北海道コンサドーレ札幌新スタジアム問題とは、プロサッカークラブ「北海道コンサドーレ札幌」が新たなサッカー専用スタジアムの建設を目指す一方で、既存のホームスタジアムである札幌ドームとの関係や、建設に向けた数々の課題が浮き彫りになっている一連の問題を指す。
長年の「夢」であった構想が、2023年の北海道日本ハムファイターズの本拠地移転を機に現実的な議論へと発展したものの、その実現には多くの困難が伴う。
北海道コンサドーレ札幌は、長らく札幌ドームをホームスタジアムとしてきた。しかし、札幌ドームは多目的施設であるがゆえの課題(ピッチと観客席の距離、原則として高額な使用料など)を抱えており、クラブが主体的に運営できるサッカー専用スタジアムの建設は、サポーターとクラブにとっての悲願であった。
ファイターズの移転は、札幌ドームの経営に大きな影響を与え、結果としてコンサドーレの新スタジアム構想の議論を加速させるきっかけとなった。しかし、それは同時に、クラブが札幌市や札幌ドームとの複雑な関係性の中で、難しい舵取りを迫られる「問題」の始まりでもあった。
Jリーグの多くのクラブが専用スタジアムで熱狂的な空間を生み出す中、コンサドーレも同様の環境を求めてきた。クラブの野々村芳和・前社長(現Jリーグチェアマン)も、在任時から「2万人規模のスタジアムが理想」と公言しており、構想自体は以前から存在していた。
一方で、クラブは札幌ドームを使い続けるという現実的な選択肢も常に模索していた。特に、コンサドーレはファイターズとは異なり、使用料の減免措置や、広告料がクラブ収入となる独自の立て看板の設置を認められるなど、一定の優遇を受けていたという側面もある。このため、クラブとドームの関係は単純な対立構造ではなく、持ちつ持たれつの複雑なものであった。
この一見矛盾した動きは、クラブが置かれた状況の複雑さを物語っている。
つまり、コンサドーレは「現在の拠点を守る動き」と「未来の理想を追求する動き」を同時に進めていたのである。ファイターズの移転は、この「未来の理想」を一気に現実的な課題へと引き上げたトリガーとなった。
そもそも、札幌ドームの収益性を確保するために北海道日本ハムファイターズを誘致したのは札幌市であった。コンサドーレ単独の興行では採算が取れないという市の判断があったためである。
しかし、そのファイターズが札幌市の運営方針などへの不満から移転したことは、市の失政であるとの見方が強い。そして、ファイターズという大きな存在を失ったことで、結果的にコンサドーレ単独ではドームの観客席を埋めることが難しいという集客力の課題が改めて浮き彫りになってしまった。
こうした状況下で、セレッソ大阪(メインスポンサーが日本ハム)との対戦前にクラブ関係者から「日本ハムのロゴを胸につけたチームに負けられない」といった趣旨の発言が出たことは、これまでの経緯を考えれば札幌市やファイターズへの配慮を欠くものとして物議を醸し、問題をさらに複雑化させる一因となった。
2025年現在、この構想は「具体的な建設計画が決定しているわけではないが、クラブの将来を左右する重要な経営課題として検討が進められている段階」と言える。
しかし、実現にはいくつかの大きなハードルが存在する。
コンサドーレの新スタジアム構想は、もはや単なる「夢物語」ではなく、クラブ、札幌市、そしてサポーターをも巻き込んだ、将来を左右する重要な「問題」である。
ファイターズの移転という外的要因によって議論の時計の針は大きく進んだが、費用、場所、札幌ドームとの複雑な関係、クラブ自身の「まちづくり」への力量、そしてW杯のレガシーという現実的な課題は山積しており、その解決への道のりはまだ長い。
掲示板
掲示板に書き込みがありません。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/11(木) 06:00
最終更新:2025/12/11(木) 06:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。