帰宅難民とは、交通障害、または災害によって自宅へ帰宅することが困難な状態となった人のことである。
概要
日常の中で多くの人が学校や勤務地に向かうために自転車、自動車、電車、バスなどの交通手段を利用する。 これらは、日常が平穏である時は何の障害もなく目的地に着くことができ、用事が終われば自宅へ帰るという往復の経路になっている。
しかしながら、勤務地または学校についた後、極度の悪天候や災害、または大規模停電などが発生し、通勤・通学経路が物理的に遮断[1]されたり、鉄道を始めとする公共交通機関で「地域唯一の交通機関において」、または「地域内で広範囲に」運転見合わせや大幅なダイヤの乱れ等が起きると、自宅に帰ることが困難となる。
これらの「帰宅」することが困難で、駅や公園などにあふれかえった人のことを、何らかの理由で自国を離れざるを得なくなった、言い換えれば本来の自分の居住地に帰れない人々、いわゆる「難民」になぞらえて「帰宅難民」と言う。
特に地方ではそもそも交通手段が限られているため、1つの交通機関がストップしただけで地域の通勤・通学者が一気に帰宅難民と化してしまう場合がある。なにしろ都心とは駅間距離が全く違うので、5駅20分の区間が15kmくらいあったりする。仮に歩いて帰るとなると3時間前後かかる事になり、現実的とは言い難い。[2]
一方で、単に都心で一部の路線が運転見合わせとなっただけでは帰宅難民が発生することはあまり無い。これはそもそも駅間距離が短く、場合によっては割と現実的な所要時間で歩ける場合があることや、都心の交通網が高密度に張り巡らされており、徒歩数分で別の路線を利用することができるケースなどが多く、「家に帰り着くルートが全く無い」ケースが発生しにくいためである。
とはいえ、大規模災害や広域的な悪天候で広範囲に運転見合わせとなったり、土砂崩れのように物理的に路線が寸断されるような事態になったりすると打つ手がなくなってしまい、またその人数も地方より遥かに多いため、ひとたび帰宅難民が都心で発生すると大事になってしまいやすい。
大規模な帰宅難民の発生事例としては2011年3月11日の東日本大震災があるが、もちろん発生原因は震災に限らず、豪雨災害、台風、大雪等によって電車が広域的に運転見合わせとなるなどして代替ルートもとれず帰宅・帰省できない場合にも帰宅難民と呼ばれる。
なお、1995年の阪神・淡路大震災でも一部の人が帰宅難民になったものの、発生が早朝だったことで多くの人が勤務前であり自宅にいたこと、また、そもそも「帰宅難民」という表現自体が比較的新しい言葉であることもあり、さかのぼって「帰宅難民」と表現する例はあまり見られない。
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関連項目
脚注
- *例えば道路が陥没する、亀裂が入る、冠水する、土砂崩れが起きる、…など、自宅への道が寸断されてしまうこと
- *ただし、地方では自家用車が一家に一台以上が当たり前という事が多く、普段公共交通機関を利用している人でも家族が車で迎えに来ることができる例も多い。
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