たけふ菊人形とは、福井県越前市で行われている花の祭典である。
福井県及び北陸地方を代表する秋のイベントの1つとして全国的に知られている。北陸地方で行われる花の祭典には、富山県砺波市で開催される「となみチューリップフェア」があるが、このイベントとほぼ対になるように開催されているのが、この「たけふ菊人形」である。
「となみチューリップフェア」は4月下旬からゴールデンウィークまでの春の期間に開催されるのに対して、「たけふ菊人形」は10月中旬~11月上旬の秋の期間に開催されている。
イベント名の通り、元々は武生市を代表するイベントとして知られていたが、2005年に今立町と合併して越前市となったことに伴い、現在では越前市を代表するイベントとなっている。
「たけふ菊人形」は、武生駅から数百メートル西側にある武生中央公園で毎年開催されている。イベントでは、「菊人形」と呼ばれる菊を服やはかまに見立てて、まるでコーディネートをするかのように色鮮やかな菊でデコレーションした人形をさまざまな場所に設置し、公園全体を菊で埋め尽くしてデコレーション。まるで360°全方向がインスタ映えするかのような菊の景色を観賞できるイベントである。菊人形以外にも菊でデコレーションしたモニュメントが設置してあり、「たけふ菊人形」では毎年テーマを発表してそのテーマに沿った菊のデコレーションをしている。
テーマは1969年の第18回大会から2018年の第67回大会まではその年に放映されている大河ドラマをテーマとしていたが、2019年の第68回大会からは50年ぶりに方針を転換。童話など、ファンタジーな世界を表現するテーマとなった。2020年の第69回大会でも「アラジンと魔法のランプ」や「美女と野獣」をテーマとした作品が登場している。
菊人形以外にも盆栽菊やさまざまな栽培方法で育てられた菊花がコンテスト形式で展示されている。コンテストは事前に審査されており、上位に値する菊花や盆栽菊には、優秀賞または優秀賞主席、銀賞や金賞の札が掲げられている。さらに菊を半球状に配した千本菊が一株展示されており、イベントの見どころの一つとなっている。
また、協賛イベントとしてOSK日本歌劇団によるレビューショーが行われ、「『たけふ菊人形』といえば?」という質問にこのレビューショーが必ず挙がるほど、「たけふ菊人形」において定番イベントとなっている。
他にも観覧車やバイキング、メリーゴーラウンドなどのアトラクションが期間中稼働しており、多くの人で賑わうイベントとなっている。
そもそも「たけふ菊人形」にはルーツとなるイベントが存在する。それが大阪府枚方市のひらかたパークで開催されていた「ひらかた大菊人形」である。
きっかけは1949年(昭和24年)に開催された全国市議会議の会場で、当時の武生市議会副議長の席と枚方市議会議長の席が偶然にも隣り合わせとなった。当時の枚方市は、上述の「ひらかた大菊人形」[2]で菊の街として全国的に知られていた。
ちなみに武生市(現 越前市)でも江戸時代から菊花作りが盛んに行われ、寺院の境内で菊の品評会が行われるくらい菊花と深い関わりを持つ街として知られていた。
話を戻すと、偶然隣同士となった武生市副議長と枚方市議長は菊人形の話題で盛り上がり、意気投合。武生市副議長はこの話題から「ひらかた大菊人形」のような菊人形の祭典を同じ菊の街である武生でもできないかと画策。また事前調査で昭和初期の武生には、人口当たりに占める映画館の館数が全国と比較しても多く、市民が娯楽好きで娯楽を求めているという分析結果が出たため、武生で菊人形展を開催することを決定した。
そして1952年(昭和27年)、第1回たけふ菊人形が開催されたのであった。この時はトタンぶきの見流館、中古木材で作った芸能館など、ほとんど簡素で手作りのようなイベントであった。
しかし回を重ねるうちに次第に見栄えや質もグレードアップしていき、1969年(昭和44年)開催の第18回大会ではNHK大河ドラマをテーマとした方針に一新した。このテーマの方針はのちに2018年(平成30年)開催の第67回大会まで50年間続くこととなる。
1975年(昭和50年)開催の第24回大会の頃になると、大観覧車やバイキング、メリーゴーラウンドなどのアトラクションが順次設置されるようになり、この様相は1986年(昭和61年)開催の第35回大会まで続いた。
また、1980年(昭和55年)開催の第29回大会からは、今では定番となったOSK日本歌劇団のレビューショーが開始。毎年行われるようになった。ニコニコ動画ではこのレビューショーの模様を、OSK日本歌劇団チャンネルより一部無料公開している。(下記関連動画参照。)
また現在は行われていないが、1977年(昭和52年)開催の第26回大会から1998年(平成10年)開催の第47回大会まで「ミス菊人形」を選定していた。その後の1999年(平成11年)開催の第48回大会、2000年(平成12年)開催の第49回大会では男性を含めた「式部菊花隊」が結成されている。
2011年(平成23年)開催の第60回大会では、開催60周年を記念して大規模なリニューアルを実施。これまであった菊食堂をフードコートに、物産テントをお土産横丁に拡張リニューアルさせた。そして新たに噴水エリアに菊のトピアリーを設置。より華やかな花の祭典へと変化させたのであった。さらに「たけふ菊人形」のイメージキャラクターを公募し、黄色い菊の花をかたどったチャーミングなボディが特徴的な「きくりん」が誕生した。
そして2016年(平成28年)開催の第65回大会から入場料を無料化したのである。
1969年(昭和44年)開催の第18回大会から長らく続いていた「大河ドラマ」を中心としたテーマは、2018年(平成30年)開催の第67回大会で遂に終焉を迎えることとなる。
2019年(令和1年)開催の第68回大会からはテーマを和風テイストが強い大河ドラマから童話を元にしたファンタジックなテイストに一新。50年ぶりの方針大転換となった。また、この頃から菊人形を一部の区画から会場全体に設置し、どこにいても菊花を感じられるイベントへとチェンジしたのであった。
2020年(令和2年)開催の第69回大会では「アラジンと魔法のランプ」と「美女と野獣」をテーマにして再びファンタジックなデザインを展開している。なお、新型コロナウイルスの影響により、予定していた規模を縮小して開催した。
| 盆栽菊展示の様子。 優秀な盆栽には金賞など さまざまな賞が授与される。 |
展示されている菊花の様子。 繊細で滑らかな質感の花の様子を 感じることができる。 |
| 「大菊七本仕立て」で栽培された菊。 北陸で最も主流な栽培方法である。 |
「だるま菊」と呼ばれる手法で栽培された菊。 通常より一回り小さい背丈が特徴的である。 |
| 菊はこのように一本の苗から摘心して、枝分かれさせて栽培するのが一般的である。 ただ、花を同時に同じ大きさで咲かせるのは非常に難しいとされる。 コンテストはこの時に差が出る見栄えや大きさなどが審査される。 また栽培法の1つに「接ぎ木」と呼ばれる栽培方法がある。 写真のようによもぎを土台にし、菊を接ぎ木して栽培。 こうすることにより、通常では絶対不可能な異なる色の菊花を1株にして栽培することが可能である。 |
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最終更新:2025/12/12(金) 23:00
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