SCP-2740とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
SCP-2740 | |
基本情報 | |
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OC | Euclid 2/Vlam 3/Warning Level 4 : Secret |
収容場所 | N/A |
著者 | djkaktus |
作成日 | 2014年11月24日 |
タグ | ミーム 建造物 時空間 精神感応 認識災害 |
リンク | SCP-2740 |
SCPテンプレート |
インディアナ州のとある通りにあるLee一家の自宅の屋根裏部屋の入り口、梯子から約6m先の北西の角に存在すると思われる、なにか。現時点まで財団職員をはじめ、この地点に到達した人がいないので、性質も外見も能力もなにひとつわかっていない。意志を持つ実体なのか、持たない実体なのか、そもそも非実体・あるいは現象なのかさえわかっていない。反ミームというわけでもない。そもそもこの屋根裏部屋に入ることができていないのだ。
屋根裏部屋に続く梯子に接近した人物は、その行動が不可能であることを認識させられる。この梯子に接近する・あるいは登ることを実行した人物は、「実際にはそれをしていなかった」ということが判明している。なおこの現象は、現象が起きたと主張する人物のみがいる状況なので、本当にこの現象が起きているのかさえ確証はない。
このため、SCP-2740に関する情報は、その影響下にある人物のインタビューによってのみ得られている。現時点で、SCP-2740のある家の住人であるFranklin Lee、Yvette Lee、そしてかつて住人だったRebecca Feldmanの3人にインタビューが行われている。
Franklin Leeへのインタビューでは、その時点から数年前の時点で、些細な違和感を覚えていた。何かがあの上にある、と。そのものが見えたわけでも、何かが聞こえたわけでもない。ただ、当時17歳のOliviaというFranklinの娘が、妻の姉妹(Oliviaにとってはおばにあたる)と暮らすために家を出ていった頃から、その違和感を覚えたと。
Oliviaが出ていってからも、Lee家には3人の子供がいた。にもかかわらず、家は妙に静寂につつまれていた。時とともにその静寂は強まる。頭上の何かを調べなければいけないとFranklinは決意した。Oliviaが残したものを。
だが、Franklinがいくら梯子を登ろうとも、気がつけば彼はベッドの中にいるか、リビングでテレビを見ている。ストレスでFranklinは仕事をやめた。家を壊そうと、書類にサインをしたはずなのに、いつのまにかそんな契約はなくなっていて、会社も存在していなかった。引っ越しもできない。
このインタビューが終了したあと、Lee家はサイト-81に移送された。――はずだったのだが、現在までLee家はサイト-81に移送されていない。
続いてはYvette。Franklinの妻であり、Oliviaにとっては母である。事前に財団は、彼女が屋根裏部屋に登ったことを、Lee家の幼い子供たちから聞き出していた。Yvetteはそれを指摘され、言い淀んだものの、やがて話しはじめた。
Lee夫妻は、Oliviaと言い争った。OliviaはLee夫妻と折り合うことはなく、やがて家を出ていってしまった。
だがYvetteはある日、娘Oliviaの声が聞こえた気がして、屋根裏部屋に登って、そこで何かを見た。それがなんなのかはわからない――ただ、『それはOliviaではなかった』。
このインタビューのあと、財団は近隣住民から話を聞いたり、あるいは自分たちで登ったり、ドローンで撮影を試みたり、爆弾で爆破したり、屋根を切断したり、家屋を完全解体することを試みた。――もちろん、こんなことは実際には試みられなかった。唯一、屋根裏部屋に登れたのはYvetteだけ、ということになる。関係者全員の主張が正しいと仮定すれば、だが。
さて、FranklinとYvetteがこのオブジェクトを言及する時、話題に挙げるのが、夫妻の間にいた娘Oliviaである。財団は調査の末、Oliviaが現在は名前を変えてRebecca Feldmanという名前の造園業者になっていることを突き止めた。戸籍上のファミリーネーム(Family Name)はもとより下の名前(Given Name)に至るまで変えるあたり、もはやRebecca/OliviaにとってLee夫妻は「親とは思えない」のだろう。
