レプティリアンとは (レプティリアンとは) [単語記事]

レプティリアン (爬虫類人) またはレプティリアン・ヒューマノイド (ヒト型爬虫類)とは、人間と似た形態の爬虫類という想像上の概念である。レプタリアンと表記ゆれすることもある。

語源は、爬虫類を意味する「レプタイルズ（reptiles）」からの造語と思われる。

ただし、本項の主題はファンタジー上のいわゆる『竜人』ではなく、都市伝説における『レプティリアン』の扱いを中心としたい。

まえがき

神話において蛇というものは広く象徴として描かれる。イヴを唆し、林檎を食べさせたのも蛇であった。そんな蛇は人間との習合的存在として描かれることもあり、アテナイの王ケクロプスは半人半蛇とされ、ギリシャの北風の神アネモイも蛇の神である。インドではナーガと呼ばれる蛇神がいる。

また、その後にはディノサウロイドという、「恐竜が絶滅せずに人間と同じような進化を辿ったらどうなっていたか」という想像がされ、後年のファンタジー創作に多分に影響を与えている。

近年ではトカゲ男がファンタジー創作においてしばしば登場し、『ドラコニアン』『レプトイド』『ドラコノイド』『チタウリ』などとして登場することが多い。竜姦の竿役として登場することもなる。

レプティリアンが人類を陰から支配している？

だが、本項の主題はあくまでも都市伝説である。

最初にこの説を主張し始めたのは、デイビッド・アイクという著述家である。アイクは、1999年の著書『The Biggest Secret』において、多くの著名人がりゅう座からきたアヌンナキという爬虫類種族に由来するという説を発表した。アイクは多くの著名人をレプティリアンにしてペドファイル (小児性愛者) であると位置づけている。^[1]

以後この手のレプティリアン説は様々な陰謀説を主張する人々の間で広まっており、かねがね以下のような特徴を持つ。

政界・財界をはじめスポーツ選手など様々な著名人はレプティリアンである。
レプティリアンは古今東西、あらゆる支配者層に入り込み、人類を支配してきた。
本来の姿を隠すために変身している (あるいは、精巧なゴムで作られたスーツやマスクを着用している)
主食は人間であり、人間を食べることで高い知能と形状記憶を維持する。
イルミナティを陰で操っている。
大きな災害や戦争はレプティリアンによる人口調整や茶番である。

レプティリアンの正体は古代人説や地底人説、進化した人類説などがあるが、アイクの説が人気であることから異星人であるという説が一番メジャーであるようだ。

なお、これらの主張はかねがね多くの者に主張されてきたが、今に至るまで明々白々な根拠は出されていない。「シェイプシフトがうまく行っていないから肌に爬虫類特有のしわができている」「瞳孔が細くなっている」などを理由としてレプティリアン認定が日夜行われているが、人間には思わぬところにしわができることはよくあるし、瞳孔が細くなっているとするものも単に見え方や写真写りの問題だったりする (実際にあっても虹彩離断などいくつかの要因はありうる) 。

レプティリアンだとされてきた人物・団体は以下のような者がいる (主張者によって異論はあることに留意されたい)。

ただ、これらの『レプティリアン認定』にはやや恣意的なものがあり、「支配者として君臨している＝こいつはレプティリアンに違いない！」というような根拠もへちまもない論が跋扈している。AKB48の総監督を努めていた高橋みなみなども、それ故にレプティリアンと認定されていたりもする。

また、「普通の人間ではありえない」という身体的特徴を持ってして「だからこいつはレプティリアンなのだ」とする主張も珍しくはない。例えば、本田圭佑がレプティリアン認定された理由は「舌が長い」から。舌が長い人間などごまんといる。また、「自分の彼女が汗をかかないから怪しい、レプティリアンではないか」という相談がYahoo!知恵袋に寄せられていたりするが、回答者からは「無汗症という病気もある」という指摘をされている (参考)。このように、「先天的・後天的な身体的特徴、病気」などを考えずに安易にレプティリアンに紐づけてしまうケースが多く見られている。

アイクの説は世界中で支持されており、やがてQアノンやRAPT理論などといった他の陰謀説を信じる集団にも一部が借用されている。Qアノンはレプティリアンという概念と上記の特徴こそ引用しないものの、マーク・ザッカーバーグをはじめとした世界中の富豪たちが人食いであり、それゆえに子供たちをディズニーランドに集め、殺した後マクドナルドによってハンバーガーにされるという説を大真面目に主張している^[2]。これはレプティリアンの食人説をレプティリアンであるという主張だけはずして引用しているものである。RAPT理論でも著名人はゴムマスクを被っており、何人もの影武者がいると主張されている。

宗教法人幸福の科学の大川隆法総裁も『レプタリアンの逆襲』という本においてレプティリアンが地球征服を企んでいると主張している。

いずれにしても、明確な根拠もなく、また容易に反論ができてしまう説であることは留意されたい。また、背景に他者の身体的特徴や病気に対する偏見、差別が大いにみられるところも懸念される。

誤情報・偽情報研究者のアビー・リチャーズが作成した『陰謀論チャート』では2020年版・2021年版共に「反ユダヤ主義の境界」「世界は超エリートに支配されている！」とされる一番上のグループに入れられている (本大百科では便宜的に危険度5と表記している) 。

脚注

*余談だがこの手の都市伝説を主張している人の大半がペドファイルに対する強い差別意識を持っており、ペドファイルをなにか悪い組織集団・あるいは種族による影響を受けたか、あるいは集団の一員であると主張することが顕著に見られる。例えばクロード・モーリス・マルセル・ヴォリロンが開祖となる、異星人エロヒムを地球に招こうとするラエリアン・ムーブメントに置いても、『英国政府は小児性交を隠蔽している』という説を主張している。
*この背景にあるのが、海外の児童の行方不明件数が日本と比にならないくらい多いことも挙げられよう。日本では2019年に起きた『山梨キャンプ場女児失踪事件』は連日ニュース番組を騒がせたが、アメリカではあまりに多すぎてニュースバリューがなく、牛乳の容器には情報提供を呼びかけるコーナーが存在し、子供たちの顔がいくつも掲載されていたりする。