東海道新幹線若返り工事とは、国鉄時代に実施された東海道新幹線の大規模工事である。
1964年10月に開業した東海道新幹線の運休を伴う大規模補修工事を指す。世界初の200km/h超の高速路線であった東海道新幹線では設備老朽化に伴う不具合がみられるようになった一方、高速路線での設備老朽化対応は前例がなかった。このため、是正指導を受けた国鉄は開業時から運用している0系の取り替えだけでなく大規模な点検と補修を行うこととし、開業10年後の1974年12月11日以降翌年2月までの都合4回(1月29日、2月5日、2月19日)午前中運休による臨時総点検をまず実施した。この臨時総点検により効果的な補修と点検が実施できると確認されたため、1976年より実施された。
この工事は10年経過して老朽化した設備の若返りが主目的とされ、旅客利用の少ない時期の水曜日午前中が工事実施日(東海道新幹線運休)に当てられた。
1976年2月25日から1982年1月27日までに計44回実施され、最多は1978年の10回(ついで1977年・1980年が8回、1979年が7回と続く。1976年と1981年は5回で、最終の1982年は1月27日の1回のみ)。
この若返り工事により線路の路盤強化、架線取り替え、レール交換(50kg→60kg)やATCの改良等が実施された。
しかし、以後の東海道新幹線をはじめとする新幹線では運休を伴う大規模補修工事は実施されていない。これは当時の若返り工事により高速運転における保守管理向けデータが蓄積できたこともあるが、300系以後の車両は0系など国鉄時代の車両と比較して軽量化されており、これに伴い設備への負荷が減少していることも要因のひとつとなっている。
実際、JR東海が300系の初期トラブル時に社内の100系再生産の声を押し切って300系の追加を実施したのは時速270km/hによる高速化・対航空機競争力強化だけでなく車両軽量化による設備負荷軽減も目的であったためである。
また、JR東海では品川駅工事で高架橋から地上に線路を下ろした際に開業時のコンクリートを採取・解析して補修計画を立てたほか、小牧の研究施設で設備の予防保全(寿命延長化)に向けた技術・部材の開発を行っている。
ただし、どの新幹線路線(特に国鉄時代に開業した路線)も将来的な大規模修繕は避けられないため、全国新幹線鉄道整備法では大規模修繕に向けた費用の引当金が定められている。
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最終更新:2025/07/18(金) 16:00
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