SCP-4338とは、シェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。
SCP-4338 | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Keter |
収容場所 | モアハ島[1] |
著者 | T Rutherford |
作成日 | 2019年7月3日 |
タグ | テレパシー 倫理委員会 儀式 地下 地質 岩石 敵対的 球体 生命 知性 雑食 |
リンク | SCP-4338 |
SCPテンプレート |
モアハ島のマグマだまりに生息する、知性と空中浮遊能力を持つ2.3km3の火山岩でできた球体。圧倒的な破壊力を持ち、太陰暦のはじまりごとに、つまり約1ヶ月に1回、多くの供物を捧げられることを求める。これは、オセアニア先住民の食事に基づいており、40-50kgの野菜・30-40kgの果物、50-80kgの魚類、40-80kgの種実類・ハーブ・海藻、60-80kgの細かく刻むか燻製にした豚肉というもの。これを火山の噴火口に投入すると、大概は満足してくれるのだが、たまに満足しないために大暴れし、モアハ火山を噴火させ、最も近隣に位置するヒトの社会的集団の指導者に近づいて死を求める。
このとき、SCP-4338、この怒れる炎神は溶融した岩石と金属鉱石からなる長大な触手を露出させ、邪魔する物を破壊し指導者を探して追いかけてくる。しかも知能も高く、本来の指導者が誰なのかも理解しているためデコイは無意味。そして指導者が死ぬか、健康な3-5人の人間が火口に投下されると停止する。その際に、指導者が死ぬとそれを吸収して指導者の複製体を生みだす。
この指導者の複製体はSCP-4338が自意識を憑依させ、意思疎通を行うための端末(見た目こそそっくりだがあくまで非有機的な存在)として機能する。前の端末は火山ガラスの破片となり、端末を通して次代の指導者とのみ会話を行う。
この神様はオセアニアの初期文化において、オーソビゥエ、イルナチャ、あるいは炎上する海の神の名で言及され、19種類の初期オセアニアの創世神話と絶滅事象の中心的存在として扱われている。まあそりゃそうだろう。科学の徒たる財団でさえ、供物を捧げ続けることを選んだのだ。島を6隻のフリゲート艦で囲み、炎神の怒りに怯えながら『収容』を行っていた。
SCP-4338
ヴァルカン、破滅なるもの
73年間の収容期間。もはや収容とも呼べぬ膠着状態の続いたある日、はじめてSCP-4338は太陰暦の半ばに出現した。当代の"指導者"であったモルガン・ローウェル管理官は亡くなり、ローウェル管理官を模した端末、ローウェル/4338を生みだすと、「すぐに新たな長を連れてこい」と要求する。これにローウェル管理官の親友であったアメリア・ソーンボロー主任研究員が志願すると、ソーンボロー管理官代理にローウェル/4338は問い質す。『我は実りの頂点にあるものを求めたはずだ』と。ソーンボローはローウェル/4338に怒りを覚えていた。自分の親友を殺害され、その姿を複製した愚劣な神に。それを指摘するも、ローウェル/4338は聞き入れない。『今やお前たちは乾いたものを与えていると知った』と主張する炎神に、ソーンボロー管理官代理は『貴方の従順なる下僕は最高級の品ばかりを揃えた』と反駁する。しかしローウェル/4338はこれを持って来いと、テーブルの上に溶融液でなにやら文字を書いて記した。
ソーンボロー管理官代理は目を見開いた。『キャドバリー』?それは米国でよく売られている英国生まれのチョコレートスナックであった。ローウェル/4338は更に続ける。『そうか、これはキャドバリーと読むのか。ならキャドバリーを持って来い。お前の従者のひとりがこれを私に捧げたのだ。粗末な量ではあったが実に豊かなものだった』と。
すぐにキャドバリーを捧げた馬鹿……いや、厳密にはこの島でキャドバリーを捨てた馬鹿は直ぐに判明した。異常地質学者のケビン・エマーソン。エージェント・ロードスに追及され、エマーソンはしぶしぶ認める。異常地質学者の身でありながら、炎神様以外になにも変わったことのない島で、シルトの篩分けばかりさせられる苦痛。暇すぎた彼は持ち込んだ昼食を楽しむことだけが唯一の現実逃避であった。彼は昼食の残りを破棄した結果、それが溶岩流に落ち、その溶岩流が1つ残らず怒れる炎神様の口につながっているとは思っていなかった。だから残り物の廃棄はプロトコル違反じゃないと。
