グノーシス主義とは、2世紀から3世紀に地中海周辺やヘレニズム地方で流行った思想・宗教。
グノーシスは古代ギリシア語で認識・知識を意味する言葉であり、物質と霊や真の神と偽の神といった二元論が特徴である。知識、認識という言葉からあるように東洋(中華圏)のような現世利益的が強い信仰ではなく、知的探求をベースに発展してきた思想である。そういう点では、仏教やインド哲学と近いかもしれない
この宗教思想は、現代の残る諸宗教のように体系的にまとまっておらず、下に挙げるような傾向を持った宗教・思想を便宜上グノーシス主義としてまとめているに過ぎない。
グノーシス主義は、地上の生の悲惨さは、この世界が「悪の世界」であるが故と考えた。現実を迷妄や希望的観測等を排して率直に世界を眺めるとき、この宇宙はまさに「善の世界」などではなく「悪の世界」に他ならないと考えた。これがグノーシス主義の特徴の一つである
世界が本来的に悪であるなら、他の諸宗教・思想の伝える神や神々が善であるというのは、間違いであるとグノーシス主義では考えた。つまり、この世界が悪であるならば、善とされる神々も、彼らがこの悪である世界の原因なので、実は悪の神、「偽の神」である。しかし、その場合にも、どこかに「真の神」が存在し「真の世界」が存在するはずである!(救いのない宗教なんかクソ以下だからね)そのため、彼らは悪の世界(=現実)は「物質」で構成されており、それ故に物質は悪である。また物質で造られた肉体も悪である。なら、「霊」あるいは「イデア」こそは真の存在であり世界であると考えた。ここから善悪と物質、精神の二元論が成り立った。
つまりは「やっぱり現実ってクソだわ。精神世界に切り替え行く」っていう宗教思想
実践においても修道士顔負けの禁欲的な生活をするものが主流であったが、一部には、この世は悪なんだからと開き直って道徳をかなぐり捨ててフリーダムにやっていくものもあった。
さて、このグノーシス主義も地中海沿岸のローマ帝国領に広がった西方系とイラン、メソポタミア側に広がった東方系にわけて二分することが出来る
西方系のグノーシス主義は当時広まりつつあったキリスト教を取り込んで成長していた。つまり、西方グノーシス主義はキリスト教グノーシス派ということができる。ウァレンティノスの宗派が代表的であるが、グノーシスの立場に立つ者と、そうでない者を峻別し、宗教原理よりして、グノーシスの立場に立つ者は、禁欲を旨とし、世俗的な快楽を避け、生殖に通じる行為を一切してはならないとした。新プラトン主義の影響をうけて「悪の世界=この世」が生まれたとした。西方グノーシス主義は哲学的・思想的であり、信徒には高い知性を持つ者や中流階級の者が多数属した。高潔な理想を説き、みずからも禁欲を守り、生殖を避けた結果、4世紀から5世紀頃には自滅した模様。なお…
マニ教が代表であるが、西方グノーシス主義諸派の理論とゾロアスター教などの二元論的宗教の影響の元にもあった。イラン、インドの古くから存在する神々やその神話をも取り入れた。創世神話においては、ゾロアスター教の影響を受け、その結果、絶対善が原初に存在したとするのではなく、善の原理と悪の原理が二元的に原初より存在したとする思想を持つ。2つの信徒階級を定めた結果、救済宗教として広く一般の人が入信することとなり、西方グノーシス主義の知的エリート主義を乗り越えることができた。生殖も一般信徒は可能であったので、宗教として永続し、マニ教は15世紀まで、マンダ教は、二千年のときを経過して、現在も存続している。
グノーシス主義には外部の神話・伝説の登場人物や神々を取り込んでいく指向があり、 しばしば反宇宙論・反造物主の思想に基づいて元の神話では善なる存在であったものが悪魔・邪神となり、元の宗教で悪だったものが善なる存在に置き換えられる。それはキリスト教も例外ではなかった。
西方グノーシス主義ではキリスト教と同化して、イエス・キリストも彼ら流のアレンジを受け、下級の創造神であるところのデミウルゴス(=ヤハウェ=旧約聖書の神)の子ではなく、 グノーシス主義の奉じる至高者の使者と位置づけられた。
西方グノーシス主義はちょうど興隆期にあった主流派キリスト教と競争関係となり、古代の教父たちは積極的にグノーシス思想の論駁を試みた。結果的にグノーシス主義はキリスト教に敗れ、歴史の表舞台から姿を消した。西方グノーシス主義は哲学的・思想的であり、高い知性を持つ者人気であったが、道徳フリーダムな団体は長く支持を受けることができず、禁欲的な団体は後継者を得ることが困難であった。信者層において奴隷・女性から貴族階級までカバーし、深遠な神学だけでなく誰にでもわかるシンプルなメッセージ性も兼備えていたキリスト教は順調に信者を増やし、やがて世界宗教にまで成長を果たすことになる。
しかし、キリスト教が勝利して約1000年後の12世紀頃にグノーシス主義的なキリスト教分派が登場する。
ブルガリアで勢力のあったボゴミル派とその影響を受けた南フランスのカタリ派(アルビ派またはアルビジョア派とも呼ばれる。)である。これらもローマカトリックによって撲滅させられた。
一般的に知られている西方グノーシス主義はキリスト教主流派との戦いの中で敗れて消え去ってしまい。彼らの主義主張は基本的にキリスト教から見た視点しか分からない。
ただ、物質世界の否定や反宇宙論・反創造主などの考えは現代の創作物に対して大きな影響をおよぼしており、グノーシス主義の影響が見られるゲーム等もあるので探してみるのも面白いかもしれない
グノーシス主義に関するニコニコ動画の動画を紹介してください。
グノーシス主義に関するニコニコ市場の商品を紹介してください。
グノーシス主義に関するニコニコミュニティを紹介してください。
急上昇ワード改
最終更新:2025/12/09(火) 00:00
最終更新:2025/12/08(月) 23:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。