大麻使用罪 単語


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大麻使用罪とは、大麻を使用する行為について罰則を定める法律の通称である。

概要

日本において大麻の取り扱いについて定めた大麻取締法にはこうある。

第3条 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。

 2  この法律の規定により大麻を所持することができる者は、大麻をその所持す目的以外目的に使用してはならない。

意地悪く読んでみると、正当な的以外でしか大麻を使用できないのは大麻取扱者のみで、免許の者が大麻を使用してもそれを罰する法的根拠がないことがわかる。

むろん、免許の者が大麻を所持するのは違法行為である。そのことは第3条に堂々と書かれてある。しかし、それはあくまで免許もないのに大麻を所持していたことが罪になるのであって、その大麻を使用する行為には罰則がないのである。

大麻取締法の罰則を定めた第6章をくわしく見ていこう。

第24条 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外輸入し、又は本邦若しくは外から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。

   2 営利の的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。

   3 前2項の未遂罪は、罰する。

大麻取扱者が正当な的以外で、または免許の者が大麻を栽培したり、輸出入することを罰するとある。大麻を吸って気持ちよくなることについてはとくに書かれていない。

第24条 の2 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

      2 営利の的で前項の罪を犯した者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。

      3 前2項の未遂罪は、罰する。

正当な理由なく持ってたり、もらったり、あげたりしたら罰するとある。
大麻を吸って気持ちよくなることについてはとくに書かれていない。

第24条 の3 次の各号の一に該当する者は、5年以下の懲役に処する。

      一 第3条第1項又は第2項の規定に違反して、大麻を使用した者

      二 第4条の規定に違反して、大麻から製造された医薬品を施用し、若しくは交付し、又はその施用を受けた者

      三 第14条の規定に違反した者

      2 営利の的で前項の違反行為をした者は、7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処する。

      3 前2項の未遂罪は、罰する。

使用した者について罰する記述がでてきた。ではその第3条第1項又は第2項は何かというと、冒頭で先出した「大麻取扱者じゃないと大麻を所持してはいけないよ。大麻取扱者といえども本来の的以外の用途で大麻を使ってはいけないよ」である。だからこの法律大麻の使用的について縛られるのは大麻取扱者だけである。

つまりこういうことである。大麻取扱者が大麻快楽的で使ったら犯罪。だが、免許の者が大麻で気持ちよくなっても無罪

基本的に2021年現在日本大麻取締法では、大麻は不法所持が罪に問われるのであって、大麻で気持ちよくなること自体には罰則がないのだ、と覚えてもらって問題ない。

実際問題、大麻で気持ちよくなるためには大麻を手に入れなければならない(所持しなければならない)のだから、所持を罰することは事実上、使用を罰するようなものである。

しかし、たとえば警察官がパトロール中、あきらかに挙動がおかしい者を発見し、職務質問したところ、その者は大麻特有のニオイを漂わせており、本人も「大麻を吸った」と認めていても、身体検大麻が出てこなければ、少なくとも逮捕はできないのが現状である。大麻所持で逮捕するなら現行犯逮捕則だし、免許者の大麻使用そのものは犯罪ではないからである。

大麻使用罪が制定されれば、こうしたケースでも逮捕できるようになる、というわけである。

なぜ「使用」は違法でないのか

大麻取締法では、取り締まるべき大麻をこう定義している。

第1条 この法律で「大麻」とは、大麻カンナビス・サティバ・エル)及びその製品をいう。ただし、大麻の成熟した茎及びその製品(脂を除く。)並びに大麻の種子及びその製品を除く。

つまり大麻の全身を規制にしているのではない。成熟した茎およびその製品、ならびに種子は除くとある。

なぜなら大麻の全身に有物質が含まれているわけではないからである。とくに危険視されている幻覚物質であるTHC(テトラヒドロカンナビノール)は、大麻液に多く含まれている。大麻葉っぱには液が多く含まれているのに対し、茎や種子にはほとんど含まれていない。そのため規制の除外となったのである。これには日本では古来、大麻の茎を麻織物や麻縄に、種子を七味唐辛子に用いてきた歴史も大きくからんでいる。われわれの身の周りには大麻を原料とする製品が意外と多いのだ。

しかし、茎や種子に液、すなわちTHCがまったく含まれていないというわけでもない。もし茎や種子を食べてから尿をしたら、THC反応が絶対に出ないとは言い切れない。

さてここで問題が浮上する。ラリッてる人を尿したらTHC反応が出たが、それが大麻の茎や種子由来なのか、それともを吸ったためなのかが特定できないのだ。もし茎や種子由来なら、それらは規制されていないのだから、いくらラリッてても罪に問うのは適当ではない。極端な話、尿の結果のみを判断基準にしていると、七味唐辛子を大量に摂取して逮捕されるなどという可性もなくはないことになるからだ。

実際、神社の注連縄の原料として栽培していた大麻農家が刈り取るさい、空気中に飛散したTHCを図らずも吸いこんでしまったというケースもある。こういった不可抗力大麻成分を吸引したケースまで取り締まってしまうおそれがあるから、覚醒剤などとは異なり、使用罪はあえて罰則範囲から除外されたのである。

