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この記事のきのこには有毒な成分が含まれています。 誤って食べてしまうと取り返しのつかないことになる可能性が高いです。 |
概要
【分類】ハラタケ目テングタケ科テングタケ属
【学名】Amanita virosa
(学名の由来)Amanita→小アジアの地名から/virosa→有毒の
猛毒きのこ御三家の一つ。かつて今関六也博士の毒きのこ番付でシロタマゴテングタケとともに「横綱」とされたことから、「横綱級の毒きのこ」と紹介されることも多い。毒きのこの話題になると必ず登場するきのこなので、この記事で知識を蓄えていってほしい。
傘・ひだ・柄・つば・つぼと、きのこ全体がいずれも純白で、その姿はまるで純白の衣をまとった天使を思わせる。実際に、欧米では「死の天使(destroying angel)」と喩えられ、同時に畏れられている(注・ドクツルタケだけが死の天使と呼ばれているわけではなく、むしろアメリカでは近縁の別種をこう呼ぶことが多い)。
ドクツルタケは、意外かもしれないが、里山や雑木林でも普通に見られるきのこである。その遭遇頻度たるや、敢えて探さなくても自然に見つかるほどである。シロマツタケモドキなど、純白のよく似た食用きのこはあるにはあるが、間違ってドクツルタケを食べてしまうと死亡する可能性が高いため、専門家以外は決して手を出さないようにしていただきたい。
毒性
ドクツルタケは3つの武器(猛毒)を持っている。アマトキシン・ファロトキシン・ビロトキシンである。アマトキシン以外の2つは即効性で、2-3時間で効果が表れる。しかし、この2つは消化管から吸収されないため、注射でもされない限りはほぼ無毒だと考えられている。なお、ビロトキシンはドクツルタケ以外のきのこからは見つかっていない。
ヒトを死に至らしめる決定的な武器がアマトキシンであり、これは食後最低15時間という長い間をおいてその兆候を表しはじめる。その恐ろしい症状については、ここに書くことも憚られるほどであるが、一つ言えることは、死を免れる可能性はほとんど無いということである。
近縁のタマゴテングタケ(A. phalloides)については、ニンジンやビタミンCを大量摂取して命だけは取り留めるという治療法(バスチアン法)があるにはあるが、これをドクツルタケ中毒に適用したという話はまだ聞かない…。
ドクツルタケの仲間たち
シロタマゴテングタケ(A. verna)は、ドクツルタケと肉眼的に区別するのが難しく、同種として扱う意見もあった。KOH(水酸化カリウム)水溶液を垂らして黄色にならない点や、柄にささくれがない点が数少ない相違点である。
しかし、近年の研究により、ドクツルタケとシロタマゴテングタケが意外にもそこまで近縁ではないことが判明し[1]、ヴィロサたんとヴェルナたんは双子の姉妹だ、という従来の見解を覆すことになった。
傘中央部・つば・つぼなどが紅色を帯びるものがあり、アケボノドクツルタケ(A. atkinsonniana)として区別される。しかし、ドクツルタケも僅かに赤みを帯びることがある。
関連動画
左の動画のドクツルタケはささくれが顕著。右の動画のドクツルタケは典型的。
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関連項目
脚注
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