フォレスタル級とは、アメリカ海軍がかつて運用していた通常動力型正規空母である。
概要
アメリカ海軍初の超大型空母であり、その後の超大型空母の原型となった。WW2以後に新規設計された初の空母でもある。本級より後のキティホーク級、エンタープライズ級、ニミッツ級でも飛行甲板の全長・全幅はほとんど変わっていない。満載排水量では旧大日本帝國海軍の信濃を上回り、世界最大であった。
本級は1952年から1959年にかけて4隻が建造され、冷戦前半~ベトナム戦争~湾岸戦争まで現役だった。湾岸戦争終結・ソ連崩壊後ほどなくして1番艦フォレスタル・2番艦サラトガ・3番艦レンジャーは退役、4番艦インディペンデンスのみ残って太平洋艦隊に所属し、1991年~1997年まで横須賀を母港にしていたが、老朽化のため退役した。
開発の経緯
航空母艦は、航空機の大型化・高速化に歩を合わせるようにして大型化してきた。特にWW2後期に登場したジェット航空機に対し、それまでのレシプロ機を想定した空母では極めて運用が制限されることが明らかになった。そこで、当初からジェット機を運用するに足る超大型空母――すなわちスーパー・キャリアー――が必要との結論を得た。1940年代後半のことである。
1948年に5隻の建造が承認され、翌年1番艦「ユナイテッド・ステーツ」が起工されるも空軍・陸軍の猛反発に遭ってわずか5日で建造中止(!)を余儀なくされてしまう。本級の建造に関わる調整を行った国防長官ジェームズ・フォレスタルは空軍との対立に疲労し、起工前に国防長官を辞職、その2ヵ月後に鬱病で自殺した。カワイソス…
超大型空母の計画は冷戦下にあったこともあり、1年ほど時間をおいた後浮上する。1951年にふたたび超大型空母が発注され、1954年12月にフォレスタル未亡人の手によって、1番艦「フォレスタル」が進水した。
構造
前級のミッドウェイ級と比べ長さで30m、幅で6mも広い飛行甲板を備え、アイランドも巨大である。なお、先に建造中止になった超大型空母「ユナイテッド・ステーツ」ではアイランドがない構造となる予定だった。フォレスタルの初期のデザインスタディでもアイランドがないものがある。搭載機数はミッドウェイ級が70機前後であるのに対し、80-100機と大きく上回った。
蒸気カタパルト、アングルド・デッキを備え、大まかな形だけ見れば2013年現在就役しているニミッツ級と大差がないが、実際のところは異なる。とくにエレベーターの位置は本級の弱点であり、左舷側のエレベーターがアングルド・デッキの前端部にかかっている。当然これでは着艦と同時に使えない。改フォレスタル級であるキティホーク級ですぐに是正された。
なお、自衛用に当初は単装式5インチ両用砲を両舷に4門づつ[1]=総計8門装備していたが後にシースパロー艦対空ミサイル8連装発射機[2]とファランクス3基に改装されている。
同型艦
艦番号 | 艦名 | 起工 | 進水 | 就役 | 退役 | 現在 |
---|---|---|---|---|---|---|
CV-59 | フォレスタル Forrestal |
1952年 7月 |
1954年 12月 |
1955年 10月 |
1993年 9月 |
2013年10月に売却後、テキサス州ブラウンズビルで解体処分済み(2015年12月15日)。 |
CV-60 | サラトガ Saratoga |
1952年 12月 |
1955年 10月 |
1956年 4月 |
1994年 8月 |
2014年5月に売却済み。2014年8月からテキサス州ブラウンズビルで解体処分中 |
CV-61 | レンジャー Ranger |
1954年 8月 |
1956年 9月 |
1957年 8月 |
1993年 7月 |
2014年5月に売却済み。2015年7月からテキサス州ブラウンズビルで解体処分中 |
CV-62 | インディペンデンス Independence |
1955年 7月 |
1958年 6月 |
1959年 1月 |
1998年 9月 |
ワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所。解体処分待ち(2016年~) |
関連動画
関連コミュニティ
関連項目
脚注
- 0
- 0pt