概要
1970年代、京阪神地区では新快速列車に153系を使用していたが、製造初年が1958年とかなり古いことと、最高速度が近郊型電車より10km/h高い110km/hである点以外は後に開発された113系よりも走行性能は悪い、元々優等列車用であるためデッキがあり乗降性が悪いなど、競合する私鉄の優等列車に使用される車両と比べると見劣りする点が多かった為、これに変わる新型車両が必要であった。
これらの問題を解消すべく、1979年に登場したのが117系である。車両は2扉ではあるが両開きドアでデッキのない構造となっており、車内の座席には転換クロスシートを採用、競合他社の優等列車に見劣りしないだけの設備を備えるようにした。しかし、モーターは113系でも使用されているMT54系列、歯車比や起動加速度も113系とほぼ同じで最高速度も110km/h止まりと、競合他社の車両と比べて決して優位な車両ではなかった(後に一部の車両が最高速度115km/hに引き上げられた)。
ただし、国鉄の車両としては悪い物ではなく、京阪神の新快速に投入された後も、同じように競合私鉄との問題を抱えていた東海道線中京地区の快速列車に投入された。
本形式で採用された機器類や車両構造、車内設備は、後に誕生した185系、115系3000番台、213系といった車両に大きな影響を与えた。また、転換クロスシートに関しては、後継の新快速用車両である221系や223系、同じく中京地区の311系や313系にも継承されている。
民営化後はJR東海とJR西日本の二社に継承され、その後も暫くは新快速を中心に運用についていたが、現在では京阪神地区での新快速運用から撤退しており、同地区の他線での快速運用や、中国地方の山陽本線で普通・快速列車などに使用されている。中京地区では、普通列車の運用が中心だが、ラッシュ時には新快速の運用に入る事もあった(2008年3月15日のダイヤ改正で平日朝に117系新快速が復活)。その後同地区では313系の増備に伴い廃車が進み、2013年3月16日のダイヤ改正で定期運用から引退、後述のトレイン117も同年8月に廃車回送された。
改造
JR東海において
混雑対策のためか、車端部のシートをロングシートに改造した車両がある(改番なし)。すでに全車引退しており、このうちS1編成については1両減車と国鉄色への塗装変更の後リニア・鉄道館に展示されている。
トレイン117
元々は飯田線のイベント列車「そよかぜトレイン117」用に改造した車両。大垣車両区のS9編成を種車とし、2号車(モハ116)の扉を走行中でも開け放てるように柵を設置、これまでの座席を撤去して窓側向きに木製ベンチを設置した。1、3~4号車は座席3列のうちの真ん中の座席を撤去し、大型のテーブルを設置した。
ATS-PTの関係により先頭車がPT対応の車両に差し替えられた(但し編成番号の変更はなし)。
JR西日本において
混雑対策のため、扉付近の座席(中央側)をロングシートに変更した車両がある。こちらは300番台に改番されている。
また、ワンマン運転に対応させるための工事が行われた編成もある(改番なし)。
なお、現在は単色化が進行しており、黄色(岡山)、緑色(京都)、水色(和歌山)の編成が出場している。そして黄色になった117系をKATOが何故か製品化していたりする。
中国地区では2015年に下関車のうち100番台の4両3本が岡山電車区に転属し、玉突きで0番台3本が廃車された。また、残る300番台2本については新在家派出の0番台2本とモハユニットを差し替えている。2016年には新在家に300番台1本が転出し、下関配置車両はなくなった。
なお、岡山・福山エリアでは2023年に227系500番台が投入され、2023年7月21日を以て同エリアでの定期運用を終了した。
和歌山地区では227系1000番台の投入に伴い2019年3月のダイヤ改正をもって運用を離脱した。0番台のうち4両が京都へ転出した以外は廃車された。
その京都も余剰となった223系2500番台や225系の投入で玉突きで転出した223系が京都に集結し、2023年4月1日に京都・滋賀エリアでの117系の定期運用を終了した。一部編成は京都支所(向日町)に留置されているが、このまま吹田か幡生で廃車になると思われる。
2023年11月5日に最後のノーマル編成が後藤へ廃車回送された
なお、2023年7月よりクハ117-1が京都鉄道博物館にて保存される。
廉価版クルーズトレインへの改造(7000番台)
かねてから「トワイライトエクスプレス瑞風」と対になる、廉価版のカジュアルクルーズトレイン導入を匂わせてきたJR西日本であったが、2020年までに117系6両編成1本を改造の上導入することが2017年6月20日に発表された。
当初の発表では車両構成は個室寝台のみの「瑞風」とは異なり座席車が中心で、従来のジョイフルトレインに近い様相であるが、グリーン座席やグリーン個室は種車の座席の2倍に当たる1,820mmの室内幅またはシートピッチを確保し、普通車にもフルフラットシートカーを1両設けるなど、昼行・夜行両方に対応した車両構成となるものと報じられていた。2018年5月の続報では設計が大きく変わり、グリーン席は個室・座席とも寝台車へ転換できる構造となったほか、ノビノビ座席の拡大、女性専用車両を設けるなど、より夜行向きの車両とされることが明らかになった。
乗車料金についても、1乗車につき数十万円かかる高級クルーズトレインとは異なり、最安値で運賃+指定席料金程度から、高くても個室寝台並みの値段までに抑えられる見込みである。
(車両構成については今後変更が加えられる可能性があります。)
2020年に7000番台として登場。クルーズトレイン「WEST EXPRESS 銀河」の車両として使用されている。
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