのTPY-2射撃管制レーダー(捜索距離は約1000km)と、早期警戒任務に就くミサイル防衛中隊が使うフォワード・ベースド・モードのTPY-2前方配備レーダー(捜索距離2400km以上)がある。日本においては2006年に青森県の車力、2014年に京都府の経ヶ岬にTPY-2が配備されており、この2基は日本やグアム方面を狙う弾道ミサイルの早期警戒レーダーとして運用されているのではないかと推測されている。[2]
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関連項目
脚注
- *「(Vol 15)海外派遣されるミサイル砲兵旅団:THAADとMLRS」軍事研究2017年6月号
- *「(Vol 15)海外派遣されるミサイル砲兵旅団:THAADとMLRS」
- *韓国配備のTHAADが使用可能に=米軍 2017.5.2
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