プロトコルはそういう単純なものじゃないだろとか、プロトコル違反じゃないとしても自然の中にゴミを捨てちゃいかんでしょとか、ツッコミどころが多すぎる言い訳を重ねるエマーソンに、ロードスは呆れたが、ふとその言葉を反芻して更にエマーソンに追及する。「おいお前、今『残り物』つったな?チョコレートだけじゃないんだな?お前は他に何を捨てたんだ?」
ローウェル/4338はつづけてソーンボロー管理官代理に要求を続ける。『金色のパリパリした三角形』『夜ほどに暗い色をした泡立つジュース』『果実の練り物を詰めた噛みごたえのあるふわふわしたスポンジ』『香辛料と塩をまぶした乾燥肉』『小さな動物の形にくり抜いた甘い色とりどりの蜜』『それに――』更にいくつもの要求を重ねる炎神。ソーンボロー管理官代理は慌てながらも部下に兵站部門への電話をするように要求し――。
SCP-4338 | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Euclid |
収容場所 | モアハ島 |
著者 | T Rutherford |
作成日 | 2019年7月3日 |
タグ | テレパシー 倫理委員会 儀式 地下 地質 岩石 敵対的 球体 生命 知性 雑食 |
リンク | SCP-4338 |
SCPテンプレート |
SCP-4338が要求したものに基づき、投入する食事は大きく変わった。2200-2800kgのクッキー、1600-2000kgのポテトチップス、1300-1600kgの様々なチョコレート、キャンディ、砂糖菓子、1000-1400kgのパン菓子、1200-1800kgの燻製/マリネにした豚/牛のバラ肉、1200-1800kgの味付けした鶏手羽肉、1000-1200kgのネストル社製ホットポケット、1300-1600kgの冷凍ピザ――そう、炎神はジャンクフード漬けになってしまった。おまけに量も300kgの野菜や魚などで済んでいたのに、今や12tのジャンクフード。
だがこのおかげか本体たる球体は4.6km3にまで膨れ上がり、動きも大分不安定になってきた。財団も、SCP-4338のオブジェクトクラスをKeterからEuclidに再指定。というのも、SCP-4338がこうなってから、暴れることがなくなり、端末は常にローウェル/4338のままだったのだ。『ジャンクフードは、火口に入れれば入れるだけSCP-4338は幸せになります』とでも言うべきか。
そんなある日、ローウェル/4338はソーンボロー管理官をまた呼び出した。このころには、ローウェル/4338は全方位に溶融物を撒き散らすため、プレキシガラスの仕切りを設け、度々交換する必要に迫られている。表皮には岩石質の成長物ができている。ソーンボロー管理官は怒りを覚えながらもローウェル/4338の前に現れると、ローウェル/4338はフライドチキンとキャンディ、ケーキ、キャドバリーをもっと寄越せと要求してきたのである。しかし他はともかくキャドバリーは既製品。つまりこれは財団といえど安安と用意できるわけではないのだ。世界を作り変えることも、死霊に体を与えることができる財団でも、キャドバリーの納入は困難だった。ソーンボロー管理官はローウェル/4338に不可能だと伝えると、ローウェル/4338は地震を起こし、ソーンボロー管理官以外の職員はプロトコルに従って島から退避。しかしプロトコルに従い島に残るソーンボロー管理官の前に、SCP-4338本体はいつまでたっても現れない。ドローンが派遣され、火口を除くと、SCP-4338は肥大化したことで、火口からの退出に繰り返し失敗していたのであった。
ソーンボロー管理官は、確信した。今こそどちらが上か、SCP-4338に問い質すいい機会だと。「4338様、貴方様がどうして私への脅迫を実行しなかったのかお尋ねしたい」。口調こそ丁寧であったものの、もうそこには敬意も畏れもない。SCP-4338は再度地を揺らし、4338/ローウェルも拘束を捩じり切ろうとするが、その体には力が入らない。ソーンボロー管理官の「供物の削減提案(30%減らすよ)」と「下僕の削減提案(ひとりで良いよね)」に「そんなに我の怒りを買いたいか」と反駁したが、「買いたくないので私と職員は退出いたします」とあっさり躱され、最後は待ってくれと懇願するまでに至った。当たり前である。財団がいなくなったら何も食えなくなるのだ。もともとオセアニアの先住民たちを脅していたのも、供物を捧げさせるため。供物がなくなれば、SCP-4338は窮してしまうだろう。ソーンボロー管理官はそのSCP-4338の足元を見た。財団としてもSCP-4338の『保護』をしたいので別にSCP-4338を滅ぼすつもりこそ無い。だが、今やこの神に贅沢なごちそうを運ぶ必要などない。「それでは――」
