地獄のオルフェ(原題:Orpheé aux Enfers)とは、ジャック・オッフェンバックが作曲したオペレッタ(歌劇)である。
概要
1858年にパリで初演。ギリシャ神話の悲劇、および1858年のクリストフ・ヴィリバルト・グルック作のオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」に題材を取りつつも面白おかしく仕上げられた喜劇で、同時に様々な風刺や諧謔が仕込まれている。
日本では、1914年に帝劇で初演されて以来『天国と地獄』の名で知られ、古くから根深い人気がある。
劇中登場する『地獄のギャロップ』は、運動会のBGMやカステラの文明堂のCMにも使用され、クラシック音楽の中でも非常に有名な曲の一つである。曲についての詳細は『天国と地獄』の項目を参照。
あらすじ
音楽教師のオルフェと妻のユリディス。二人は倦怠期を迎えて久しく、それぞれに浮気をしている冷え切った関係にあった。
そんなある日、オルフェはユリディスの愛人のアリステを始末してしまおうと、毒蛇の罠を仕掛ける。ところが罠に引っかかったのはユリディスで、哀れ彼女はあっさりと死んでしまった。そこでアリステは地獄の王プルートンとしての本性を露わにし、これで一緒に地獄へ行けると大喜びする。
一方のオルフェも、やっとこれで自由になったと喜んでいた。ところがそこに「世論」という名の擬人化キャラ(?)が登場、妻を亡くしても涙一つ零さないオルフェの事を散々に責め立てる。体面が大事なオルフェは不承不承ユリディスを取り戻す為、「世論」にせかされて神々の世界へ向かう事となる。
一方その頃、神々の住まう天国(オリュンポス)では最高神ジュピターがつくづくと我が身を嘆いていた。愛の神クピドと愛の女神ウェヌスは朝帰り、狩猟の女神ディアナは恋人アクタイオンにうつつを抜かし、妻ジュノーは過去の浮気を取り上げてはねちねちと責めてくる。そんな所に現れたオルフェは「どうか妻を返してください」といやいやながらに訴える。
「そりゃプルートンの仕事じゃ」とジュピターは言いつつ、美人と評判のユリディスに興味をそそられ、一緒に地獄に行く事にする。他の神々も「そんな面白そうなこと、自分達だけだなんて勿体ない」と大はしゃぎし、かくして一同は地獄を目指す事となった。
さて、死んで地獄にやってきたユリディスは、やきもちなプルートンによって部屋に閉じ込められたせいで退屈しきっていた。そこにやってきたのは好色に定評のあるジュピター、早速ユリディスを見初めて蠅に変身、鍵穴から部屋の中に入り込む。アーン♡のフワーオ♡してユリディスとめでたく懇ろになり、では宴会に乗じて一緒に天界に行こう……とした所でプルートンに見つかってしまう。
三角関係が炸裂してすったもんだのやり取りの中、ノコノコと顔を出したオルフェは、しぶしぶ「どうか妻を返してください」と訴える。ジュピターは「では絶対に振り向かないように(押すなよ!絶対に押すなよ!)」と釘を差し、「世論」が励ます中、夫婦はいやいや手に手を取って地上を目指す……が、オルフェはユリディスの顔を見たくないので、本当に全く振り向かない。
イライラしたジュピターは、遂に二人の背後に特大の雷を落とす。驚いたオルフェが振り向いた事でユリディスは地獄に逆戻りとなった。プルートンは喜ぶが、ジュピターはユリディスを酒の神バッカスの巫女として天国へ連れていくと宣言。大騒ぎの中、天国も地獄も入り乱れ、どんちゃん騒ぎの宴となるのだった。
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