使用罪導入を検討

しかし近年、大麻の濫用が深刻化の一途をたどっており、大麻をきっかけとして犯罪に手を染める事例も後を絶たない。そこで2021年1月厚生労働省大麻取締法に使用罪の導入を検討していると表した。

厚生労働省ホームページによると、日本物事犯の大半は覚醒剤大麻が占めている。くわしくはこちらexit

一部抜すると、H30年度の物事犯検挙数は14,755人、うち覚醒剤は10,030人、大麻は3,762人であった。

大麻所持の検挙数も年を追うごとに増加傾向にあり、H25年には1,616人だったのが、H26年は1,813人、H27年は2,167人、H28年は2,722人、H29年は3,218人、そしてH30年の3,762人となっている。また大麻の押収量も右肩上がりになっている。

厚労省は摘発範囲を広げ、蔓延防止を図るのが使用罪導入の的としている。

大麻使用のFAQ

  • Q.いまのところ所持がダメで、使用自体には罰則はないんだよね? じゃあ、自身は大麻巻きに手を触れずに、友達の手で吸わせてもらったらいいってこと?

    A.だめです法律における「所持」とは、手で持つ物理的な行為というより、所有の概念に近いものがあります。つまり所持とは、購入する、譲り受ける、強奪する、栽培する、あるいは落ちていた大麻葉っぱをそれと知りつつ拾得することをします。ですから、あなた自身が大麻一本触れていなくても、友達に吸わせてもらったなら、あなたは大麻を「譲り受けた」と見なされるので、所持の罪に問われます。たとえ使用罪がまだ制定されていない現状でもばっちり違法になりますのでご注意ください。


  • Q.いまのところ使用については罪じゃないんでしょ? つまり大麻って、使用罪のある覚醒剤べて安全ってことなんじゃない?

    A.違います。先述のとおり日本では麻繊維の産業があって、お仕で大草を育てている農家や周辺住民が大麻成分を吸いこんでしまうことがしばしばあります。使用罪を制定しているとこういった人々まで尿査で陽性がでたから逮捕」になりかねないので、あえて使用罪を除外したのであって、大麻が安全だからだと毒性が低いからだとかということはありません。むしろわ国では「麻薬と同様毒がある」という見解を示しています。
    1948年(昭和23年)6月24日、衆議院厚生委員会における法案決議で、竹田義一厚生大臣(当時)は次のように説明しています。議事録の全文はこちらexit。以下、一部抜します。

    麻草に含まれてる樹脂等は麻藥害毒を持つているの從來は麻藥として取締つて参つたのでありますが、麻草を裁培している者は大体がに從事しているのでありまして、今回提出されています麻藥取締法案の取締り対象たる師、歯科医師、藥剤師等とは、職業の分野が甚だしく異なつています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締りの完璧を期する所存であり、本法案を提出する理由であります。

    また、大麻取締法違反で逮捕起訴され一審二審ともに有罪判決を受けた被告人およびその弁護人が「大麻は安全なんだよ! 安全なモンを持ってて有罪になるなんておかしい! 大麻取締法は憲だ! 憲だから有罪判決無効だ!」と訴え、最高裁に上告したこともあります。そのときの最高裁は大麻が所論のいうように有性がないとか有性が極めて低いものであるとは認められない」と上告を棄却しています(昭和60年9月10日最高裁判所第一小法廷)。

    実際、大麻の害性は決して小さなものではありません。大麻の代表的な響としては、幻覚幻聴、不安感や恐怖感、奮、錯乱、これらに起因する自傷行為ならびに暴行・傷行為、ならびに意識障害などがあげられます。長期にわたって濫用していると、動機症候群やる気のない状態の究極形態)、知的機の低下、精子異常や減少、月経異常血球の減少による免疫力の低下、そして大麻精神病が見られることもあります。

    麻精神病とは、大麻を使用していないときでも持続して見られる精神的・知的障害のことです。海外留学中に大麻を濫用し、学業に身が入らなくなって落第して、日常会話すら成立しないほどの病的状態で国する事例もあります。このような場合、治療によって妄や幻覚は収まっても、感情板化(感情の伏が極端に少ない)、関心・自発性の減退、思考内容の貧困化など、ほとんど廃人の様相を呈するのが特徴的です。
    根気よく治療を続ければ、少しずつ回復はしますが、その間はまったく生産的活動ができませんので、大麻を使わなければ有意義に使えたはずの時間とお無駄にすることは確実です。
    は覚醒剤などと並んで人生を破壊す凶悪毒物であることを肝に銘じてください。


  • Q.医療用大麻が解禁されるって聞いたけど?

    A.はい。今回の使用罪導入の検討と並行して、これまで禁止されてきた「大麻から製造した医薬品の取り扱い」に関する法律の見直しについても議論されることになりました。参考→NHKニュースexit
    の多いTHCですが、鎮痛や鎮静作用、食欲増進、てんかん治療やがん治療にも効果があります。海外ではすでに医療用として大麻を使用しているもあります。アメリカ(50州のうち47州)、イギリスフランスドイツベルギースイス韓国オーストラリアカナダなどです。
    今後の動向によっては、日本でも医療用大麻が解禁されるかもしれません。

関連動画

大麻“使用”も犯罪・・・議論始まる 現状は規制なし(2021年1月20日)――YouTube ANNnewsCH
https://www.youtube.com/watch?v=yG5XeOKF-GEexit

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