バナナ型神話とは、物語、神話の類型の一つで、イギリスの人類学者ジェームズ・フレイザー(1854-1941)が命名した用語である。
概要
世界中に国や民族の数だけ創世神話や英雄譚などがあるが、それらは遠く離れた地域であっても似通った筋書きやお決まりのパターンがある。神話や伝承をいくつかのパターンに分類し比較する学問を比較神話学といい、バナナ型神話はその型の一つである。
バナナ型神話はインドネシアやニューギニアなどを中心とした東南アジア各地で語られる神話のパターンの一つであり、モチーフは異なるが似たような構造を見いだせる神話は世界各地にある。
この神話は人間が寿命を持ち死んで朽ちていく理由を説明している。だいたい以下のような構造を持つ。
バナナとは甘くおいしいが腐りやすいもの、美しいがもろく朽ちていくものの象徴であり、石は不格好だが安定しており不変であるものの象徴である。バナナ型神話は、欲に負けてバナナを選んだ結果人間にバナナのように腐り死が必ず訪れることを運命づけられたのだと説明する。
特徴
- 神は石とバナナを提示したときにその結果によってどうなるかは明示しない。バナナを選ぶことはある種の禁忌破りであるのだが、神様は選んだ後にネタバレしてくる。
- ほかの神話の石とバナナのモチーフに、骨と肉(ギリシャ神話)、生命の木と知恵の実(旧約聖書)、醜女と美女(記紀)などがある。
- 人間はかつて神性を帯びた存在だったが、バナナを選んだことにより神性を剥奪され零落したとするストーリーが多い。ほかの神性を帯びた存在が石を取るパターンもある。
- 「永遠不変と純粋さを失ったけど多様な文化や人生が得られたよ。これこそ人間らしさだね。」という教訓?を考えることもできるが、神話の中ではたいてい人間の愚かさを示すだけで終わる。
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関連項目
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