エンドスウィープ(End Sweep)とは、1991年生まれのアメリカ産の競走馬。
種牡馬として日本に適応した産駒を数多く送り込んだ、薄命の名種牡馬。マジで惜しい。
名前は「掃除完了、一掃」とか、そういう意味。
競走馬時代
父Forty Niner、母Broom Dance、母父Dance Spellという血統。
父はトラヴァーズSをはじめGI競走4勝を挙げ、種牡馬としても活躍したミスタープロスペクター産駒。母はアラバマS(日本で言う秋華賞くらい)優勝馬。母父はGⅡ2勝でGIでは善戦止まりだったが、悲劇の名牝ゴーフォーワンドを妹に持つノーザンダンサー産駒。近親には多数の重賞馬が居る、良血馬である。
そのエンドスウィープだが、競走馬としては今一つといったところ。
通算成績は短距離戦を中心に走り18戦6勝。7ハロンのGⅢを1勝しており、他には当時カナダ限定GⅠだった6ハロンのハイランダーステークス(現在は国際GⅠ)を優勝したのみである。大レースには縁が無く、4歳時に出たBCスプリントではブービーに敗れている。
種牡馬入り後
1995年(4歳)から種牡馬入り。全米第2位、といってもケンタッキー州とは富士山と天保山くらいの差があるフロリダ州で繋養された。GⅢレベルの短距離馬だし、特に期待はされなかったが……
初年度産駒75頭のうち50頭が勝ち上がり、33頭が2歳戦を勝利(世界記録)。
1998年の新種牡馬リーディングサイアーを獲得する。
この活躍を受けて豪州の生産者と社台ファームが権利を取得し、2000年より春は社台スタリオンステーションで、秋は豪州で種牡馬生活を送り、毎年合計で150~200頭の牝馬を集めていた。
が、2002年5月、馬房を出る際に転倒し背骨を骨折。療養していたが7月に炎症による脊柱圧迫が発覚し危篤状態に陥る。誰か助けてくれ! しかし、事は既に手遅れであった。7月12日に安楽死の措置が執られ、11歳の若き俊英は、その前途を失った。
エンドスウィープの子供達
彼が残した産駒は僅か6世代。中央地方問わず、日本での出走頭数188頭に対し、勝ち上がった産駒が159頭、勝ち上がり率は約85%という驚異的な数字で、普通の種牡馬は半分も超えてればかなり良い方である(全体平均は30%強)。
ちなみに、1980年代後半以降中央競馬で勝ち上がり率が6割を超えている種牡馬は*ノーザンテースト・*サンデーサイレンス・ディープインパクト・エンドスウィープぐらいであり(他の3頭と比べると圧倒的に産駒数は少ないが)、時代を代表するリーディングサイアーに匹敵するポテンシャルを秘めていた種牡馬であったことは想像に難くない。
ミスタープロスペクター系らしい、仕上がりの早いダートの短距離馬が多いが、総じて頑健かつ成長力を持ち、上級産駒の中には芝の中距離でも走る馬がいる。代表格がスイープトウショウとアドマイヤムーンで、前者が秋華賞や宝塚記念を勝った時には「エンドスウィープって早熟の短距離種牡馬じゃなかったのか!?」と驚いた人も大層いたそうな。
- サウスヴィグラス(外国産馬、JBCスプリント)
- スイープトウショウ(秋華賞、宝塚記念、エリザベス女王杯)
- ラインクラフト(桜花賞、NHKマイルカップ)
- アドマイヤムーン(ドバイデューティーフリー、宝塚記念、ジャパンカップ)
といった具合。海外ではハンデGIを2勝した*スウェプトオーヴァーボードや、新国2000ギニーを優勝したクリーンスウィープ(牝馬)がいる。
後継種牡馬としてサウスヴィグラスが地方の短距離ダート界を席巻、アドマイヤムーンがセイウンコウセイやファインニードルを出し、日本に輸入された*スウェプトオーヴァーボードからレッドファルクスやオメガパフュームなどを出して芝・ダートの短距離界で存在感を発揮している。母父としては豪州のGIを勝ったトーセンスターダムなど重賞馬が多数おり、残された繁殖牝馬の数から考えるとかなり大成功の部類である。
総合すると、マジで早世が惜しい。20歳くらいまで生きてたらアグネスタキオンかマンハッタンカフェのどっちかのリーディングサイアーを奪取出来たんではなかろうか。
2002年、社台グループの悲劇
エンドスウィープ「背中が痛い……」:脊柱損傷による危篤状態により7月12日安楽死
エルコンドルパサー「痛い! お腹が痛いデース!」:腸捻転により7月16日急死
*サンデーサイレンス「クソッ! 蹄葉炎かよ……」:衰弱性心不全により8月19日死亡社台「多額の保険金が下りてきたけど、大量に残されたサンデーとトニービン牝馬を相手に
できる種牡馬を探さないと...」*ウォーエンブレム「二冠達成したけど、馬主のサルマン殿下が急死して競売に出されました」
社台「!?」
生き物商売の面白くて恐ろしい所は、種の特徴ではなく個体次第の資質が影響する事だろうか。
血統表
*フォーティナイナー Forty Niner 1985 栗毛 |
Mr. Prospector 1970 鹿毛 |
Raise a Native | Native Dancer |
Raise You | |||
Gold Digger | Nashua | ||
Sequence | |||
File 1976 栗毛 |
Tom Rolfe | Ribot | |
Pocahontas | |||
Continue | Double Jay | ||
Courtesy | |||
Broom Dance 1979 鹿毛 FNo.4-r |
Dance Spell 1973 鹿毛 |
Northern Dancer | Nearctic |
Natalma | |||
Obeah | Cyane | ||
Book of Verse | |||
Witching Hour 1960 鹿毛 |
Thinking Cap | Rosemont | |
Camargo | |||
Enchanted Eve | Lovely Night | ||
Poupee | |||
競走馬の4代血統表 |
クロス:Native Dancer 4×5(9.38%)、Nasrullah 5×5(6.25%)
主な産駒
1996年産
1997年産
- *スウェプトオーヴァーボード (牡 母 Sheer Ice 母父 Cutlass)
- Trippi (牡 母 Jealous Appeal 母父 Valid Appeal)
- アルーリングアクト (牝 母 *チャーミングファピアノ 母父 Fappiano)
1998年産
2000年産
2001年産
- Clean Sweep (牝 母 Eidercrown 母父 Regal Classic)
- スイープトウショウ (牝 母 タバサトウショウ 母父 *ダンシングブレーヴ)
- フォーカルポイント (牡 母 フォーカルプレーン 母父 *スプレンディドモーメント)
2002年産
2003年産
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関連項目
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