Rebeccaはインタビューのためにやってきた財団職員にも動じず、「こんなに早いとは思ってはいなかった」とは言いつつもいずれ誰かが屋根裏部屋のことで尋ねに来ると予見していたようだった。
Rebecca曰く、両親は彼女の選択・信条・友人たちに満足できなかったという。おそらく、両親が進んでほしいと願う生き方とは異なる生き方を選ぼうとしていたのだろう。そしておそらく両親からするとあまりよくないグループに所属していたのかもしれない。家にいる間も窒息しているようだった。家を離れて、ようやく息ができる。そう語るRebeccaだったが、時どき、なにかに追われていて、でも何なのか理解できない、そんな感覚に襲われるという。
ある晩のこと、Oliviaと両親は喧嘩をし、父は酒を飲み、母は困窮していて、自分は部屋の中で枕の下にナイフを忍ばせていた。夜中に両親が彼女の部屋に入って来ると、彼女はナイフを抜き出して、部屋の壁まで両親を下がらせた。一触即発の状態で、彼女は頭上でなにかが動く音を聞いて、ナイフを落としてその場を逃げ出したのだという。
彼女は最後に語る。屋根裏部屋は敵意ばかりが膨れ上がる場所であり、屋根裏部屋に何がいるのかも知らないし、知りたくもない。
このインタビューのあと、Olivia Leeが存在せず、かつて存在したこともないことが判明した。じゃあこのインタビュー記録はなんなのか?
このオブジェクトはいくつかの謎を内包している。一旦、得られている情報を整理していこう。
一応、このSCP-2740に関しては、「何も起きていないけど、何かをした気にさせるオブジェクト」と考えることも可能である。しかし、それだと考察しようもないので、ここでは、「起きていたことがすべてリセットされる現実改変が起きており、かつ財団職員さえも現実改変の証拠をつかむことができない」という前提をおく。
ここで気になるのは、FranklinはOliviaが家を出ていったことについて、それ自体にはあまりショックを受けていない様子であること。なんなら割り切っているだろう。娘が帰ってくるかもしれない家から引っ越ししたり解体をしようとしているのだから。Yvetteはそれに比べるとOliviaと折り合えなかったことを悔やんでいる様子が窺える。
実際、FranklinはOliviaとそこまで向き合おうとはしておらず、ただとやかくOliviaの進路についてうるさく指摘していただけなのかもしれない。YvetteはFranklinを含め自分たち夫妻は良き親だったと述懐しているが、Oliviaのイメージは酒をかっくらっている父と困窮している母である。
それと、Oliviaの兄弟についても気になるところがある。財団は、現在Lee一家に残っている3人の子供たちを「幼い」と形容している。17歳の少女が家出をし、その数年後に異常性を認識して財団が調査を開始しているにもかかわらず、その兄弟たちは「幼い」のだ。複雑な家庭環境が垣間見えよう。思春期のOliviaにとっては、両親の口出しと同じくらいのストレスにもなったかもしれない。
これについては多くの考察がなされてきた。
ニコニコ動画で解説を行うzundaは『「魅ん魔の」SCP解説動画 part34 「リクエストお待ちしております」』のなかで、両親とのストレスで解離性同一性障害を患い、そのとき「自由になりたい」と願った人格が外に出てRebecca Feldmanとなり、「自分を守る」という人格がSCP-2740となったと推測する。Yvetteだけが屋根裏部屋に登れたのは、OliviaがYvetteにはある程度気を許していたからだと。Yvetteが「Oliviaではなかった」と回答したのは、Oliviaの姿が変わっていた、あるいは長女の思念を受けて能力が発動した(それ以前は別のオブジェクトだった)と考察している。
zundaと似た立場を取るのは『アニヲタWiki(仮)』の著者群である。彼らは解説項目の中で、『SCP-2740とは両親に見てほしかったOlivia』であり、かつこの『屋根裏部屋のOlivia』は精神年齢が17のままであるという考察を行っている。Yvetteが「Oliviaではなかった」と言ったのは、Yvetteが思うOliviaとはことなる「素の自分」であったため。17歳時点のOliviaは、自分の信条や友人たちを認めてほしかった。兄弟だけでなく、自分にも注目をしてほしかった。RebeccaはSCP-2740についてのインタビューを受けている際にはっきりとSCP-2740を思い出し、認識してしまった。本オブジェクトの異常性のトリガーは梯子を登るとか家から出るとかではなく、『SCP-2740を認識する』こととも著者たちは仮定する。しかしそのすべてを忘れ、名前も変えて平穏な生活を送るRebeccaは『17歳の、屋根裏部屋のOlivia』からすると、「家族に愛されず、認めてほしいものもなくなり、Olivia Leeとしての人生を送っていない」という見たくもない現実である。だから、Rebeccaを消去した。
