概要
気象庁では雹を「積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊」と定義している。なお、直径5mm未満の場合は霰(あられ)という。なお、霰の気象庁による正確な定義は「雲から落下する白色不透明・半透明または透明な氷の粒で、直径が5mm未満のもの」である。
雹は上昇気流の激しい積乱雲で発生する。大気中に漂う氷の粒子が雲の中で過冷却の水滴とぶつかると、水滴は氷の粒子の上で凍りつき、氷が大きくなる。この過程をライミングという。ライミングにより氷が大きくなると落下速度が上がり、過冷却水滴とぶつかる回数も多くなり霰となる。通常の雲ならば霰として地上に降るのであるが、積乱雲のように上昇気流が激しいと地上に落下せずに雲の中にとどまる。こうしてさらに大きくなったのが雹である。
積乱雲は夏に発生しやすいので雹も夏に発生しやすいが、7月8月だと降る前に溶けて大雨になるので、まだ気温が上がりきっていない5月6月に降雹は多い。
なお、水が過冷却であるとは、摂氏0度以下でも凍らないで液体の状態であることをいう。通常、水は0度で凍るとされているが、0度以下にもかかわらず液体の状態を保つことがある。不安定な状態なのでちょっとした衝撃で凍りやすい。
サイズ
雹は大きいものでは数cmにもなる。
1917年に埼玉県で降った雹は直径約30cmだったという。落下速度は条件にもよるがおおよその数字で、1cmで時速30km、5cmで時速120km、10cmにもなると時速200kmにもなる。この規模になると人の頭に当たれば死亡することもある。実際、1933年の兵庫に降った雹では10人の死者を出したという。
その他の意味
漢字として
- 意味
- 雲から降る氷粒、ひょう。
- 〔説文解字・巻十一〕に「雨冰なり。雨に从(したが)ひ包聲」とある。
- 字源
- 形声。声符は包。
- 音訓
- 音読みは、ハク(漢音)、バク、ホウ(呉音)、訓読みは、ひょう。
- 規格・区分
- 常用漢字ではない。JIS X 0213第二水準。
- 語彙
- 雹害
異体字
- 𩅟は、〔説文〕に「古文雹」、〔玉篇〕に「古文」とある異体字。
- 䨌は、〔字彙〕に「雹に同じ」、〔正字通〕に「雹字の譌」とある異体字。Unicodeに雹と同じとある。
- 䨔は、〔竜龕手鑑〕に「䨔:俗、雹:正」、〔字彙補〕に「䨌字の譌」とある異体字。Unicodeに雹と同じとある。
- 𩂁は、〔竜龕手鑑〕に「𩂁:俗、雹:正」とある異体字。
- 𩄉は、〔竜龕手鑑〕に「𩄉:古、雹:正」、〔字彙補〕に「雹に同じ」とある異体字。
- 𩅒は、〔竜龕手鑑〕に「𩅒:俗、雹:正」、〔康煕字典〕に〔字彙補〕を引いて「雹に同じ」とある異体字。
- 𩆗は、〔字彙補〕に「古文雹字」とある異体字。
- 𩇌は、〔竜龕手鑑〕に「𩇌:古、雹:正」、〔字彙補〕に「古雹字」とある異体字。
関連動画
関連項目
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