SCP-4338 | |
基本情報 | |
---|---|
OC | Safe |
収容場所 | モアハ島 |
著者 | T Rutherford |
作成日 | 2019年7月3日 |
タグ | テレパシー 倫理委員会 儀式 地下 地質 岩石 敵対的 球体 生命 知性 雑食 |
リンク | SCP-4338 |
SCPテンプレート |
SCP-4338は暦月ごとに、つまり太陰暦ではなく現行のカレンダー通りに1度、1500kgのクッキー (低価格まとめ買い品)、1200kgのポテトチップス (低価格まとめ買い品)、1000kgのチョコレート (低価格まとめ買い品)、1400kgの豚肉、種類問わず、1000kgの鶏肉、種類問わず、1300kgの牛肉、種類問わずを投入される。もう清々しいくらいに落ちぶれている。更に、財団は食肉処理場の廃棄肉片・産業廃液・その他の可食廃棄物の処分に使用する案が検討されている。SCP-4338は7.3km3と巨大になったが、もはやマグマだまりに「生息する」とは呼べず、「収容されている」と形容されてしまった。最後の端末たる4338/ローウェルも財団の水上研究船ヘロンに収容されている。端末自体、元々作り変えていたことで固まらず動くことができていたが、作り変えることができなくなって、本人も落ち込んでおり普通の収容室内で対話できている。
ソーンボロー管理官が4338/ローウェルに調子を尋ねに行くと、ローウェル/4338はちいさな声で、「お前たちは私に何をした」と言う。お前たちは私に毒を盛ったのだとつぶやく4338/ローウェルに、ソーンボロー管理官は「いいえ、貴方に捧げた供物は、すべて食べても安全な物です」と回答する。「ならばお前たちは私の野心を殺した。あのときお前たちが島についたその瞬間に全員を滅ぼすべきだったのだ」と後悔するローウェル/4338。かつて訪れた異国の民は鉄の鎧と上質な絹をまとっていた。その彼らを脅かすと彼らは逃げ帰った。しかし次に島を訪れた財団は鉄さえもが船の形に作られ、前の訪問者よりも多くのものを知っていた。それでも供物を捧げ続けた財団を、ローウェル/4338は油断していた。あのとき殺すべきだった……そう嘆くローウェル/4338に、ソーンボロー管理官は「今我々に望むことは何でしょうか」と尋ねる。
かつてであれば、「もっと我を恐れよ」ということも、あるいは「貴様らを皆殺しにしてくれる」とでも言えたかもしれない。しかしいまや財団に嵌められ、なにをしようにも財団を超えることはできない。今の自身は、怒れる炎神でもなければ、目の前のソーンボローの友の仇でさえ無い。
ならば… 多分、より多くの… あの甘い、ウエハースを…
SCP-4338 - SCP財団より,2022/06/13閲覧
ソーンボロー管理官は、畏れ敬うものでも、友の命を奪ったとて恨むものでもなくなった「神様」に、一礼すると「お望みのままに」と告げて収容室を退出するのであった。
SCP-4338
ヴァルカン、破滅なるもの
掲示板
4 ななしのよっしん
2023/04/22(土) 16:46:19 ID: SnHioV/RWv
>財団は食肉処理場の廃棄肉片・産業廃液・その他の可食廃棄物の処分に使用する案が検討
そこまでやるならサッカリンとメチルアルコールも混ぜようぜ
ついでに岡山北部の誰かさんを雇ってモアハ島に(ゲス顔)
5 ななしのよっしん
2023/05/02(火) 12:46:26 ID: R9lERK/Ukk
産業廃液の処分に使えるかもってあるけど
高カロリー食物でピザるくらいだし、下手にそんなもん与えたら
腹壊してダイエットに成功⇒keter級脅威に逆戻りになりそう
6 ななしのよっしん
2023/05/17(水) 00:34:04 ID: mTjnprQ59u
破滅をもたらす神→破滅した元神という
読む前後でタイトルの意味が大きく変わるのが面白い
急上昇ワード改
最終更新:2024/05/24(金) 00:00
最終更新:2024/05/24(金) 00:00
ウォッチリストに追加しました!
すでにウォッチリストに
入っています。
追加に失敗しました。
ほめた!
ほめるを取消しました。
ほめるに失敗しました。
ほめるの取消しに失敗しました。