ニコニコ動画の投稿者sawsanも『SCPを解説・考察するゆっくり【SCP-2740】考察編』でアニヲタWiki(仮)に近い説を取る。梯子を登ろうとする試行ではなく、SCP-2740の認識が異常性のトリガーであるという点も同じ。ただし、Yvetteが「Oliviaではない」と言ったのは虚言であり、単にOliviaをメン・イン・ブラックじみた組織から隠してあげたいという親心。OliviaもYvetteならきっとわかってくれると信じて姿を見せた。しかしYvetteはOliviaと和解したいと思うものの、あくまでOliviaサイドが間違っていると考えているため、和解不成立、今の異常性に至ると考えている。
他方、『SCP読書ノート』では、海外のコミュニティで見たとする『Oliviaの遺体』説を紹介しつつも、自身の説として『Oliviaの地縛霊』説を提唱する。両説ともに、Rebeccaは『偽のOlivia』であるという前提である。
先述の『Oliviaの遺体』説はおそらくRedditの『Can someone help me understand SCP-2740? : SCP』スレでユーザーのひとり、morpheuskibbeが主張したものであろう。両親はOliviaを殺害し、それを隠匿するために偽のOliviaを作り上げた(偽物であり財団のインタビューのあとは用意する必要がなくなったので、財団が見つけることはできない)。「Oliviaではなかった」とは、「もはやOliviaではなかった(死んでいるため)」というものである。
先述の『SCP読書ノート』はこの説をベースにしつつも、Oliviaの死因は両親による殺害ではなく本人の自殺であるとし、自分の生き方を認めてくれない両親に罰を与えるためにSCP-2740という地縛霊となったとする。Lee夫妻が部屋に侵入した際には既にOliviaは命を絶っており、その現実を認められないで家を出ていったと解釈している、とする。Oliviaは財団に、SCP-2740を自身と別の存在であると偽装するためにRebeccaという、「両親の思い込みに準じたナニカ」を生みだす。当然架空なので調査しても存在していない。最後にはOliviaの存在した事実もなくすことで、FranklinとYvetteに罰を与えるための名もなき地縛霊になる。Yvetteには多少期待して姿を見せたが、Yvetteが「Oliviaが死んだ」ことを受け入れられないため、「Oliviaではない」と回答した。
こんな説も考えられる。
YvetteがOliviaの下に3人も子供を設けているが、普通に考えれば年の差が離れすぎているというのは前項に述べている。この子供が、Yvetteの子供である、とは述べられていない。もしかすれば、この3人の子供とは、Oliviaに産ませた子供なのかもしれない。Franklinからの性虐待を受けているOliviaを匿うため、YvetteはOliviaを逃がし、同時にSCP-2740というFranklinを家に留めるためのアノマリーを用意した。「Oliviaではない」はそのまんま事実を述べている。Rebeccaがいなくなったのは、Rebeccaという存在自体がOliviaを逃がすためのデコイのアノマリーだから。
あるいは屋根裏部屋にOliviaが逃げていて、SCP-2740の異常性は「家を壊されるとOliviaが露見するし、引っ越されるとOliviaの孕まされた子供たちと別れることになる」ため、Rebeccaの存在はFranklinが家屋内のOliviaの捜索を断念するためのデコイとなる別のアノマリーだから、とも言える。
最後にひとつだけ謎を述べておきたい。この屋根裏部屋はYvetteを除き到達していないことがわかっている。それにもかかわらず、本オブジェクトの報告書には屋根裏部屋の写真が写っている。発生前の映像という可能性もあるが、日付不明。Yvetteは動画を撮影したなどとは話していないため、この映像が仮に発生後の映像だったとして、誰がどうやって撮影したのかがわかっていない。
SCP-2740
そこにはない
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最終更新:2024/06/06(木) 22:00
最終更新:2024/06/06(木) 22:00
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